前回の投稿で、BシリーズがPINGの歴史の中でもかなり正統な系譜を持つパターであることがお分かりいただけたと思います。
初期のステンレス製B60を見ると、

トップブレードがかなり薄いことが分かります。
そのためネックも、現在のパターのようにトップブレードの上から立ち上がっているというより、フェース背面に取り付けられているように見える形状になっています。
一方、店長のコレクションにあるB60 BeCu(ベリリウムカッパー)は、

初期のステンレスモデルと比較すると、トップブレードがかなり厚くなっています。
この違いから考えると、初期型ではトウ側・ヒール側に重量を多く配分するため、トップブレード部分に十分な重量を使えなかった可能性もあるのではないかと思います。
ただし、BeCuのB60にも初期ステンレスモデルと同じようにトップブレードの薄いものがあります。
したがって、単純な素材の違いというより、製造時期や金型による形状差と考える方がよさそうです。
打感についても違いがあります。
店長の感覚では、ステンレスモデルの方が硬く、そしてヘッドが軽く感じます。
もう一つ、初期B60を見て気になるのが、プル角、つまりシャフトとフェース面の関係です。
初期型は、現在のB60やB63と比較するとシャフトの傾きが強く見えます。
この形状を見ると、ボールをスタンス中央よりやや右側に置き、手元を少し先行させた状態で構えることを想定していたのではないか、とも考えられます。
もちろん、これがPINGの明確な設計意図だったと断定することはできません。
ただ、パターの構え方やストロークの考え方が現在とは少し違っていた可能性はありそうです。
その後、パターヘッドの重量は徐々に重くなっていきます。
それに伴って、トップブレードも厚くなり、ネックの取り付け位置も変化していきました。
そして現在のScottsdale B63を見ると、

トップブレードの厚さはANSER系に近くなり、ネックもフェース背面から付いているというより、トップブレード上部から自然に立ち上がる形状に変わっています。
さらに大きな変化が、ヘッドの奥行きです。
B60は世代を追うごとに少しずつ奥行きが増し、現在のB63ではかなりマレット的な印象が強くなっています。

ここに、Bシリーズの進化の方向がよく表れているように思います。
初期のB60は、ANSERに近い操作感を重視したブレード系パターでした。
そこから、
トップブレードを厚くする
→ ヘッド重量を増やす
→ 奥行きを増やす
→ 周辺重量配分を強くする
という方向へ進み、少しずつ安定性を高めてきました。
そして現在のB63は、
「安定したブレード」から「操作できるマレット」へ
進化したモデル、と見ることができるのではないでしょうか。
岡本綾子プロ、Sirニック・ファルド。
名手たちの勝利を支えてきたBシリーズが、時代を越え、今度は朱莉プロのツアー優勝を支えました。
その瞬間は、B60からB63へと系譜をつないできたPINGの開発陣にとっても、特別なものだったのではないでしょうか。
