ハンター・メイハン第10話 どこまで選手に要求してよいのか?

前回は、

考えるときは考える。
打つときは打つ。

という話をしました。

ハンター・メイハンがタイガー・ウッズについて語った、

必要なだけ考える。しかしクラブを持ったら速い。

という話。

そしてVISION54の、

Think BoxとPlay Box。

さらに、

一度に二つのことへ意識を集中させない、

というメンタルマネジメントの考え方。

これらは、

ゴルフを教えるうえでも非常に重要な考え方だと思います。

では、

実際に選手を指導するとき、

コーチはどこまで要求していいのでしょうか。

これは、

ジュニアや高校生を教えていると、

必ず出てくる問題です。

厳しく言いすぎてはいけない。

楽しくゴルフをしてほしい。

まだ子供なのだから、

プロと同じことを求めてはいけない。

そう考えるのは自然です。

ハンター・メイハンも、

高校生のチームを指導し始めたとき、

同じようなことを考えていたようです。 “ハンター・メイハン第10話 どこまで選手に要求してよいのか?” の続きを読む

ハンター・メイハン 第8話 ルーチンは毎回同じでなければならないか?

前回は、ハンター・メイハンが高校生に伝えている、

Compete――一打一打を競争する

という言葉について書きました。

前のショットを引きずらない。

未来の結果を考えない。

今、目の前にある一打に集中する。

では、その一打に入るために、プロは何をしているのでしょうか。

そこでメイハンが話していたのが、

タイガー・ウッズのプリショットルーティン

です。

一般的にプリショットルーティンというと、

毎回同じ場所に立つ。

同じ回数素振りをする。

同じタイミングでアドレスに入る。

そして、

同じ秒数で打つ。

そんなイメージがあると思います。

店長も、

「ルーティンとは、毎回同じことをするもの」

という説明を何度も聞いてきました。

しかし、

メイハンが実際にタイガーとプレーして感じていたものは、少し違いました。

メイハンは、

タイガーのプレーには素晴らしいcadence――間とリズムがあったと話しています。

“ハンター・メイハン 第8話 ルーチンは毎回同じでなければならないか?” の続きを読む

ハンター・メイハン 番外編 スティープなアプローチに合うウェッジ

ハンター・メイハンはどのようなウェッジがあうのでしょうか?

実はこのようなタイプのゴルファーは、かなり、いらしゃいます。

ウェッジのフィッティングでは一般的に、

「入射角がスティープならハイバウンス」

「入射角がシャローならローバウンス」

と説明されます。

これは基本的には間違っていません。

実際、PINGの現行s259でも、Wグラインドはスティープな入射角や大きなシャフトリーンを持つゴルファー向けとされています。

Wグラインドは実効バウンス14°。

PING自身も、

steep angle of attack

そして、

a lot of shaft lean

を持つプレーヤーに適すると説明しています。

ここだけを見れば、

スティープにクラブを入れるメイハンなら、

Wグラインド

という答えになりそうです。

しかし、単純ではないと思っています。

なぜなら、

ウェッジのソールが地面に当たる状態は、入射角だけでは決まらない

からです。

重要なのが、

ボール位置です。

そして、

インパクトでハンドルがどこにあるのか。

さらに、

身体がどのように回転しているのか。

です。

メイハンのスイングを見ると、かなり特徴があります。

クラブはスティープに入る。

そしてインパクト付近では、身体が強く回転していく。

いわゆる、

スピンアウトするタイプ

です。

手元も身体の回転に伴って左へ抜けていきます。

このタイプが、ボールをスタンス中央や右側に置けば、

話は比較的簡単です。

ボールが早い段階でインパクトを迎えるので、

シャフトはハンドファーストになりやすい。

ロフトは立つ。

バウンスは減る。

そしてリーディングエッジが地面へ向かいます。

この条件なら、

Wグラインドの大きなバウンスが助けになります。

スティープに入っても、

ソールが地面から反力を受け、

ヘッドが深く潜るのを防いでくれる。

これは、

「スティープならハイバウンス」

という一般的な考え方です。

しかし、

メイハンのアプローチを見ていくと、

ボール位置がもっと左側にあるように見えます。

ここで条件が大きく変わります。

ボールを左へ置けば、

クラブはスイング円弧のより先でボールに到達します。

そのため、

同じスティープなスイングでも、

インパクトでのシャフトリーンは小さくなります。

ロフトも残る。

そして、

ソールのバウンスも使いやすくなります。

つまり、

静的な入射角だけを見れば「スティープ」でも、

実際に地面へ当たるウェッジの姿勢は、

まったく違う可能性があるのです。

ここで出てくるのが、

現行PING s259の

Bグラインド

です。

Bグラインドは58°と60°に設定され、

実効バウンスは8°。

PINGの公式説明では、

浅い入射角とスクエアなセットアップを想定したローバウンス設計です。

ところがBには、もう一つ大きな特徴があります。

ワイドソールです。

つまり、

バウンス角そのものは小さいけれど、地面と接触するソール幅は広い。

という設計です。

ここが非常に重要だと思います。

ボールを左へ置き、

ロフトを残し、

身体を強く回転させながらクラブを左へ抜く。

このタイプの場合、

必要なのは必ずしも、

14°という大きなバウンス角ではありません。

むしろ、

リーディングエッジは低く保ちながら、広いソールで地面を受け流す

という考え方が合う可能性があります。

それがBグラインドです。

例えばWグラインドで14°のバウンスがあり、

さらにボールを左へ置いてシャフトリーンを減らせば、

インパクトではかなり大きな実効バウンスになります。

柔らかい地面なら、それが助けになることもあります。

しかし、

硬いフェアウェイや薄いライでは、

ソール後方が先に地面へ当たり、

リーディングエッジが浮いてしまう可能性もあります。

一方Bグラインドなら、

実効バウンスは8°。

それでもソール幅は広い。

ですから、

地面に刺さりにくくしながら、リーディングエッジを低く保つ

という両方を狙うことができます。

これは、

スピンアウトするゴルファーをフィッティングするときに、

かなり重要な考え方だと思います。

つまり、

スティープだからW。

ではありません。

見るべきなのは、

そのスティープなクラブが、どの姿勢で地面に到達しているのか。

です。

ボール位置。

シャフトリーン。

フェースの開き。

ハンドルの高さ。

身体の回転。

そしてソールが地面へ接触する場所。

これらを全部見なければなりません。

メイハンの2014年のWITBを見ると、

ウェッジはPING i25の54°と59°でした。

この事実だけから、

現在のBグラインドと同じものを使っていた、

と断定することはできません。

当時のソール形状と現在のs259 Bは別物です。

しかし少なくとも、

メイハンのウェッジ選びを、

「スティープだから最大バウンス」

という一言だけでは説明できないことは分かります。

そして、

2010年ライダーカップ17番のあのアプローチです。

あのショットを改めて見ると、

店長には、

ボールを右へ置いて強くダウンブローに打つショットには見えません。

比較的左にボールを置き、

ロフトを残して、

身体を回しながらソールを使おうとしているように見えます。

もしそうであれば、

あのミスについても、

単純に、

「スティープだからダフった」

では説明できません。

普段は、

左に置いたボールに対して、

身体を回転させながら、

ソールを地面へ当てて抜いている。

ところが、

ライダーカップを決める極限のプレッシャーの中で、

いつもよりほんの少し、

メイハン本来のスティープな成分が強く出た。

ボール位置は左のまま。

しかしクラブは、

いつもより少し早く地面へ向かった。

すると、

最下点がボールに届く前に地面へ当たる。

あのチャックです。

もちろん、

これは映像から考えた店長の仮説です。

ただ、

この仮説からウェッジフィッティングについて考えると、

非常に面白いことが分かります。

ゴルファーのミスを、ウェッジ側でどこまで許容できるのか。

ということです。

メイハンのようなタイプを現行s259でフィッティングするとしたら、

店長なら、

まず58°で

WグラインドとBグラインドを両方打ってもらいます。

そして、

単にナイスショットだけを見るのではありません。

ボールを左に置いたとき。

少し右に置いたとき。

硬いライ。

柔らかいライ。

スクエアフェース。

少し開いたフェース。

そして、

少し手前から入ったとき。

そこまで見ます。

Wなら、

スティープに入ったときの許容度は大きい。

しかし、

左にボールを置いてロフトを残したときに、

ソールが跳ねすぎないかを見る。

Bなら、

リーディングエッジを低く使いやすく、

ワイドソールによって多少手前から入っても地面を受け流せる。

その代わり、

本当に強く打ち込んだときに8°のバウンスで足りるのかを見る。

つまり、

どちらが正しいのかを、

入射角という一つの数字だけで決めない。

これが重要です。

店長なら、

メイハンのような、

スピンアウトするタイプ
+スティープな入射
+ボール位置が左寄り

のゴルファーには、

むしろBグラインドをかなり真剣に試します。

PINGの分類だけを見れば、

Bはシャローなゴルファー向けです。

しかしフィッティングでは、

分類表にゴルファーを合わせるのではありません。

実際に、その人がクラブをどう地面へ届けているのかを見る。

ことが必要です。

これはウェッジに限った話ではありません。

スイングを見て、

「スティープだからこれ」

と決めるのも、

「掌屈しているからこう」

と決めるのも、

本質的には同じ問題です。

ハンター・メイハンが現在話している、

「見た目が少し違っていても、機能しているものには触るな」

という考え方。

ウェッジフィッティングでも同じです。

スイングをクラブに合わせるのではなく、

まず、

その人が本来持っているメカニズムを理解する。

そして、

そのメカニズムが多少ズレても、

大きなミスになりにくいソールを選ぶ。

それが、

ウェッジフィッティングなのだと思います。

だから、

スティープ=ハイバウンス

ではありません。

より正確には、

その人がインパクトで、どのような姿勢のソールを地面へ届けているのか。

そこまで見て、

初めてバウンスとグラインドを選ぶことができます。

そして、ここでもう一つ興味深い事実があります。

2014年のメイハンのセッティングです。

当時、アイアンには小ぶりなPING S55を使用していました。

ところがウェッジを見ると、

54°と59°には、

専用ウェッジではなく、i25のウェッジ

を入れています。

さらに記録では、

54°はstandard grind。

59°はbounce grind。

となっています。

これは、かなり興味深い選択です。

通常、上級者やツアープロのウェッジというと、

操作性を高めるために、

小ぶりなヘッド。

比較的細いソール。

そしてフェースを開いたときに邪魔をしないグラインド。

そうしたものを想像すると思います。

しかしメイハンが選んだi25は、そうした典型的なツアーウェッジとは少し違います。

比較的ソール幅が広く、寛容性を持ったヘッドです。

つまりメイハンは、

アイアンではS55という操作性の高いモデルを使いながら、

グリーン周りでは、

よりソール幅のあるi25を選択していたことになります。

もちろん、

2010年のライダーカップでの経験が、そのままこの選択につながった、

と断定することはできません。

メイハン本人がそう語っているわけではないからです。

しかし店長には、

この選択が非常に興味深く見えます。

なぜなら、

これまで考えてきたメイハンのアプローチのメカニズムと、

よく一致するからです。

ボールを比較的左へ置く。

身体を強く回転させる。

クラブは左へ抜けていく。

そして、

ソールを地面に当てながらヘッドを抜いていく。

このタイプであれば、

操作性だけを優先して細いソールを選ぶより、

多少インパクト位置がズレても、

広いソールによって地面から受ける反力を利用できるほうが、

成功確率を高められる可能性があります。

そして店長は、

この考え方と現在のs259 Bグラインドに、

共通する部分があると思っています。

もちろん、

i25のソールとs259 Bグラインドが同じ設計だ、

という意味ではありません。

現在のBグラインドは、

8°のローバウンス+広めのソール幅

によって、

硬い地面でもリーディングエッジを浮かせすぎず、

ソールを滑らせやすくする設計です。

PINGの公式分類では、

Bグラインドは浅い入射角のゴルファー向けです。

一方Wグラインドは、

スティープな入射角やシャフトリーンが大きいゴルファー向けです。

しかし、

メイハンのようなゴルファーを、

単純に、

「スティープだからW」

と分類していいのでしょうか。

店長は、ここにウェッジフィッティングの面白さがあると思っています。

ボール位置が左。

シャフトリーンはそれほど大きくならない。

身体を回転させながら左へ抜く。

その結果、

ロフトとバウンスを残した状態でソールが地面へ届く。

この条件なら、

高バウンスに頼るより、低いリーディングエッジと広いソール面積を両立させたBグラインド

が機能する可能性があります。

つまりこれは、

操作性を優先するのか。

それとも、

結果の成功確率を優先するのか。

という違いでもあります。

細いソールは、

フェースを開いたり閉じたりしやすく、

様々なショットを打ち分ける自由度があります。

しかし、

ワイドソールには、

多少インパクトがズレても、

地面との接触によって大きなミスになりにくいという別の価値があります。

メイハンが2014年に、

S55アイアンから54°・59°だけi25へ切り替えていたこと。

店長には、

それが単なるクラブ選択以上に、

「操作できるクラブ」より「結果を出しやすいクラブ」を選ぶ

というウェッジフィッティングの一つの考え方を示しているように見えます。

そして現在、

低バウンスでありながら広いソールを持つBグラインドが存在する。

店長は、

この二つの間に、

PINGが長年考えてきたウェッジフィッティングの一つの流れを感じています。

これはあくまで店長の考察です。

しかし、

ウェッジを選ぶときに見るべきなのは、

「プロだから操作性の高いウェッジ」

でも、

「スティープだからハイバウンス」

でもありません。

そのゴルファーが、どのようにクラブを地面へ届けているのか。

そして、

多少その動きがズレたとき、どのソールなら結果を守ってくれるのか。

そこまで考えて選ぶことが、

本当のウェッジフィッティングなのだと思います。

ハンター・メイハン 第7話 Compete 1打1打を競争する

前回は、2010年ライダーカップでのハンター・メイハンの一打について考えました。

極限のプレッシャーの中で、

何を打つのか。

自分が最も再現できるショットは何なのか。

そして、

自分の持っているメカニズムと、選択したショットが一致しているのか。

という話です。

しかし、現在高校生を指導しているメイハンが、選手たちに最も強く伝えている言葉は、もっとシンプルなものでした。

それが、

Compete

です。

日本語にすれば、

「競争する」

でしょうか。

PINGのPodcastで、マッチプレーの話になったとき、メイハンは高校生のチームを指導し始めた頃のことを話しています。

「このチームは何を大切にするのか」

「何を自分たちの言葉にするのか」

と考えたとき、

頭に浮かび続けたのが、

Compete

という言葉だったそうです。

“ハンター・メイハン 第7話 Compete 1打1打を競争する” の続きを読む

ハンター・メイハン 第6話 2010年ライダーカップのあの一打

ここまで何度か触れてきた、

2010年ライダーカップ。

そろそろ、あの一打について書かなければならないと思います。

できれば、この話には触れたくありませんでした。

なぜなら、一つのミスショットだけを取り上げて選手を評価することは、店長は好きではないからです。

ましてや、その選手はハンター・メイハンです。

世界でもトップクラスの選手として戦い、PGAツアーで何度も優勝し、ライダーカップ、プレジデンツカップにも出場した選手です。

しかし、現在のメイハンが語っている、

「自分が本当に得意なものを見つけ、それを守れ」

という言葉を考えると、

どうしても2010年のライダーカップを避けて通ることができません。

舞台はウェールズのセルティック・マナー。

アメリカとヨーロッパの勝敗は、最後のシングルスマッチまで持ち越されました。

その最後の一組が、

グレーム・マクドウェル対ハンター・メイハン。

16番でマクドウェルが大きなバーディーパットを決めます。

これでメイハンは2ダウン。

残りは17番と18番の2ホール。

つまり、17番を落とせば、その時点でライダーカップが決まります。

17番はパー3。

メイハンのティーショットはグリーンに届かず、手前に止まりました。

報道では、グリーン手前およそ15ヤードほどからのアプローチだったとされています。

そして、そこで起きたのが、

多くのゴルフファンの記憶に残っている、あのショットです。

“ハンター・メイハン 第6話 2010年ライダーカップのあの一打” の続きを読む

ハンター・メイハン 第5話 自分のメカニズムにあったショットを選ぶ

前回は、

ゴルフは、ショットを打つ前の判断から始まっている

という話をしました。

残り距離だけを見てクラブを選ぶのではなく、

ライ。

風。

傾斜。

グリーンの形。

外してはいけない場所。

そして、

今の自分が、そのショットをどのくらい再現できるのか。

そこまで含めて考える必要があります。

“ハンター・メイハン 第5話 自分のメカニズムにあったショットを選ぶ” の続きを読む

ハンター・メイハン 第4話 80を77にすること

前回は、

スイングは形の集合ではなく、一つにつながった機構である

という話をしました。

ハンター・メイハンがスコッティ・シェフラーの足の動きを簡単に直そうとしないのも、

その部分だけを切り取って見ているのではなく、

その動きがスイング全体の中で何をしているのか

を見ているからではないか、という話です。 “ハンター・メイハン 第4話 80を77にすること” の続きを読む

ハンター・メイハン第3話 形ではなく、なぜそう動くのか

前回は、ハンター・メイハンがスコッティ・シェフラーについて、

「あれは彼のパワーの一部であり、彼自身の一部なんだ」

と語っていることを紹介しました。

店長は、この言葉がとても印象に残りました。

なぜなら、メイハン自身が、かつて「お手本のようなスイング」と言われた選手だからです。

クラブはプレーン上を動き、トップはコンパクト。

身体と腕の動きが同調し、余計な動きがほとんど見えない。

当時は、こうしたスイングが理想とされていました。

店長も、メイハンのスイングを見て、

「これが完成形なのではないか」

と思っていました。

しかし、今のメイハンは少し違うところを見ています。

それは、

形ではなく、その動きが何をしているのか。

という部分です。

例えば、

左手首が掌屈している。

トップがコンパクトである。

クラブがオンプレーンにある。

これらは、すべて目で見ることができます。

動画を止めれば、

「ここが違う」

「ここを直したほうがいい」

という話もしやすい。

しかし、本当に大切なのは、

なぜ、その形になっているのか。

ということです。

例えば、左手首が掌屈している選手がいたとしても、その掌屈がスイング全体の中でどのような役割をしているのかを理解しなければなりません。

フェースを管理するためなのか。

クラブの重心を管理するためなのか。

身体の回転とクラブの動きをつなぐためなのか。

あるいは、その選手が持っている別の動きの結果として、そう見えているだけなのか。

ここを考えずに、

「上手い選手が掌屈しているから、掌屈させる」

となってしまえば、形をコピーしているだけです。

これは、オンプレーンも同じです。

クラブがプレーン上にあること自体が目的なのではありません。

そのクラブが、

どのような力を受け、

どの方向へ動こうとして、

身体の動きとどのようにつながった結果、

そこにあるのか。

そこが分からなければ、プレーン上にクラブを置くこと自体が目的になってしまいます。

店長は、ここに現在のゴルフレッスンが抱えている一つの問題があると思っています。

形は見える。

しかし、

メカニズムは見えにくい。

だから、どうしても見えるものを教えたくなります。

「トップを小さくしましょう」

「左手首を掌屈させましょう」

「シャフトを寝かせましょう」

「もっとオンプレーンにしましょう」

こうした言葉は、とても分かりやすい。

そしてレッスン前後の動画を比較すれば、

「変わった」

ということも確認できます。

しかし、人間の身体はパーツごとに独立して動いているわけではありません。

ゴルフクラブも同じです。

一つの動きを変えれば、必ずどこかに影響が出ます。

トップを小さくすれば、切り返しも変わります。

手首を変えれば、フェースだけではなくクラブ全体の運動が変わります。

プレーンを変えれば、それに合わせて身体のどこかが別の動きを始めます。

つまり、

スイングは形の集合ではなく、一つにつながった機構です。

だから、シェフラーの右足だけを見て、

「動きすぎている」

と判断することはできません。

あの右足が動くことで、身体の回転やクラブの運動が成立している可能性がある。

メイハンは、そのことを分かっているのだと思います。

だから、

「そこには触らない」

という判断ができる。

これは何も、

「変わったスイングなら何でもいい」

という話ではありません。

また、

「スイングは直してはいけない」

という話でもありません。

大切なのは、

直す前に、その動きがなぜ存在しているのかを理解すること。

そして、

その動きを変えたとき、スイング全体に何が起きるのかを考えること。

だと思います。

この考え方を聞いていると、

かつて教科書のようなスイングをしていたメイハンが、なぜ今、

「自分が得意なものを見つけ、それを誰にも触らせるな」

と話しているのかが、少しずつ分かってくる気がします。

そして、ここからメイハンの話は、さらに面白くなります。

現在、高校生を指導しているメイハンが興味を持っているのは、

「どうすれば、きれいなスイングを作れるか」

ではありません。

彼が言うのは、

「80で回る選手を、どうやって77にするか」

ということです。

さらに、

77を74、73にするために必要なのは、18ホールの中の1回か2回の判断かもしれない。

とも話しています。

ここには、

スイングを良くすることと、ゴルフが上手くなることは同じではない

という、もう一つ大きなテーマが見えてきます。

次回は、このメイハンのコーチングについて考えてみたいと思います。

そして、その先にはどうしても避けて通れない話があります。

2010年、ライダーカップ。

あのときメイハンが打った、一打のアプローチです。

あれほど完成されたスイングを持っていた選手が、なぜあの場面で、あのミスをしたのか。

単なるプレッシャーだったのでしょうか。

それとも、

その選手が持っているメカニズムと、選択したショットの間に何かがあったのでしょうか。

この話については、もう少し先で考えてみたいと思います。

ハンター・メイハンコーチ スイングはメカニズムである。

「見た目が少し違っていても、機能しているものを簡単に変えてはいけない」

この言葉は、かなり深い言葉だと思います。

かつて、多くのプロゴルファーがお手本にしたほど、整ったスイングをしていた選手です。

そのメイハンが、

「見た目が違っていても、機能しているものには触るな」

と言っている。

店長には、これはかなり驚くべき言葉に聞こえました。

なぜなら、この言葉からは、メイハンがゴルフスイングを単なる「形」として見ていないことが分かるからです。

彼が見ているのは、

その動きが、スイング全体の中でどのような役割を果たしているのか。

つまり、ゴルフスイングのメカニズムです。

例えば、

掌屈している。

トップがコンパクトである。

クラブがオンプレーンにある。

これらはすべて、外から観察できる「形」です。

もちろん、それ自体が悪いわけではありません。

問題は、

なぜ、その形になっているのか。

という部分です。

その動きによって何が起きているのか。

その動きを変えたとき、別の部分にはどのような影響が出るのか。

そこまで考えなければ、本来一つにつながっているスイングの中から、一部分だけを切り取って変更することになります。 “ハンター・メイハンコーチ スイングはメカニズムである。” の続きを読む

ハンター・メイハンを知っていますか?

多くのプロゴルファーが、そのスイングに憧れた選手。

ハンター・メイハンを知っていますか?

クラブは常にプレーン上を動き、身体と腕の動きがきれいに同調する。

いわゆる「ワンプレーンスイング」が理想のスイングとしてもてはやされた時代、ハンター・メイハンのスイングは、その完成形の一つのように見られていました。

無駄な動きが少なく、再現性が高く、どこを切り取っても教科書のように見える。

当時、彼のスイングを参考にしたプロやインストラクターも少なくなかったと思います。

そのハンター・メイハンが、PINGの「Proven Grounds Podcast」に出演していました。

この動画を見ていて、店長が面白いと思ったのは、かつて「理想的なスイング」の代表のように見られていたメイハンが、現在はスイングの形そのものとは少し違うところを見ていることです。

現在、彼は高校生のゴルフチームを指導しています。

その中で若い選手たちに伝えていることの一つが、

「自分が本当に得意なものを見つけなさい。それを理解し、磨き上げ、誰にも触らせるな」

という考え方です。

そして、その具体例として彼が挙げたのが、現在世界のトップにいるスコッティ・シェフラーでした。

シェフラーといえば、インパクト付近で右足が大きく動く独特のスイングです。

一般的なレッスンであれば、

「足元をもっと安定させましょう」

「下半身を暴れさせないようにしましょう」

と言われても不思議ではありません。

ところがメイハンは、シェフラーとコーチのランディ・スミスについて、

あの足の動きを直そうとしているのを見たことがない

と話します。

そして、

「あれは彼のパワーの一部であり、彼自身の一部なんだ」

と語っています。

ここが非常に面白いところです。

かつて、多くのゴルファーから「こんなスイングをしたい」と思われたハンター・メイハンが、

今は、

「見た目が少し違っていても、機能しているものを簡単に変えてはいけない」

と若い選手たちに伝えているのです。