コヤマカズヒロ氏の朱莉プロのクラブ解説よりまとめ 連続性の呪縛

コヤマカズヒロ氏は多くの示唆を与えてくれた内容です。朱莉プロだけではなく細野プロの事に引き合いに出していただいたのがよかったと思います。

さて、結論をまとめたいと思います。

連続性の呪縛

例えば、ドライバーのキャリーが230ヤードだったとします。

そこから10ヤード刻みでクラブをバッグに入れようとすると、

230ヤード
220ヤード
210ヤード
200ヤード
190ヤード
180ヤード……

というように、きれいな階段を作りたくなります。

そして、

「3Wの次は5W」
「5Wの次は7W」
「4Iの次は5I」
「50°の次は54°」

というように、クラブの番手も連続している方が正しいように感じます。

特にアマチュアゴルファーほど、この連続性を担保したがる傾向があるように思います。

しかし、本当にゴルフでは、すべての距離をクラブ1本ずつで埋める必要があるのでしょうか。

『プロゴルファー猿』ではありませんが、ゴルフは本来、距離をコントロールするスポーツです。

スペインの英雄、セベ・バレステロスは、3番アイアンでバンカーショットまで披露していました。

もちろん、私たちがセベと同じことをする必要はありません。

ただ、一つのクラブは「そのクラブのフルショットの距離」しか打てないわけではない、ということです。

170ヤードのクラブで170ヤードしか打てないわけではありません。

振り幅を変える。
弾道を変える。
フェースを使う。
球の位置を変える。

ゴルファーがクラブを使って距離を作る。

これが本来のゴルフだと思います。

そして、飛ばせるゴルファーほど「すべての距離を10ヤード刻みで埋める」ことは、そもそも不可能になります。

例えばドライバーのキャリーが250ヤードを超えるゴルファーが、100ヤードまで10ヤード刻みでクラブを用意しようとすれば、

250
240
230
220
210
200
190
180
170
160
150
140
130
120
110
100

と、これだけで16種類の距離が必要になります。

しかし、ルール上バッグに入れられるクラブは14本です。

さらにパターは必要です。

ウェッジにはフルショット以外のアプローチやバンカーという役割も持たせなければなりません。

実際には、フルショットの距離階段に使えるクラブはせいぜい12本程度です。

つまり、

どこかに必ず空白の距離帯ができます。

これはセッティングの失敗ではありません。

最初から完全な連続性など作れないのです。

問題は、

「どこに空白を作るか」

です。

ここがクラブセッティングの本質ではないでしょうか。

佐久間朱莉プロは、まさにそれを行っています。

5Wを使う距離が実戦ではほとんど残らない。

ならば、その距離を専用の1本で埋める必要はない。

パー5で前へ運びたいなら3W。

刻みたいなら、次に得意な距離が残るクラブを使う。

そして、その代わりに4Hを抜き、

左へ行きにくく、高い球でグリーンを直接狙える7W

を入れる。

つまり、

距離の空白をなくすためにクラブを選んでいるのではなく、必要なショットの空白をなくすためにクラブを選んでいる。

ここが重要だと思います。

アイアンも同じです。

4Iの次が6Iだから、5Iがないと気持ちが悪い。

しかし、その間の距離をi240 #4で必要な弾道として作ることができるのであれば、「5」という数字のクラブを入れる必要はありません。

ウェッジも同じです。

50・54・58ときれいに並べることより、

48・53・57で実際に必要な距離とショットを作れることの方が重要です。

私たちはどうしても、

バッグの中をきれいに並べようとします。

しかし、ゴルフ場はきれいには並んでいません。

毎回同じライではない。

毎回フルショットできるわけでもない。

風も違う。

傾斜も違う。

ラフも違う。

グリーンの硬さも違う。

だから必要なのは、

10ヤード刻みのクラブではなく、さまざまな状況に対応できるショットです。

そう考えると、

「この距離のクラブが抜けている」

ということ自体は、それほど大きな問題ではありません。

むしろ考えるべきなのは、

その空白の距離を、どのクラブで、どのようにコントロールするのか。

そして、

その代わりに空いた1本で、どんな新しいショットをバッグに加えるのか。

ということです。

番手を連続させる。

距離を連続させる。

それ自体が目的になってしまうと、いつの間にかクラブセッティングが、

「連続性の呪縛」

に縛られてしまいます。

佐久間プロのセッティングを見ていると、むしろ逆です。

あえて空白を作り、必要な機能を入れる。

5Wの専用距離を捨てて7Wの高弾道を手に入れる。

5Iという番手を捨てて、24°のi240 #4という専用クラブを作る。

刻印通りのウェッジ構成を捨てて、48・53・57°という必要なロフトに作り直す。

つまり佐久間プロのバッグは、

クラブを順番に並べたバッグではなく、必要なショットを14本の中に配置したバッグ

なのだと思います。

クラブセッティングで本当に必要なのは、

すべての距離を埋めることではない。

どの距離をクラブに任せ、どの距離を自分でコントロールするのかを決めること。

そこまで考えて初めて、14本という限られたクラブを有効に使えるのではないでしょうか。

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