細野勇策プロのクラブセッティングに見る、もう一つのフィッティングの考え方

以下が細野勇策プロのクラブセッティングとなります。

DRIVER
LH G440 LST 10.5° STD +1.0 TOUR AD GC 6 TX 44.75″ D2 elite grips TOUR STINGREY M60X
FAIRWAY
LH G440 MAX 4W  STD TOUR AD GC 7 X Tip-0.5″ 43.0″ D2 elite grips TOUR STINGREY M60X
LH G440 MAX 7W  STD TOUR AD GC 8 X Tip-0.5″ 42.0″ elite grips TOUR STINGREY M60X
IRONS
LH i500 #3 BLACK 18(+1度)  TOUR AD 105 X 39.5″ D0 elite grips TOUR STINGREY M60X
LH G440 #5 BLACK 24.5(+2.5度)
Bounce Grind (-2°)
N.S.PRO MODUS3 TOUR 120 TX 38.75″ D2 elite grips TOUR STINGREY M60X
LH G440 #6 BLACK 28(+2.5度)

Bounce Grind (-2°)

N.S.PRO MODUS3 TOUR 120 TX 38.25″ D2 elite grips TOUR STINGREY M60X
LH i230 #7 BLACK 35(+2度) N.S.PRO MODUS3 TOUR 120 TX 37.25″ D2 elite grips TOUR STINGREY M60X
LH i230 #8 BLACK 39(+2度) N.S.PRO MODUS3 TOUR 120 TX 36.75″ D2 elite grips TOUR STINGREY M60X
LH BLUEPRINT-T #9 BLACK 43(+2度) N.S.PRO MODUS3 TOUR 120 TX 36.25″ D2 elite grips TOUR STINGREY M60X
LH BLUEPRINT-T PW BLACK 47(+2度) N.S.PRO MODUS3 TOUR 120 TX 35.75″ D2 elite grips TOUR STINGREY M60X
WEDGE
LH s159 Chrome 52/S BLACK 52 N.S.PRO MODUS3 TOUR 120 X 35.75″ D2 elite grips TOUR STINGREY M60X
LH s159 Chrome 56/S BLACK 56 N.S.PRO MODUS3 TOUR 120 X 35.5″ D2 elite grips TOUR STINGREY M60X
LH s159 Chrome 60/H BLACK 60 N.S.PRO MODUS3 TOUR 120 X 35.25″ D2 elite grips TOUR STINGREY M60X
PUTTER
LH 2021 KUSHIN 4 70 3.5 Black Chrome Steel 34.25″ PP60 (BLACK/RED)

一見すると見過ごしてしまいそうですが、よく観察すると、かなりのこだわりが隠されているようです。

店長が考える、このセッティングのメインストリームは、「すべてのクラブをできるだけ同じようにスイングし、それぞれのクラブヘッドの性能によって欲しい結果を引き出す」というものです。

なぜ、そのように考えたのか。

いくつかの根拠を挙げてみたいと思います。

根拠1 スイングバランスの統一

まず注目したいのが、スイングバランスです。

3番アイアンはD0ですが、それ以外のスイングバランスが確認できるクラブは、ドライバーからウェッジまでD2に統一されています。

ドライバー、フェアウェイウッド、アイアン、ウェッジでは、クラブの長さも重量も、シャフトの特性も違います。

それでもスイングバランスを統一していることから、クラブを振ったときの感覚をできるだけ揃えようとしているのではないかと考えられます。

もちろん、スイングバランスが同じだからといって、実際の慣性モーメントやスイング中の挙動まで同じになるわけではありません。

しかし、異なるクラブを使いながら、スイング時の感覚に一定の基準を設けている可能性は十分にあると思います。

根拠2 フェアウェイウッドの選択

以前のセッティングでは、5番ウッドをベースにロフトやシャフトを変更して使用していたこともあります。

つまり、番手の名称や一般的なセッティングの流れにとらわれず、自分が必要とする弾道を得るためにクラブを選択してきたということです。

今回のセッティングでは、G440 MAXの4番ウッドと7番ウッドを採用しています。

G440シリーズには4番ウッドが用意されているため、従来のように5番ウッドを調整して使用するよりも、合理的な選択ができるようになったのでしょう。

ここからも、クラブの番手を揃えることより、ヘッドが持つ性能によって必要な弾道を作ることを優先しているように感じます。

根拠3 4モデルを組み合わせたアイアンセット

今回のセッティングで、特に興味深い部分です。

使用しているアイアンは、次の4モデルです。

  • 3番アイアン:i500
  • 5・6番アイアン:G440
  • 7・8番アイアン:i230
  • 9番アイアン・PW:BLUEPRINT T

通常、アイアンのセッティングでは、同一モデルで番手を揃えるか、コンボセットであっても、できるだけ自然な流れを作ろうとします。

しかし、細野プロのセッティングは、かなり大胆です。

特に注目したいのが、3番アイアンにi500を使用し、次の5番アイアンにはG440を採用していることです。

一般的なセットの流れから考えると、必ずしも自然な組み合わせではありません。

しかし、3番アイアンには3番アイアンに求める性能があり、5番アイアンには5番アイアンに求める性能があると考えれば、話は変わってきます。

つまり、各番手に必要な弾道を先に決め、それを実現するためのヘッドを選択しているのではないでしょうか。

この考え方に立てば、4種類のアイアンを組み合わせることにも、十分な合理性があると思います。

根拠4 細かなロフト調整とバンス加工

もう一つ、見逃せないのがロフト設定です。

特に注目したいのは、アイアンのロフトを標準より寝かせていることです。

  • i500 3番:18°(+1°)
  • G440 5番:24.5°(+2.5°)
  • G440 6番:28°(+2.5°)
  • i230 7番:35°(+2°)
  • i230 8番:39°(+2°)
  • BLUEPRINT T 9番:43°(+2°)
  • BLUEPRINT T PW:47°(+2°)

これだけ細かく調整していることから、単純に飛距離を伸ばすのではなく、番手間の飛距離差、いわゆるギャッピングを最適化していると考えられます。

おそらく、PING USAでも採用されている「レトロロフト(Retro Spec)」に近い考え方がベースになっているのではないでしょうか。

現在のアイアンは、ストロングロフト化が進んでいます。

その結果、飛距離は出るようになりましたが、番手によっては必要な打ち出し角やスピン量、落下角度を確保することが難しくなっています。

細野プロは、そこをロフト調整によって補っているように思えます。

さらに興味深いのは、G440の5番、6番アイアンです。

ロフトを標準より2.5°も寝かせているにもかかわらず、ソールにはバンスを2°減らす加工が施されています。

一般に、ロフトを寝かせる方向に調整すると、バンス角も増加します。

しかし、バンスが増えれば、芝との接触や抜け方も変化します。

そこで、ロフトを寝かせることで必要な弾道を確保しながら、ソールのバンスを削って抜けの良さも調整しているのではないでしょうか。

つまり、ロフトだけでなく、ソールが地面と接触したときの挙動まで考慮している可能性があります。

単に飛距離の階段を作るためだけの調整ではないように感じます。

結論 統一すべきはクラブなのか、それともスイングなのか?

一般的に、アイアンのセッティングでは「セットの流れ」が重視されます。

できるだけ同じモデルのアイアンを使用し、番手間の飛距離を揃え、見た目や構えたときの違和感を少なくする。

これが、現在の主流となっている考え方だと思います。

しかし、ストロングロフト化が進んだ結果、ミドルアイアンより長い番手では十分な高さが出せず、アイアンを諦めてハイブリッドに置き換えるケースが増えました。

最近では、ミドルアイアンからやさしいモデルに切り替えるコンボセットも増えてきましたが、一般のアマチュアゴルファーでは、まだ少数派だと思います。

確かに、同じモデルで統一すれば、見た目の流れはきれいになります。

しかし、それによってスイングまで統一されているのでしょうか?

例えば、ロングアイアンでは球を上げようとしてスイングを変え、ショートアイアンでは飛びすぎを抑えるためにスイングを変える。

それでは、クラブの見た目は統一されていても、スイング自体の統一感は失われてしまいます。

クラブの統一感を優先するあまり、ゴルファーがクラブに合わせてスイングを変えている。

ひねくれ者の店長には、どうしてもそのように見えてしまうのです。

一方、細野プロのセッティングは、その逆ではないでしょうか。

自分のスイングを基準にして、各番手に必要な性能を持つクラブヘッドを選択する。

必要であればモデルを変え、ロフトを変え、さらにはソールまで加工する。

そうすることで、スイングを大きく変えることなく、必要な距離と弾道を打ち分けようとしているのではないでしょうか。

また、最近の男子プロのセッティングを見ていると、ショートウッドを採用することで、ハイブリッドをセットから外す傾向もあるように感じます。

これも、単純な飛距離の階段ではなく、それぞれの距離で求める打ち出し角、スピン量、落下角度を優先した結果なのかもしれません。

フィッティングとは、本来、ゴルファーにクラブを合わせるものです。

それなのに、いつの間にか、クラブにゴルファーが合わせることになっていないでしょうか。

統一すべきなのは、クラブのモデルなのでしょうか。それとも、ゴルファーのスイングなのでしょうか。

細野勇作プロのクラブセッティングは、そんな疑問を投げかけてくれているように思います。

最後に 新しいクラブが最良のクラブとは限らない

細野プロは、新しいクラブが発表されたときには、積極的に試すことを明言しています。

しかし、今回のセッティングを見る限り、そう簡単にクラブを入れ替えることはできないのではないでしょうか。

これだけ細かくロフトを調整し、ソールにまで手を加えて、自分が求める弾道を作り出しているのです。

新しいモデルが登場したからといって、それまで使用してきたクラブと同じ結果が得られるとは限りません。

ここで、改めて考えたいのがPINGのクラブの良さです。

店長が考えるPINGの大きな魅力の一つは、クラブの調整範囲が広いことです。

ゴルファーの体格やスイングに合わせてライ角を調整できることはもちろん、ロフトやシャフト、ヘッドの特性を組み合わせることで、ゴルファーが求める弾道に近づけることができます。

つまり、ゴルファーがクラブに合わせるのではなく、クラブをゴルファーに合わせていくことができるのです。

もちろん、新しいモデルに性能の向上を求めることも大切です。

しかし、最新モデルであることが、そのゴルファーにとって最良のクラブであるとは限りません。

どんな状況でも、自分がイメージした弾道を打ち出せる。

そして、その弾道を信用してスイングできる。

そんなクラブセッティングを作り上げ、長く使い続けることも、ゴルフにとって非常に大切なことだと思います。

クラブを信用できるからこそ、スイングに集中できる。

細野プロのセッティングを見ていると、フィッティングが目指すべきものは、そこにあるのではないかと思うのです。

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