ゴルフクラブの開発には、試打ロボットが欠かせません。
人間では、どれだけ優れたプロゴルファーであっても、まったく同じスイングを繰り返すことはできません。
そのため、クラブやボールの性能を比較する際には、一定の条件で何度でもボールを打つことができる試打ロボットが活躍します。
しかし、一口に試打ロボットといっても、その構造は同じではありません。
肩の動きを再現するもの、手首の動きをクラブの慣性に任せるもの、胴体の回転を取り入れたものなど、さまざまな方式があります。
まずは、それぞれのロボットが実際にスイングする様子をご覧ください。
1. THE PING MAN
2. Golf Laboratories / LDRIC
3. ミヤマエ ROBO-10
4. Iron Byron
どのように見えましたか?
機構の比較
| ロボット | 動力・駆動部位 | 手首の機構 | 特徴 |
|---|---|---|---|
| PING Man | 肩側の駆動機構 | 自由関節 | 肩の上昇運動も考慮 |
| Golf Laboratories | サーボモーター・アーム回転軸 | 遠心力を利用した自由手首 | 加速度曲線を制御 |
| ミヤマエ ROBO-10 | 電動モーター・アーム、リスト、胴 | 駆動制御 | 胴体回転も再現 |
| Iron Byron | 空気圧モーター・主回転軸 | 受動的なリリース | 二重振り子型 |
それぞれのマシンの機構を比較すると、興味深い違いが見えてきます。
海外の3機種は、基本的に手首を自由に動かす構造を採用しています。
これに対して、日本のミヤマエは、アームに加えてリストの動きもモーターで制御する方式です。
どちらもゴルフクラブを振ってボールを打つ機械ですが、クラブを加速させる仕組みが異なります。
手首を自由に動かす方式では、アームが動き始めても、クラブは慣性によって遅れてついてきます。
そして、スイングが進むにつれて手首とクラブの角度が変化し、クラブヘッドが加速していきます。
一方、ミヤマエはリストの動きも駆動側で制御します。
つまり、アームの運動によってクラブが自然にリリースされるのを待つだけではなく、インパクトに向けたリストの動きを積極的に作ることができるわけです。
ここで、店長には一つ気になることがあります。
この二つの機構の違いが、欧米と日本で見られるゴルフスイングの考え方の違いと、よく似ているように思えるのです。
欧米のロボットは、アームの運動とクラブの慣性によってリリースを発生させる方式。
日本のミヤマエは、アームとリストの動きをそれぞれ制御する方式。
もちろん、ロボットの構造だけで欧米と日本のスイングを分類できるわけではありません。
しかし、人間のスイングにも、クラブの慣性を利用して振る人と、手元から積極的にクラブを動かそうとする人がいます。
これまで店長が説明してきた、スインガーとヒッターの違いです。
実は、この違いを考えるうえで重要なのが、機械工学でいう「関節の自由度」と「動力の伝達」です。
ゴルフスイングを機械として捉えると、今まで見えなかったものが見えてくるかもしれません。
