先週、ジュニア君たちのラウンドを見ていた時のことです。
本来であれば、距離を欲張るよりも方向性を重視して使いたい場面で、ハイブリッドのショットがかなり左へミスしていました。それが今回のシリーズを考えるきっかけになっています。
ハイブリッドは、ロングアイアンの弱点を補うための「お助けクラブ」として位置づけられています。
それなのに、そのクラブでスコアメイクできないのであれば問題です。
特にヘッドスピードの速いゴルファーやハードヒッターにとって、ハイブリッドの大きな弱点となるのが、
左へのミス
です。
一般的には、その理由として、
- 深い重心
- ヘッド形状
- オフセット
- フェースの返りやすさ
などが挙げられます。
もちろん、それらも関係しているでしょう。
しかし、今回スペックを改めて比較してみると、
それだけでは説明しきれない別の理由
が見えてきました。
ハイブリッドは「ロングアイアンを簡単にしたクラブ」なのか
そもそもハイブリッドは、
ロングアイアンをそのまま簡単にしたクラブ
として作られたというより、
ロングアイアンで打っていた距離を、もっと簡単に出すためのクラブ
として発達してきたと考えた方がよさそうです。
ロングアイアンの弱点は、単にボールが上がりにくいことだけではありません。
短めのクラブ長と小さなヘッドで、必要なキャリーを出すための十分なヘッドスピードを確保しなければならない。
そこでハイブリッドでは、
深い重心でボールを上げやすくし、ヘッドを大きくしてミスに強くし、さらにシャフトを長くしてヘッドスピードを稼ぐ
という方向へ進みました。
今回比較したスペックでは、
| クラブ | ロフト | ライ角 | 長さ |
|---|---|---|---|
| 3I | 19° | 59.0° | 39.0″ |
| HB #3 | 20° | 58.5° | 40.25″ |
| FW #5 | 19° | 58.0° | 42.5″ |
ほぼ同じロフトでも、
Iron 39.0″
↓
HB 40.25″
↓
FW 42.5″
と、ハイブリッドはちょうど中間に位置しています。
これはメーカー側から見れば非常に合理的です。
FWほど長くないので当てやすい。
アイアンより長いのでヘッドスピードを出しやすい。
深重心なのでボールも上がりやすい。
これによって、「難しいロングアイアンの代わりになるクラブ」が成立します。
しかし、ここに別の問題が生まれます。
同じロフトでも、手元の高さが違う
ライ角とクラブ長から、ソールを基準通りに置いた時の手元高さを単純な幾何計算で推定すると、
手元高さ ≒ クラブ長 × sin(ライ角)
となります。
19〜20°付近を比較すると、
| クラブ | 推定手元高さ |
|---|---|
| FW #5 | 36.04″ |
| HB #3 | 34.32″ |
| 3I | 33.43″ |
HB #3は、3Iより約0.89インチ手元が高くなります。
ところが、ハイブリッドは見た目も構え方もアイアンに近い。
そのためプレーヤーは、無意識にアイアンと同じような高さへ手元を置こうとします。
しかし実際には、シャフトが1.25インチ長い。
この長さをアイアンと同じ構えの中へ押し込もうとすると、クラブのどこかで帳尻を合わせなければなりません。
手元を下げればトウ側は浮きます。
そしてスイング中には、
長さを処理するためにリリースを早める
という補償動作が起こる可能性もあります。
ハードヒッターでは、このアーリーリリースによってフェースの閉じるタイミングが早くなれば、左へのミスにつながりやすくなります。
FWでは、なぜ同じ問題が目立ちにくいのか
FWもHB以上にシャフトは長い。
しかしFWでは、ライ角もそれに合わせてかなりフラットになっています。
19°前後なら、
FW #5:42.5″・58.0°
です。
長さによって手元は高くなりますが、その一方でライ角はフラットです。
つまり、
長さによる手元高さの上昇
と、
フラットなライ角によるつかまりの抑制
が、ある程度相殺されています。
一方HBは、
3Iより1.25インチしか長くなっていないのに、ライ角は0.5°になっっています。
PINGのTrajectory Tuning 2.0には、ロフト調整だけでなく、最大約3°フラット
までライ角を変えられるポジションがあります。
ですので、実際にポジションを変えてみてください。
次回は、PINGのTrajectory Tuning 2.0について考えます。
