ハンター・メイハン第3話 形ではなく、なぜそう動くのか

前回は、ハンター・メイハンがスコッティ・シェフラーについて、

「あれは彼のパワーの一部であり、彼自身の一部なんだ」

と語っていることを紹介しました。

店長は、この言葉がとても印象に残りました。

なぜなら、メイハン自身が、かつて「お手本のようなスイング」と言われた選手だからです。

クラブはプレーン上を動き、トップはコンパクト。

身体と腕の動きが同調し、余計な動きがほとんど見えない。

当時は、こうしたスイングが理想とされていました。

店長も、メイハンのスイングを見て、

「これが完成形なのではないか」

と思っていました。

しかし、今のメイハンは少し違うところを見ています。

それは、

形ではなく、その動きが何をしているのか。

という部分です。

例えば、

左手首が掌屈している。

トップがコンパクトである。

クラブがオンプレーンにある。

これらは、すべて目で見ることができます。

動画を止めれば、

「ここが違う」

「ここを直したほうがいい」

という話もしやすい。

しかし、本当に大切なのは、

なぜ、その形になっているのか。

ということです。

例えば、左手首が掌屈している選手がいたとしても、その掌屈がスイング全体の中でどのような役割をしているのかを理解しなければなりません。

フェースを管理するためなのか。

クラブの重心を管理するためなのか。

身体の回転とクラブの動きをつなぐためなのか。

あるいは、その選手が持っている別の動きの結果として、そう見えているだけなのか。

ここを考えずに、

「上手い選手が掌屈しているから、掌屈させる」

となってしまえば、形をコピーしているだけです。

これは、オンプレーンも同じです。

クラブがプレーン上にあること自体が目的なのではありません。

そのクラブが、

どのような力を受け、

どの方向へ動こうとして、

身体の動きとどのようにつながった結果、

そこにあるのか。

そこが分からなければ、プレーン上にクラブを置くこと自体が目的になってしまいます。

店長は、ここに現在のゴルフレッスンが抱えている一つの問題があると思っています。

形は見える。

しかし、

メカニズムは見えにくい。

だから、どうしても見えるものを教えたくなります。

「トップを小さくしましょう」

「左手首を掌屈させましょう」

「シャフトを寝かせましょう」

「もっとオンプレーンにしましょう」

こうした言葉は、とても分かりやすい。

そしてレッスン前後の動画を比較すれば、

「変わった」

ということも確認できます。

しかし、人間の身体はパーツごとに独立して動いているわけではありません。

ゴルフクラブも同じです。

一つの動きを変えれば、必ずどこかに影響が出ます。

トップを小さくすれば、切り返しも変わります。

手首を変えれば、フェースだけではなくクラブ全体の運動が変わります。

プレーンを変えれば、それに合わせて身体のどこかが別の動きを始めます。

つまり、

スイングは形の集合ではなく、一つにつながった機構です。

だから、シェフラーの右足だけを見て、

「動きすぎている」

と判断することはできません。

あの右足が動くことで、身体の回転やクラブの運動が成立している可能性がある。

メイハンは、そのことを分かっているのだと思います。

だから、

「そこには触らない」

という判断ができる。

これは何も、

「変わったスイングなら何でもいい」

という話ではありません。

また、

「スイングは直してはいけない」

という話でもありません。

大切なのは、

直す前に、その動きがなぜ存在しているのかを理解すること。

そして、

その動きを変えたとき、スイング全体に何が起きるのかを考えること。

だと思います。

この考え方を聞いていると、

かつて教科書のようなスイングをしていたメイハンが、なぜ今、

「自分が得意なものを見つけ、それを誰にも触らせるな」

と話しているのかが、少しずつ分かってくる気がします。

そして、ここからメイハンの話は、さらに面白くなります。

現在、高校生を指導しているメイハンが興味を持っているのは、

「どうすれば、きれいなスイングを作れるか」

ではありません。

彼が言うのは、

「80で回る選手を、どうやって77にするか」

ということです。

さらに、

77を74、73にするために必要なのは、18ホールの中の1回か2回の判断かもしれない。

とも話しています。

ここには、

スイングを良くすることと、ゴルフが上手くなることは同じではない

という、もう一つ大きなテーマが見えてきます。

次回は、このメイハンのコーチングについて考えてみたいと思います。

そして、その先にはどうしても避けて通れない話があります。

2010年、ライダーカップ。

あのときメイハンが打った、一打のアプローチです。

あれほど完成されたスイングを持っていた選手が、なぜあの場面で、あのミスをしたのか。

単なるプレッシャーだったのでしょうか。

それとも、

その選手が持っているメカニズムと、選択したショットの間に何かがあったのでしょうか。

この話については、もう少し先で考えてみたいと思います。

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