まず確認しておきたいのは、ゴルファーはクラブのライ角を無視して構えることはできない、ということです。
クラブを地面に置けば、ソールの形状とライ角によって、シャフトがどの方向に立つかがある程度決まります。
そのシャフトを握る以上、ゴルファーの手元の位置も影響を受けます。
アップライトなクラブでは、シャフトがより縦に立ちます。
そのため、自然に構えようとすると、手元の位置は高くなります。
手元が高くなれば、同じ腕の長さのままでは、ゴルファーはボールに近づくことになります。
反対に、フラットなクラブでは、シャフトが横に寝ます。
そのため、手元の位置は低くなり、ボールとの距離は遠くなります。
整理すると、次のようになります。
アップライトなクラブ
- 手元が高くなる
- ボールとの距離が近くなる
- シャフトが縦に立つ
- 腕が身体の近くに下りる
- 構えがやや窮屈になりやすい
フラットなクラブ
- 手元が低くなる
- ボールとの距離が遠くなる
- シャフトが横に寝る
- 腕が身体から離れやすくなる
- 構えが広がりやすい
ここで重要なのは、ライ角の変化が、単なるクラブの角度の違いでは終わらないことです。

手元の高さが変われば、腕と身体の位置関係が変わります。
ボールとの距離が変われば、前傾角度や膝の曲げ方も変わります。
さらに、身体とグリップの間隔が変われば、クラブをどの方向へ動かしやすいかも変わります。
つまり、ライ角はアドレス時点で、
- 身体とボールの距離
- 手元と身体の距離
- 腕の垂れ方
- 前傾角度
- シャフトの傾き
を変化させています。
この変化を無視して、フェース面の向きだけでライ角を説明することには無理があります。
例えば、アップライトなクラブを持ったゴルファーが、いつもと同じボール位置に立とうとすれば、手元を不自然に下げる必要があります。
反対に、フラットなクラブをいつもと同じ距離で構えれば、手元を持ち上げるか、トウを浮かせて構えることになります。
どちらの場合も、ゴルファーはクラブに合わせて、何らかの調整を行わなければなりません。
実際のアドレスでは、その調整は意識的に行われるとは限りません。
多くの場合、ゴルファーはクラブを置き、違和感が少ない位置まで身体を動かして構えます。
その結果として、アップライトならボールに近づき、フラットならボールから離れるという変化が起こります。
したがって、ライ角による方向性への影響を考えるときには、二つの作用を分ける必要があります。
一つは、クラブフェースが向く方向を変える作用です。
もう一つは、ゴルファーの構えを変える作用です。
従来の説明では、主に前者だけが語られてきました。
しかし、実際のスイングに大きな影響を与えるのは、後者である可能性があります。
では、手元の高さやボールとの距離が変わると、スイングは具体的にどのように変化するのでしょうか。
