ゴルフトレンドウォッチャーでゴルフライターのコヤマカズヒロ氏が朱莉プロのクラブ変更について動画にしていましたので、覗いてみることにしました。
朱莉プロのクラブ変更の理由や何故そうしたのかを小山氏の視点で解説されています。 店長は極秘ルートで(嘘です。営業さんに聞けば教えていただけます。)ツアーレップからのデータを手に入れて検証してみたいと思います。以下が朱里プロのクラブスペックです。 “コヤマカズヒロ氏の朱莉プロのクラブ解説より FW・HB編” の続きを読む

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ゴルフトレンドウォッチャーでゴルフライターのコヤマカズヒロ氏が朱莉プロのクラブ変更について動画にしていましたので、覗いてみることにしました。
朱莉プロのクラブ変更の理由や何故そうしたのかを小山氏の視点で解説されています。 店長は極秘ルートで(嘘です。営業さんに聞けば教えていただけます。)ツアーレップからのデータを手に入れて検証してみたいと思います。以下が朱里プロのクラブスペックです。 “コヤマカズヒロ氏の朱莉プロのクラブ解説より FW・HB編” の続きを読む
ゴルフトレンドウォッチャーでゴルフライターのコヤマカズヒロ氏が朱莉プロのクラブ変更について動画にしていましたので、覗いてみることにしました。
朱莉プロのクラブ変更の理由や何故そうしたのかを小山氏の視点で解説されています。
店長は極秘ルートで(嘘です。営業さんに聞けば教えていただけます。)ツアーレップからのデータを手に入れて検証してみたいと思います。以下が朱里プロのクラブスペックです。
◆Shuri Sakuma – Club Spec “コヤマカズヒロ氏の朱莉プロのクラブ解説より。” の続きを読む
ここまで、シェフラーのスイングを何回かに分けて考えてきました。
最も目立つのは、やはり右足の動きです。
インパクト付近で右足が滑り、身体の回転方向とは反対側へ動いています。そのため、右足の動きがシェフラーの飛距離や正確性を生み出しているように見えます。
しかし、シリーズを通して見てきたように、右足の動きは原因ではありません。
シェフラーの右足は、突然現れた特殊な動きではありません。
ベン・ホーガン、ジャック・ニクラウス、グレッグ・ノーマン、デビッド・デュバル、そしてスコッティ・シェフラー。
各選手のスイングを時代順に並べると、右足の荷重を抜き、左足側で身体の円運動を支えるという共通点が見えてきます。
もちろん、5人の右足がまったく同じように動いているわけではありません。
ホーガンの右足は大きく滑りませんし、シェフラーのように派手に浮くこともありません。
ここでいう「系譜」とは、右足の形が受け継がれたという意味ではありません。
インパクトへ向かう過程で右足を主な支点から外し、左足側で身体の回転を受けるという、運動構造の系譜です。
ベン・ホーガンのインパクトを見ると、右足は地面に残っています。
しかし、右足に強く荷重を残し、それをベースとしてボールを押し込んでいるようには見えません。
右踵は浮き始め、右膝は左脚へ向かい、身体の荷重は左足側へ移っています。
右足は地面に接していても、身体の回転を生み出す主な支点ではなくなっているのです。
身体を支えているのは左足であり、回転の中心は左股関節側にあります。
右足がどこまで動いたかではなく、右足が支点としてどれだけ残っているかを見る必要があります。
この意味で、ホーガンのスイングには、後に続く右足スライドの原型があると考えられます。
ジャック・ニクラウスになると、右足の荷重が抜ける様子が、より分かりやすくなります。
インパクトへ向かって右踵が大きく浮き、右足はつま先側へ移ります。
一方、左足はその場に残り、身体の大きな回転を受け止めています。
ニクラウスは大きなバックスイングをしていましたが、その大きな運動を左右両足で複雑に処理していたのではありません。
ダウンスイングでは左足側に支点をつくり、そこを中心として身体とクラブを回転させていました。
右足が浮くのは、右足で身体を押し続けているからではありません。
右足の荷重が抜け、左足を中心とした回転に身体全体が運ばれた結果です。
グレッグ・ノーマンになると、右足の自由度はさらに大きくなります。
インパクト付近で右踵が浮くだけでなく、右足そのものが位置を変えます。
右足を地面に固定し、そこから身体を押し出すスイングであれば、このような動きはできません。
右足が動けるのは、その時点ですでに右足の荷重が抜けているからです。
ノーマンは、右足をベースとして身体を回すのではなく、左足側で身体の大きな円運動を受けています。
シェフラーのフットワークがグレッグ・ノーマンと比較されることがあるのは、見た目が似ているからだけではありません。
右足を固定された土台として使わず、自由に動ける状態にしているという構造が共通しているからです。
デビッド・デュバルのスイングでも、インパクトに向かって身体は大きく左足側へ移ります。
右足の荷重は抜け、右足は身体の回転に対する主な支点ではなくなります。
その一方で、左股関節の位置は保たれ、傾いた上体、腕、クラブが一つの大きな円運動として運ばれます。
全盛期のデュバルが、顔を目標方向へ向けながらも正確にボールを捉えられたのは、目でボールを見続けていたからではありません。
左足一支点によって円の中心が定まり、クラブヘッドが通る接線が安定していたからだと考えられます。
ボールを目で追わなくても、クラブがどこを通るかが構造によって決まっていたのです。
そして、スコッティ・シェフラーです。
シェフラーは、これまでの選手が行っていた右足の荷重抜きを、誰の目にも分かる形で表現しています。
ダウンスイングで右足の荷重を抜き、左股関節だけを支点とする。
その結果、右足は地面から浮き、身体の回転方向とは反対側へ大きく動きます。
見た目には、足を激しく使ってクラブを加速しているように見えます。
しかし、順序は逆です。
右足を動かすから左足一支点になるのではありません。
左足一支点の円運動をつくった結果として、荷重を失った右足が自由に動いているのです。
さらにシェフラーは、インパクト直前にヒッターの直線的な入力を加えます。
その反動を受け止める右足のベースがないため、右足のカウンターは過去の選手よりも大きく現れます。
ホーガンでは荷重の移動として見えていたものが、ニクラウスでは踵の浮きとして現れ、ノーマンとデュバルでは足の移動へ発展し、シェフラーでは完全なスライドとして見えるようになったのです。
この5人に共通しているのは、特徴的な右足だけではありません。
いずれも、ゴルフ史を代表するボールストライカーです。
右足の荷重を抜けば、身体を支える支点を左足側の一つに絞ることができます。
支点が一つになれば円の中心が安定し、パワーパッケージが維持されれば円の半径も安定します。
中心と半径が安定すれば、インパクトにおける接線の向きも決まります。
5人のボールストライキングを生み出したのは、右足を滑らせる技術ではありません。
右足を主な支点から外すことで、クラブヘッドが通る円と接線を安定させる構造だったのです。
ツアー選手権の後、ホブランはシェフラーについて、こう述べました。
“He knows where the ball’s going.”
「彼はボールがどこへ行くか分かっている」
ホブランは、単に現在の世界ナンバーワンと戦っていたのではありません。
ベン・ホーガン、ジャック・ニクラウス、グレッグ・ノーマン、デビッド・デュバルという、歴代のボールストライカーが築いてきた運動構造。
その先にある完成形と戦っていたのです。
同じコース、同じ厳しいコンディションの中で、シェフラーのボールだけが繰り返し目標へ向かって飛んでいく。
その姿を見たからこそ、ホブランの中に「自分も、ボールがどこへ行くか分かるスイングが欲しい」という考えが浮かんだのではないでしょうか。
シェフラーの右足は、単なる個性的なフットワークではありません。
歴代の優れたボールストライカーが受け継いできた左足一支点の運動が、最もはっきりと外見に現れたものなのです。
これまで、シェフラーは右足で地面を蹴ることによって、ボディーを回転させているのではないと説明してきました。
ダウンスイングでは右足の荷重を抜き、左股関節だけを支点とします。
左足一支点によって円の中心を定め、パワーパッケージによって円の半径を維持する。
これによって、インパクトにおける接線の向きと有効質量を安定させています。
しかし、シェフラーが右足の地面反力をまったく使っていない、という意味ではありません。
右足には、時間の異なる三つの役割があります。
ダウンスイングの大部分では、右足の荷重を抜きます。
右足を使って身体を回すのではなく、右足を支点として使えない状態にするのです。
右足が支点から外れることで、身体を支えるのは左足だけになります。
左股関節を中心とした一つの円運動が成立し、身体、腕、クラブが同調してインパクトへ向かいます。
この局面における右足の役割は、力を加えることではありません。
むしろ、余計な支点をつくらないことです。
シェフラーは、インパクト直前までスインガーとしてクラブを円運動させます。
そして、インパクト直前の短い時間だけ、クラブに直線的なヒッターの力を加えます。
クラブを一方向へ加速させれば、身体には反対方向への反動が返ってきます。
通常のヒッターであれば、その反動を荷重の残った右足で受け止めます。
しかし、シェフラーの右足はすでに荷重が抜けています。
反動を受け止める土台がないため、右足そのものが身体の回転とは反対方向へ動きます。
これが、シェフラー独特の右足のスライドです。
右足を反対方向へ動かすからクラブが加速するのではありません。
クラブに加えた力の反動として、自由になっている右足が反対方向へ動いているのです。
カウンターとして動いた右足は、そのまま空中に浮き続けるわけではありません。
やがて、再び地面に接地します。
それまで自由に動いていた右足が地面に触れると、右足の運動は地面によって受け止められます。
右足が地面へ力を加えれば、地面からは反対向きの力が返ってきます。
地面反力です。
この反力は、後方へ動いていた右足を止めるだけではありません。
右足から股関節、骨盤へ伝わり、左股関節を中心として回転を続ける身体をアシストします。
一度抜いた右足の荷重を、必要なタイミングで再び利用しているのです。
「シェフラーは地面反力を使わない」という説明と、「右足の再接地によって地面反力を使う」という説明は、矛盾しているように見えるかもしれません。
しかし、二つは時間が違います。
インパクトへ向かう円運動では、右足の荷重を抜く。
それによって支点を左股関節の一つに絞り、クラブを正確に運ぶ。
そして、右足がカウンターとして動いた後、再び接地したところで地面反力を受ける。
つまりシェフラーは、右足の地面反力をなくしたのではありません。
円の中心を安定させたい局面では使わず、インパクト付近からその後の回転を支えたい局面で、改めて利用しているのです。
ここが、最初から右足に荷重を残しているゴルファーとの大きな違いです。
一般的なゴルファーは、右足をベースとして身体の回転をつくります。
シェフラーは、まず右足をベースから外すことで、一支点の円運動を完成させます。
そして、その役割が終わった後に右足を再接地させ、今度は回転を支えるベースとして使います。
シェフラーの右足は、最初から最後まで同じ仕事をしているわけではありません。
荷重を抜いて支点から外れる。
直線的な入力の反動によって、カウンターとして動く。
再接地した後は、地面反力を受けて回転を支える。
役割が時間とともに切り替わっているのです。
したがって、右足を横へ滑らせる形だけをまねしても、シェフラーのスイングにはなりません。
左足一支点の円運動も、パワーパッケージも、インパクト直前の入力もないまま右足だけを動かせば、単にバランスを崩すだけです。
重要なのは右足がどのように見えるかではなく、いつ荷重を抜き、なぜ動き、いつ再び地面から力を受けるかです。
このように右足の役割を切り替えていたゴルファーは、シェフラーだけではありません。
ジャック・ニクラウス、グレッグ・ノーマン、デビッド・デュバル、そしてスコッティ・シェフラー。
加えて、ベン・ホーガンもそうですね。
次回は、各時代を代表するボールストライカーに受け継がれてきた「右足スライドの系譜」を見ていきます。
前回は、ホーマー・ケリーの「パワーパッケージ」について説明しました。
アーチ型の石橋やトラス構造と同じように、パワーパッケージが新しいエネルギーを生み出すわけではありません。
身体の回転によって生まれた力を受け止め、途中で逃がさず、クラブヘッドまで伝えるための構造です。
しかし、ここで一つの疑問が生まれます。
シェフラーは、ダウンスイングで右足の荷重を抜いています。
一般的にいわれるように、右足で地面を蹴った反力が飛距離を生み出すのであれば、その右足を使わないシェフラーは飛ばないはずです。
ところが、実際にはPGAツアーの平均を上回る飛距離を持っています。
なぜ、右足で地面を蹴なくても飛ぶのでしょうか。
その答えは、クラブヘッドの速さだけではなく、インパクトに参加する「有効質量」にあります。
ボールへ伝わるエネルギーを単純化すると、次の式で表せます。
運動エネルギー=1/2×質量×速度の2乗
ゴルフでは、ヘッドスピードばかりが注目されます。
速度は2乗でエネルギーに影響するため、もちろん重要です。
しかし、式の中にはもう一つ、「質量」があります。
ここでいう質量は、クラブヘッドの重量だけではありません。
インパクトの瞬間に、クラブヘッドの後ろへどれだけの質量が力学的につながっているか。
それが「有効質量」です。
同じ重量のクラブヘッドを、同じヘッドスピードでボールに衝突させたとしても、クラブヘッドが身体から切り離されたように動いている場合と、身体、腕、クラブが一つの構造としてつながっている場合では、衝突の重さが違います。
有効質量が小さければ、クラブヘッドはボールに当たった瞬間に大きく減速します。
有効質量が大きければ、クラブヘッドはボールから受ける衝撃に負けにくく、運動を保ったままエネルギーを伝えられます。
つまり、同じヘッドスピードでも、「軽い衝突」と「重い衝突」があるのです。
パワーパッケージが崩れ、肘や手首が身体の回転とは無関係に動けば、身体とクラブヘッドの間にある力の通り道が途切れます。
クラブヘッドは速く動いていても、その後ろにある身体の質量を十分に利用できません。
インパクトに参加するのは、クラブヘッドと、その近くで動いている一部の質量だけになります。
反対に、肩から腕、手、クラブまでの構造が維持されていれば、クラブヘッドは身体の回転から切り離されません。
身体、腕、クラブが一つの構造としてボールへ向かうため、より大きな質量が衝突に参加できます。
もちろん、身体全体がクラブヘッドと同じ速度で動いているわけではありません。
有効質量とは、体重そのものではなく、インパクト方向にクラブヘッドを支える「等価的な質量」です。
アーチ型の石橋が、石の重さをただ増やすのではなく、構造によって大きな荷重を受け止めるのと同じです。
シェフラーは筋力でクラブヘッドだけを速く動かしているのではありません。
パワーパッケージを維持することで、クラブヘッドの後ろに、身体の質量がつながった状態をつくっているのです。
パワーパッケージだけをつくっても、それを支える土台が動けば、構造全体は安定しません。
アーチ型の石橋も、両端の土台が動けば崩れます。
トラス橋も、支点が定まっていなければ荷重を受け止めることができません。
シェフラーのパワーパッケージを支えているのが、左足です。
右足の荷重を抜き、左股関節を一つの支点とすることで、肩からクラブまでの構造を受け止めています。
左足一支点が円の中心を定める。
パワーパッケージが円の半径を維持する。
そして、その構造が身体の質量をクラブヘッドの後ろへつなげる。
この三つが一つになることで、クラブヘッドは速いだけでなく、インパクトで「重く」なるのです。
そもそも、地面反力そのものがエネルギーを生み出しているわけではありません。
地面は、自らゴルファーを動かしてくれるわけではないからです。
ゴルファーが筋力によって地面を押し、その力を地面が押し返しているだけです。
地面反力は、身体が生み出した力を受け止め、その向きを変える働きをします。
シェフラーは、その役割を右足に求めていません。
右足で地面を強く蹴って身体の回転をつくるのではなく、右足を支点から外し、左股関節を中心とした円運動をつくります。
前傾した上体を重力によって回転させ、その動きをパワーパッケージによってクラブへ伝えます。
右足から新たな力を加えなくても、重力によって得た速度と、構造によって保たれた有効質量があるのです。
シェフラーの右足の動きをまねすると、飛距離が伸びるという動画をよく見かけます。
しかし、右足を横へ滑らせること自体が、クラブヘッドにエネルギーを与えているわけではありません。
右足を動かすことで右足の荷重が抜け、結果として左足一支点になりやすい。
左足一支点になることで、身体の回転と腕、クラブが同調しやすくなり、パワーパッケージが維持される。
その結果、有効質量が大きくなるため、同じように振ってもボール初速が上がる可能性があるのです。
飛距離を伸ばしているのは、右足の動きそのものではありません。
右足を支点から外すことによって完成する、左足一支点とパワーパッケージの構造です。
シェフラーは、スインガーの円運動によってクラブヘッドの速度をつくり、パワーパッケージによって有効質量を保ちます。
そして、インパクト直前だけヒッターの直線的な力を加える。
速いクラブヘッドに、大きな有効質量を与え、最後に直線的な加速を加える。
これが、右足で地面を蹴らないシェフラーが飛ぶ理由です。
ただし、シェフラーの右足には、まだもう一つ役割が残されています。
一度荷重が抜けた右足が、再び地面に接地したとき、今度は地面から反力を受け、身体の回転をアシストします。
次回は、シェフラーの右足が再接地した後に起こる「二度目の地面反力」について考えます。
前回は、左足一支点によって円の中心が定まり、インパクトにおける接線の向きが安定することを説明しました。
しかし、円の中心を一つにするだけでは、毎回同じ円を描くことはできません。
円の半径も維持しなければならないからです。
そこで登場するのが、ホーマー・ケリーの「パワーパッケージ」です。
パワーパッケージといっても、お得なバリューパッケージではありませんよ。
では、何と訳せばよいのでしょうか。
「力を詰め込んだ手」でしょうか。
手に力を詰め込んだら、ただ力んでいるだけです。
この言葉を理解するには、まず「構造が生み出す力」について考える必要があります。
構造によって大きな力を発揮するものとして、アーチ型の石橋があります。
石を一つだけ取り出しても、特別な力があるわけではありません。石を横に並べただけでは、重いものを載せれば崩れてしまいます。
ところが、石をアーチ型に組み合わせると、人や荷物の重さを何百年にもわたって支えることができます。
アーチに加わった荷重は、それぞれの石を押し合わせる圧縮力に変わり、曲線に沿って両側の土台へ伝わります。
石が新しい力を生み出しているのではありません。
石の形と位置関係によって、力の通り道がつくられているのです。
構造はエネルギーを生み出しません。
しかし、加えられた力を受け止め、その向きを変え、壊れにくい形で次へ伝えることができます。
構造の力をさらに分かりやすくしたものが、橋や鉄塔に使われるトラス構造です。
トラス構造の基本は三角形です。
四角形は、角の部分が動けば、辺の長さを変えなくても平行四辺形に変形できます。
しかし三角形は、三本の辺の長さが変わらない限り、形を変えることができません。
そのため、外部から力が加わっても、構造全体の形を維持しやすいのです。
トラスに加わった荷重は、部材を押す圧縮力と、引っ張る張力に分けられ、三角形の中を通って支点へ伝わります。
一本一本の部材を太く重くするだけが、強度を高める方法ではありません。
細い部材であっても、三角形として正しく組み合わせれば、構造全体で大きな荷重を受け止められます。
つまり、力を決めるのは筋力や材料の強さだけではありません。
どのような形で組み合わせ、どこへ力を通すかも重要なのです。
ゴルフスイングにおける肩、腕、手、クラブの関係も、考え方としてはトラス構造に似ています。
もちろん、人体が文字どおり鉄橋と同じ構造になっているわけではありません。
しかし、肩、両腕、手元がつくる三角形を核として、肩からクラブまでの位置関係を維持すれば、身体の回転によって生まれた力をクラブへ伝える道ができます。
反対に、肘が外れたり、手首が必要以上にほどけたりすれば、その構造は変形します。
構造が変形すれば、身体とクラブのつながりが切れ、力の通り道も変わります。
そして、肩からクラブヘッドまでの距離、つまり円の半径も変化してしまいます。
この、身体が回転しても肩から先の構造を維持し、一つの動力ユニットとして働かせる仕組みが、ホーマー・ケリーのいう「パワーパッケージ」です。
パワーパッケージとは、力を詰め込んでおく箱ではありません。
肩から腕、手、クラブまでを一つの構造としてまとめ、身体の回転によって生まれた力をクラブヘッドまで伝えるためのものです。
左足一支点が円の中心を定める。
パワーパッケージが円の半径を維持する。
中心と半径が安定することで、インパクトにおける接線の向きも安定します。
シェフラーの正確性は、一つ一つの関節を器用に調整することで生まれているのではありません。
力を通す構造そのものを、インパクトまで崩さないことによって生まれているのです。
シェフラーは、ダウンスイングで右足の荷重を抜き、インパクト付近では右足が浮くほど身体を左へ移します。
なぜ、そこまで左へ移るのでしょうか。
それは、左足だけで身体を支え、左股関節を回転の支点とするためです。
ここでいう「左足一支点」とは、最初から片足で構えるという意味ではありません。
インパクトに向かう過程で右足を支点から外し、左股関節を中心とした一つの回転運動をつくるという意味です。
では、なぜ支点を一つにすると、ボールストライキングが安定するのでしょうか。
ダウンスイングでも右足に荷重が残っていれば、身体には右足と左足という二つの支点があります。
右足で地面を押し、その力を左足で受け止めながら身体を回転させるため、左右の足を組み合わせた運動になります。
右足で押す力、左足で受け止めるタイミング、そして左右の荷重配分。
この組み合わせが変われば、身体の回転中心も動きます。
回転中心が動けば、クラブヘッドが描く円も変わります。
一方、シェフラーは右足の荷重を抜き、左股関節だけを支点とします。
支点が一つであれば、左右の足の力を毎回同じように組み合わせる必要がありません。
左股関節の位置が保たれていれば、身体はその一点を中心として回転できます。
円の中心が定まるのです。
ゴルフスイングを単純化すると、クラブヘッドは身体の周囲を円運動しています。
ここで、円に関する一つの定理が重要になります。
円の中心と接点を結ぶ半径は、その接点に引いた接線と必ず直角に交わる。
円運動をしている物体は、その瞬間、その円の接線方向へ進もうとします。
したがって、クラブヘッドが円運動しているなら、インパクトにおけるクラブヘッドの進行方向は、その地点に引かれた接線方向になります。
ボールを正確に飛ばすには、この接線の向きを毎回そろえなければなりません。
しかし、接線だけを直接そろえようとする必要はありません。
円の中心と、クラブヘッドがボールに接する位置が同じであれば、接線の向きは幾何学的に決まるからです。
シェフラーは、右足を支点から外し、左股関節を一つの中心として回転します。
円の中心が動かなければ、インパクトにおける半径の向きが安定します。
半径の向きが安定すれば、それと直角に交わる接線の向きも安定します。
つまり、クラブヘッドの進行方向が安定するのです。
右足と左足という二つの支点を使えば、その力の配分によって回転中心が変化します。
回転中心が変われば、同じボール位置でインパクトしても、そこに生まれる接線の向きは変わります。
クラブヘッドの進行方向が変わるため、最後は手を使って軌道やフェースの向きを修正しなければなりません。
しかし、左足一支点であれば、円の中心を一つに固定できます。
円の中心が決まれば、半径が決まる。
半径が決まれば、接線が決まる。
接線が決まれば、クラブヘッドがボールを押し出す方向も決まります。
これが、左足一支点のスイングがボールストライキングを安定させる理由です。
シェフラーは、インパクトのたびに器用にクラブヘッドの方向を調整しているのではありません。
右足を支点から外して円の中心を一つにすることで、クラブヘッドが通過する接線を毎回そろえているのです。
ただし、左足を支点にするだけで、同じ円が完成するわけではありません。
身体が回転する途中で肩から先の構造が崩れれば、クラブヘッドまでの半径が変わり、接線の向きも変わってしまいます。
では、身体が回転しても円の半径を変えないためには、何が必要なのでしょうか。
次回は、ホーマー・ケリーが定義した「パワーパッケージ」について考えます。
石川県加賀市の片山津ゴルフ倶楽部・白山コースで、「ソニー 日本女子プロゴルフ選手権大会」が開催されました。
父親が富山県、母親が石川県七尾市の出身である山下美夢有選手にとって、北陸は縁の深い土地です。
その石川県で、どうしても欲しかった日本女子プロのタイトルを、吉澤柚月選手とのプレーオフの末につかみ取りました。
ショットは決して本調子とはいえない状態でしたが、それでも最後には勝ち切る。そこに山下選手の強さがあったと思います。
テレビ中継を見ていましたが、随所に見応えのあるプレーがありました。
特に印象に残ったのが、勝みなみ選手の16番ホールです。見事なセカンドショットからイーグルを奪い、一気に優勝争いへ戻ってきました。
しかし、続く17番では痛恨の3パット。優勝まで、あとわずかに届きませんでした。
そして、優勝争いの明暗を分けたのが、18番ホールのセカンドショットでした。
正規ラウンドの18番、山下選手のティーショットは右の深いラフへ入りました。
グリーンを狙うべきライではなく、セカンドショットはレイアップしなければなりません。
ここで山下選手は、ハイブリッドによるハーフショットを選択しました。
ボールを確実にフェアウェイへ運び、残り88ヤード。そこから第3打をピン右手前約1メートルにつけ、1パットのパーでホールアウトしました。
そして、吉澤選手とのプレーオフ。舞台は再び18番ホールです。
山下選手がフェアウェイを捉えたのに対し、吉澤選手のティーショットは、先ほどの山下選手と同じ右の深いラフへ入りました。
吉澤選手もグリーンを狙わず、レイアップしてパーを取る戦略です。
つまり、二人の戦略は同じでした。
しかし、吉澤選手がレイアップにアイアンを選択したのを見た瞬間、店長は「これはまずい」と思いました。
その嫌な予感は的中します。
インパクトでネックに芝が絡み、フェースが閉じたことで、ボールは大きく左へ飛び出してフェアウェイバンカーへ。そこからの第3打もグリーン奥のカラーまでオーバーし、ボギーとなりました。
二人とも選んだのは、レイアップしてパーを取るという同じ戦略です。
それにもかかわらず、なぜ山下選手のハイブリッドは成功し、吉澤選手のアイアンは失敗したのでしょうか。
ハイブリッドは、幅が広く丸みを帯びたソールによって、芝の上を滑らせながらボールを運びやすい形状をしています。
また、一般的にアイアンよりもヘッドの慣性モーメントが大きいため、芝から偏った抵抗を受けても、フェースの向きが変わりにくいという特徴があります。
一方、アイアンはネックとフェースの境目がはっきりしています。そこに長い芝が絡んで強い抵抗が加わると、シャフト軸を中心にフェースを急激に閉じる力が働きます。
吉澤選手のショットが左へ飛び出したのは、この現象だったと考えられます。
「ラフに入ったらアイアン」と、最初から決めているゴルファーは多いと思います。
しかし、ラフから使うクラブは、芝の長さや密度、ボールがどの程度沈んでいるか、そして次にどこまで運べばよいかによって変わります。
ボールが完全に沈んでいれば、ロフトのあるアイアンやウェッジで上から入れなければならない場合もあります。
しかし、ボールがある程度浮いていて、グリーンを狙うのではなくフェアウェイへ運ぶことが目的なら、ハイブリッドのハーフショットが安全な選択になることもあります。
ラフからのショットで大切なのは、何番で打てば最も遠くへ飛ばせるかではありません。
芝の抵抗を受けてもフェースを管理し、次のショットを打てる場所までボールを運べるのは、どのクラブなのか。
クラブをコントロール下に置くとは、自分のスイングだけをコントロールすることではありません。ライから受ける抵抗まで考え、その中でフェースを管理できるクラブを選ぶことも含まれます。
これからラフにボールが入ったときには、今回の山下選手のハイブリッドによるレイアップを、ぜひ思い出してほしいと思います。
このような右足の使い方をしているゴルファーは、シェフラーだけではありません。
時代順に並べると、ジャック・ニクラウス、グレッグ・ノーマン、デビッド・デュバル、そしてスコッティ・シェフラーです。
もちろん、4人の右足がまったく同じように動いているわけではありません。動き始めるタイミングも、方向も、移動量も異なります。
しかし、4人には右足の動き以上に重要な共通点があります。
それが、ボールストライキングです。
ニクラウスは「帝王」と呼ばれ、圧倒的な飛距離と正確なロングショットでメジャー最多勝記録を築きました。
ノーマンは長期間にわたって世界ランキング1位に君臨し、ドライバーとアイアンの両方で高い評価を受けたボールストライカーです。
デュバルも世界ランキング1位となり、PGAツアーで「59」を記録した、当時を代表するボールストライカーでした。
そして現在、その位置にいるのがシェフラーです。
つまり、右足が動く4人を並べると、単に個性的なフットワークを持った選手が集まったのではありません。
それぞれの時代で、ボールの行方を高い精度でコントロールしたゴルファーが並んでいるのです。
これは偶然なのでしょうか。
店長は、右足を動かすこと自体が正確性を生んでいるとは考えていません。
右足の荷重を抜くことで、右足を第二の支点から外す。左側を中心とした一支点の円運動を成立させ、ヒップ、上体、腕、クラブを同調させる。
その結果として、右足が自由に動けるようになります。
つまり、右足のスライドは正確なボールストライキングを生む原因ではありません。
正確なボールストライキングを生み出す運動を選んだ結果として、右足のスライドが現れているのです。
その原型ともいえるのが、ジャック・ニクラウスです。
ニクラウスは、シェフラーほど右足を大きく滑らせるわけではありません。しかし、ダウンスイングで右足を強く固定されたベースとして残さず、身体を左へ移して、左側を中心に大きく回転しています。
次に、その右足の動きがより明確に表れているのがグレッグ・ノーマンです。
ノーマンの右足は、インパクト付近でわずかに後方へ動きます。右足をベースとして押し続けるのではなく、荷重を抜くことで一支点の回転を妨げないようにしています。
そして、その動きがさらに分かりやすいのがデビッド・デュバルです。
デュバルも右足の荷重を早く抜き、左側へ大きく移動してインパクトを迎えます。腰、上体、腕が同調して回転するため、クラブに加えた力の反動が右足の動きとして現れます。
シェフラーでは、その動きが最も大きく、はっきりと見えます。
ニクラウスでは右足の解放として現れ、ノーマンでは小さなスライドとなり、デュバルではさらに明確になり、シェフラーでは右足全体が大きく後方へ動きます。
ただし、これは右足を動かす技術が、ニクラウスからシェフラーへ直接受け継がれたという意味ではありません。
時代の異なる4人が、正確にボールを打つ方法を追求した結果、同じような運動構造にたどり着いたと考えるべきでしょう。
これは、「右足をスライドさせる技術」の系譜ではありません。
右足を支点から外し、一つの円運動によってクラブをコントロールする、優れたボールストライカーの系譜なのです。
シェフラーの右足だけを見れば、非常に特殊で、再現性の低そうなスイングに見えます。
しかし、ニクラウス、ノーマン、デュバルと並べて見ると、その印象は変わります。
右足が大きく動くから不安定なのではありません。
右足を支点として使わないからこそ、運動の中心が一つになり、ボールの行方を予測できるのです。
ホブランは、単に現在の世界ナンバーワンと戦っていたのではありません。
ニクラウス、ノーマン、デュバルという、各時代を代表するボールストライカーの系譜。その先にある完成形と戦っていたのです。
だからこそ、シェフラーのショットを見て、
“He knows where the ball’s going.”
「彼は、ボールがどこへ行くか分かっている」
という考えが浮かんだのでしょう。
ホブランが欲しいと感じたのは、シェフラーの右足の動きではありません。
一つの支点でクラブをコントロールし、飛距離を出しながら、ボールの行方まで予測できる。その完成されたボールストライキングなのです。