PING Trajectory Tuning 2.0は、公式には次の8ポジションになっています。
| ポジション | ロフト調整 |
|---|---|
| Standard | 0° |
| Small + | +1.0° |
| Big + | +1.5° |
| Small − | −1.0° |
| Big − | −1.5° |
| Flat | 0° |
| Flat + | +1.0° |
| Flat − | −1.0° |
トルクレンチの説明書にも、このように記載されています。

つまり公式の説明では、まず大きく
ノーマルライ角
と
フラットライ角
の2つのグループがあり、
ノーマルライ角では、
標準ロフト
±1°
±1.5°
フラットライ角では、
標準ロフト
±1°
という構成になっています。
ここだけを見ると、
「ロフトを変えるポジション」と
「ライ角をフラットにするポジション」
が別々に存在しているようにも見えます。
しかし、実際のアダプターはどうやってこれを実現しているのでしょうか。
8ポジションを45°ずつ回転させる
Trajectory Tuning 2.0には8つのポジションがあります。
ということは、円周上では、
360° ÷ 8 = 45°
ずつ配置されていることになります。
そして、このアダプターのシャフト軸が、ホーゼルの中心軸に対して1.5°傾いていると仮定します。
この1.5°の傾きを45°ずつ回転させていくと、その傾きはロフト方向とライ方向に分解されます。
すると、概算では次のようになります。
| 位置 | ロフト変化 | ライ角変化 |
| Standard | 0° | 0° |
| Small + | +1.06° | −0.44° |
| Big + | +1.50° | −1.50° |
| Flat + | +1.06° | −2.56° |
| Flat | 0° | −3.00° |
| Flat − | −1.06° | −2.56° |
| Big − | −1.50° | −1.50° |
| Small − | −1.06° | −0.44° |
どうでしょう。
PING公式の、
±1°
±1.5°
最大3°フラット
という数字が、ほぼそのまま出てきます。
Small ±の約1.06°は、公式表示では±1°。
Big ±はちょうど±1.5°。
Flatではロフト変化が0°となり、ライ角がちょうど3°フラット。
つまり、かなりきれいに一致します。
実際には「ロフトだけ」が変わっているわけではない
ここが一番重要なところです。
公式表示では、
Small + = +1°
と書かれています。
しかし、幾何学的に考えると、
ロフト +1.06°
ライ角 −0.44°
という組み合わせになっていると考えられます。
Big +なら、
ロフト +1.50°
ライ角 −1.50°
Flat +なら、
ロフト +1.06°
ライ角 −2.56°
です。
つまり、Trajectory Tuning 2.0は、
ロフトを変えるポジション
と
ライ角を変えるポジション
が独立して存在しているのではありません。
実際には、
傾いたシャフト軸を回転させることで、ロフトとライ角の組み合わせを変えている
ということになります。
なぜ3°フラットになるのか
これも1.5°という数字から説明できます。
Standardでは、シャフト軸の1.5°の傾きが一方向を向いています。
そこから180°回転したFlatでは、その傾きが完全に反対側を向きます。
つまり、
+1.5° → −1.5°
となるため、その差は、
3.0°
です。
だからFlatポジションでは、Standardに対して最大3°フラットになる。
「中心から3°ずれている」のではなく、
中心から1.5°ずれていて、その反対側まで動くことで合計3°の差が生まれる
と考えると、非常に分かりやすくなります。
そうだったのか、Trajectory Tuning 2.0
公式の説明だけを見ると、
ノーマルライ角
フラットライ角
という2種類があり、
その中でロフトを変えているように見えます。
しかし、実際の構造を考えると印象はかなり変わります。
Trajectory Tuning 2.0は、
ロフト調整機能
というより、
シャフト軸の方向を3次元的に変えることで、ロフトとライ角の組み合わせを作る機構
と考えた方が本質に近いのではないでしょうか。
そして、その数値を計算してみると、
公式表示の±1°、±1.5°、最大3°フラットが、1.5°偏心・45°刻みという構造で非常にきれいに説明できます。
そうだったのか、PING Trajectory Tuning 2.0。
公式のロフト・ライ角表示から受ける印象とは、ずいぶん違って見えてきます。
そして、さらに面白いことがあります。
USとJAPANでは、同じヘッドを使っているにもかかわらず、カタログに表示されているライ角の数値が違います。
なぜ同じクラブなのに、ライ角が違うのでしょうか。
次回は、この謎について考えてみたいと思います。
