G440の各モデルが、上級者用、初心者用という技量別に分けられているのではなく、
必要な打ち出し
必要なスピン量
消したい左右のミス
によって分けられていることを紹介しました。
では、実際のフィッティングでは、何から決めていけばよいのでしょうか。
ドライバーには、非常に多くの調整項目があります。
- ヘッドモデル
- ロフト
- シャフト
- シャフト長
- Trajectory Tuning Sleeve
- CG Shifter
- ヘッド重量
- スイングウェイト
これらを見ていると、どこから手をつければよいのか分からなくなります。
実際、すべてを同時に変更すると、
何を変えたことで、弾道が変化したのか
が分からなくなります。
PINGは、ドライバー・フィッティングを大きく二つに分けています。
まず縦方向を合わせる。
その後、左右方向を合わせる。

という考え方です。
Podcastの会話
20:29~22:16
シェーン:
CG Shifterは以前からある技術ですが、ロフトを変更したときにも、組み合わせて使えるということですね。
一つの調整機能で起きた変化を、別の調整機能で補うこともできます。
マーティ:
そのとおりです。
ドライバー・フィッティングは、まず「縦方向のフィッティング」として考えると分かりやすくなります。
横から弾道を見て、ボール初速を最大化し、打ち出し角とスピン量を最適化します。
縦方向のフィッティングでは、主にヘッドモデル、ロフト、Trajectory Tuning Sleeveを使います。
それがおおむね適正な範囲に入ったら、今度は弾道を上空から見ます。
そこで、左右方向のフィッティングを行います。
各モデルには、それぞれ固有の左右バイアスがあります。
G440 KにはCG Shifterが搭載されました。
非常に高い慣性モーメントを持つヘッドでありながら、重心位置を動かすことができます。
これによって、左右方向のバイアスと散らばりを最適化できます。
左右方向の調整には、モデルの特性を基礎として、CG Shifter、クラブ長、Trajectory Tuning Sleeveを使います。
そして、最後の仕上げとしてスイングウェイトを使います。
右打ちの場合、スイングウェイトを少し重くすると、弾道をやや右へ寄せ、左へのミスを抑える方向へ働くことがあります。
反対に、ヘッド重量とスイングウェイトを少し軽くすると、フェースが閉じた状態で届きやすくなり、ヘッドをスクエアへ戻しやすくなります。
店長の解説
この説明で重要なのは、PINGがドライバー・フィッティングを、
飛距離のフィッティング
方向性のフィッティング
とは表現していないことです。
PINGが使っているのは、
縦方向
左右方向
という区分です。
この違いは重要です。
飛距離は、単にボール初速だけで決まるわけではありません。
方向性も、単にフェースが右を向いたか左を向いたかだけで決まるわけではありません。
ドライバーの弾道は、三次元で発生しています。
その三次元の弾道を、まず横から見て整え、その後に上から見て整えるという考え方です。
縦方向のフィッティングとは何か
縦方向のフィッティングでは、弾道を横から見ます。
主に確認するのは、
- ボール初速
- 打ち出し角
- スピン量
- 最高到達点
- キャリー
- 落下角度
です。
ボール初速が十分でも、打ち出しが低すぎれば、キャリーを得られません。
打ち出しが高くても、スピン量が多すぎれば、ボールは上へ浮き、前へ進みにくくなります。
反対に、スピン量が少なすぎれば、ボールが十分に浮かず、途中でドロップすることがあります。
つまり、縦方向では、
どれだけ速く飛び出したか
どの高さで打ち出されたか
空中でどれだけ回転しているか
を合わせます。
ここで中心になるのが、
ヘッドモデルとロフトの組み合わせ
です。
モデルとロフトが、弾道の核になる
Podcastでは、フィッティングの最初に、
モデルとロフトの組み合わせを核にする
と説明されています。
モデルによって、
- 重心位置
- 慣性モーメント
- 打ち出し傾向
- スピン量
- 芯を外したときの変化
が異なります。
そこへロフトを組み合わせることで、縦方向の基本弾道が決まります。
たとえば、同じ10.5度という表示であっても、
- Kの10.5度
- MAXの10.5度
- LSTの10.5度
- SFTの10.5度
では、同じ弾道にはなりません。
ヘッドの重心位置、形状、慣性モーメントが違うからです。
さらに、同じモデルでも、
- 9度をプラス設定にする
- 10.5度をマイナス設定にする
という二つの方法では、表示上のロフトが近くなっても、フェース角や構えたときの見え方が変わることがあります。
したがって、ロフトという一つの数字だけではなく、
どのモデルの、どのロフトを、どのスリーブ位置で使うのか
までを一つの組み合わせとして考える必要があります。合ったモデルは他のモデルと比べて明らかに弾道が変わる事が多いです。初速が上がり、最適な打ち出し角を得る事ができます。
最初から左右を合わせようとしない
フィッティングでは、ゴルファーが右へ打てば、すぐにつかまる設定へ変更したくなります。
左へ打てば、すぐにフェード設定へ変更したくなります。
しかし、その前に縦方向が適正であるかを確認しなければなりません。
たとえば、右へ飛んでいるボールが、
- フェースが開いているから右へ飛んでいる
- スピン量が多く、吹き上がりながら右へ曲がっている
- ロフトが足りず、低く右へ滑っている
- 打点がヒール側へ寄って右回転が増えている
のでは、必要な調整が違います。
単にCG Shifterをドロー位置へ動かしても、縦方向の条件が崩れていれば、問題の本質は解決しません。
まず、
このゴルファーに必要な高さとスピン量はどこにあるのか
を決めます。
その後で、
その弾道を、どちらへ出し、どの程度曲げるのか
を合わせるのです。
左右方向のフィッティングとは何か
縦方向がおおむね適正になったら、弾道を上空から見ます。
ここで確認するのは、
- 打ち出し方向
- 曲がる方向
- 曲がり幅
- スピン軸
- 左右の散らばり
- 打点位置
- 出したくないミス
です。
同じ右ミスでも、
右へ出て、そのまま真っすぐ飛ぶ球
と、
真っすぐ出て、右へ大きく曲がる球
では意味が違います。
前者は、主にフェース向きやスイング方向による打ち出しの問題です。
後者は、フェースと軌道の関係や、打点によってスピン軸が傾いている可能性があります。
そのため、左右方向のフィッティングでは、単に最終着弾地点だけを見るのではなく、
どこへ打ち出され、そこからどのように曲がったのか
を見る必要があります。
縦の調整が終わった後は、後者のスライスはかなり少なくなることがほとんどです。
CG Shifterの役割
G440 KにCG Shifterが搭載されたことを、PINGのフィッターが高く評価している理由もここにあります。
Kは非常に高い慣性モーメントを持つヘッドです。
従来、高MOIを最大化したヘッドでは、重心位置を大きく動かすことが難しくなります。
しかしG440 Kでは、高MOIを維持しながら、後方ウェイトの位置を変更できます。
これによって、
- ドロー方向
- ニュートラル方向
- フェード方向
へ左右バイアスを調整できます。
つまり、
縦方向の安定性を高MOIで確保しながら、左右方向をCG Shifterで調整する
ことができます。
これはKを、単に曲がりにくいだけのドライバーではなく、
曲がりにくさを土台として、出したくないミスに合わせられるドライバー
にしています。
シャフト長も左右方向に関係する
クラブを長くすれば、理論上はヘッドスピードを上げやすくなります。
しかし、長くなるほど、
- 打点がばらつく
- フェースの戻るタイミングが変わる
- 構えたときの距離が変わる
- スイングプレーンが変わる
- 左右の散らばりが増える
可能性があります。
反対に、短くすれば、必ず方向性が良くなるわけではありません。
短くなったことで、
- 前傾角度
- 手元位置
- ボールとの距離
- ヘッドの感じ方
が変わり、かえってフェースの届き方が不安定になるゴルファーもいます。
したがって、シャフト長は単なる飛距離の調整項目ではありません。
左右方向の打点とフェースデリバリーを整える要素でもあります。
ラウンド中、左右に散らばって困るといく時は思い切ってグリップを余らせてスイングします。そうする事で弾道が抑えられると同時左右の散らばりも推されられるとので、スイングのタイミングが戻るまでじっと我慢しますが、それは、スイングが持っている自然にクラブをターンさせる力が、現在のシャフトの長さに対して見合っていないから、起きる現象であることをフィッテングを通じてわかっているからなんです。
スイングウェイトは最後の微調整
Podcastでは、スイングウェイトを、
左右方向の最後の仕上げ
と説明しています。
ここは誤解しやすい部分です。
右打ちの場合、一般的な傾向として、
- ヘッドを重くする
→ フェースが戻る速度を抑え、左へのミスを減らす方向 - ヘッドを軽くする
→ フェースを戻しやすくし、つかまりを増やす方向
へ働くことがあります。
しかし、
重くすれば必ず右へ行く
軽くすれば必ず左へ行く
という意味ではありません。
ゴルファーによっては、ヘッドを重くした方がクラブの位置を感じやすくなり、フェースをスクエアへ戻しやすくなることもあります。
逆に軽くしすぎると、ヘッド位置を感じられず、フェースが開く人もいます。
スイングウェイトは、ボールを直接右や左へ動かす装置ではありません。
ゴルファーがクラブをどのように動かし、フェースをどの状態で届けるかを変える入力条件
です。
だからこそ、最初に使うのではなく、縦方向と左右方向がおおむね整ったあとに使うのです。
すべてを一度に動かすと、原因が分からなくなる
ドライバーの調整が難しく感じる理由は、すべての調整項目が互いに関係しているからです。
ロフトを変えれば、
- 打ち出し角
- スピン量
- フェース角
- 構えたときの見え方
が変わる可能性があります。
CG Shifterを動かせば、
- 左右バイアス
- 打点傾向
- ヘッドの感じ方
が変わります。
シャフト長を変えれば、
- ヘッドスピード
- 打点
- スイングウェイト
- フェースデリバリー
も変わります。
ここで複数の項目を同時に大きく変えると、弾道が改善しても、
何が良かったのか
が分かりません。
反対に悪化しても、
どの変更を戻せばよいのか
が分からなくなります。
そのため、PINGは調整の順番を明確にしています。
フィッティングの基本順序
PINGの説明を整理すると、基本的な順番は次のようになります。
1.モデルとロフトを決める
まず、必要な打ち出しとスピン量を作るための土台を決めます。
2.ボール初速、打ち出し角、スピン量を合わせる
横から弾道を見て、縦方向を最適化します。
3.左右のミスを確認する
上空から弾道を見て、打ち出し方向と曲がり幅を確認します。
4.CG Shifter、スリーブ、クラブ長を調整する
左右方向のバイアスと散らばりを合わせます。
5.スイングウェイトで微調整する
フェースデリバリーとヘッドの感じ方を最後に整えます。
この順番で進めれば、
何を変えるために、どの機能を使っているのか
が明確になります。
調整機能には、それぞれ主な役割がある
実際には、一つの調整機能が縦方向と左右方向の両方へ影響します。
たとえばTrajectory Tuning Sleeveは、ロフトだけでなく、ライ角やフェース角にも影響します。
CG Shifterも、左右方向だけでなく、打点や打ち出し条件へ影響することがあります。
しかし、それでもフィッティングでは、
この調整を、今は何のために使っているのか
を明確にしなければなりません。
ロフトを動かしているのか。
フェースの見え方を変えているのか。
打点を変えようとしているのか。
左へのミスを消そうとしているのか。
目的が分からなければ、調整は単なる試行錯誤になります。
目的が明確なら、調整機能は問題を解決する道具になります。
フィッティングは、数字を良く見せる作業ではない
弾道測定器を使うと、ゴルファーは一番飛んだ一球に目を向けがちです。
しかし、フィッティングで見るべきなのは、その一球だけではありません。
- 平均ボール初速
- 平均キャリー
- スピン量の幅
- 打ち出し角の幅
- 左右の散らばり
- 打点分布
- 最も悪いミス
を確認する必要があります。
縦方向だけが良くても、左右の散らばりが大きければ、コースでは使えません。
左右だけが狭くても、弾道が低すぎてキャリーを失っていれば、十分な性能を得られていません。
フィッティングとは、
一番良い一球を作ること
ではなく、
縦と横の両方で、繰り返し使える範囲を作ること
です。
今回の結論
ドライバー・フィッティングには、多くの調整項目があります。
しかし、すべてを一度に考える必要はありません。
まず、弾道を横から見ます。
そこで、
- ボール初速
- 打ち出し角
- スピン量
- キャリー
を合わせます。
これが縦方向のフィッティングです。
次に、弾道を上空から見ます。
そこで、
- 打ち出し方向
- 曲がり幅
- スピン軸
- 左右の散らばり
- 出したくないミス
を合わせます。
これが左右方向のフィッティングです。
縦方向では、主にモデルとロフトが土台になります。
左右方向では、モデル固有の特性に加えて、CG Shifter、クラブ長、スリーブ、スイングウェイトを使います。
重要なのは、
調整機能を動かすこと
ではありません。
何を変えるために、その機能を動かしているのか
を理解することです。
まず縦を合わせる。
次に横を合わせる。
この順番があるからこそ、複雑に見えるドライバー・フィッティングを整理できます。
次回は、
理想の球筋を作るのではなく、打ちたくないミスを消す
というPINGのフィッティング思想を見ていきます。
