さて、G740アイアンのストッピングパワーについて考えてみましょう。
G740アイアンの特徴は、楽に飛距離が出ることです。
この手の飛び系アイアンは、「飛ぶけれど止まらない」と言われることがあります。では、G740アイアンはどうでしょうか。
G740は飛び系アイアンですので、スピン量はやや少なめです。実際に店頭で打ってみても、また複数のレビューを見ても、G740は低スピン傾向にあると評価されています。しかしその一方で、ボールが非常に上がりやすいことも共通して指摘されています。
飛び系アイアンでは、ロフトが立ち、ボール初速が上がることで、どうしてもスピン量は少なくなりやすくなります。その結果、ただ飛ぶだけのアイアンでは、グリーンに落ちてから前へ行ってしまいます。
G740のストッピングパワーは、スピンで強く止めるというより、高い打ち出しと大きな落下角でグリーンに止める思想です。
もちろん、G740にもある程度のスピンは入りますので、スピン量もストッピングパワーに貢献しています。ただし、今回はスピンではなく、弾道の高さと落下角に絞って解説します。
レビュー等でも、G740はスピン量こそやや少なめながら、弾道が高く、大きな落下角によってグリーンに止まる球を生み出しやすいと評価されています。海外レビューでも、低スピン傾向を高弾道が補い、長い番手でもグリーンを狙える高さが出る点が評価されています。
前モデルのG730アイアンは、日本仕様では飛距離を重視したパワースペックロフトが標準でした。それに対して今回のG740では、ストッピングパワーをより意識し、標準ロフトが採用されています。さらにVFTフェースの採用により、ロフトを過度に立てなくてもボール初速を確保できる設計になっています。
つまりG740のストッピングパワーは、
飛距離を出すための高初速、
やさしく上がるための低重心設計、
そしてグリーンに止めるための大きな落下角、
この3つのバランスで成り立っています。
スピン量だけを見れば、いわゆるツアー系アイアンのような止まり方ではありません。
高弾道とバリアブルキャンバーソール
プロや上級者がターゲットのプレーヤーズアイアンでは、ボールを止める大きな原動力はスピンです。
アイアンのソールが地面にコンタクトする前にボールへコンタクトし、ボールの先のターフを取る。いわゆるダウンブローのインパクトです。この打ち方では、適切なロフト、入射角、フェースとボールの摩擦によってスピン量を確保し、グリーン上でボールを止めます。
しかし、ロフトが立ったディスタンス系アイアンで同じように強く打ち込むと、スピンが増える効果よりも、単に打ち出しが低くなる影響の方が大きくなる場合があります。すると、ボールは強く前へ飛びますが、グリーン上で止めるための高さと落下角が不足してしまいます。
G740のような飛び系アイアンでは、ツアー系アイアンのように強く打ち込んでスピンで止めるよりも、ボールをしっかり上げて、上から落として止めることが重要になります。
そのためには、インパクトポイントを極端に下へ入れすぎるのではなく、フェース上で安定した高さに当てることが大切です。打点が低すぎると、打ち出しが低くなり、スピンが入っても止まりにくい弾道になります。逆に、適正な高さでインパクトできれば、G740の低重心設計とフェースのたわみが働き、ボールを高く打ち出しやすくなります。
ここで関係してくるのが、バリアブルキャンバーソールです。
G740は、ソールが地面にコンタクトすることを前提に、抜けの良さを考えた設計になっています。飛び系アイアンを使うゴルファーは、プロのように鋭く打ち込むというより、ソールを使いながらボールを拾い、安定した高さを出すことが重要になります。
バリアブルキャンバーソールは、ヘッドが地面に接触したときの抵抗を減らし、ソールが引っかかりにくくなるように設計されています。これにより、多少手前から入ってもヘッドが減速しにくく、ボールを高く打ち出しやすくなります。
つまり、G740を使うゴルファーにとって重要なのは、強いスピンで止めることではありません。
必要なのは、安定したコンタクトによって十分な高さを出し、大きな落下角でグリーンにキャリーさせて止めることです。
ここが、G740のストッピングパワーの本質です。
G440ドライバーでは「飛び重心」というキャッチフレーズが使われましたが、G740にもそれに近い考え方があります。
重心設計によってボールを飛ばす。
そして、重心設計によってボールを高く上げ、止める。
そう考えると、G740は単に「飛ぶアイアン」ではありません。
飛ばすための重心設計と、止めるための高弾道設計が両立されたアイアンです。
個人的には、
「見た目だけじゃない。この完成度、反則級。」
というコピーだけではなく、
「飛び重心が、ボールを飛ばし、ボールを止める。」
そんな表現でもよかったのではないかと思います。
