ライ角が合うと、シャフトの違いが見えてくる

昨日のG440のフィッティングには、もう少し続きがあります。

今回のG440アイアンは、ライ角を変更することになりました。

ライボードで確認した結果、必要なカラーコードはグリーン。
つまり、まずはライ角を正しく合わせることが最優先です。

ただ、今回のお客様はかなりヘビーなお客様です。

せっかくここまで原因が見えてきたので、店長としては、もう一歩踏み込んでみたくなりました。

「では、このお客様に本当に合うシャフトは何なのか」

ということで、ついでと言っては何ですが、シャフトフィッティングにも入ることにしました。

最初の問題は、ライ角でした。

しかし、ライ角を合わせたうえで、さらにシャフトが合っているかどうかを見ていくと、クラブ全体の答えはよりはっきりしてきます。

なぜなら、ライ角はインパクト時のヘッドの向きを整えるための要素であり、いわば、クラブのトウ、ヒール方向の動きを正常化したのです。

このままでは、クラブの目標方向の動きは合わせていないという事になります。シャフトはそのヘッドをどのようなタイミングで、どのような力感で戻してくるかに関わる重要な要素です。今回の場合、トウハングが大きくなった状態で、目標方向の動きがお客様の要求する動きとなるかということです。

つまり、ライ角とシャフトは別々の問題ではありません。

(トウハングを含めたダイナミックな)ライ角が合っていない状態でシャフトを見ても、本当の答えは見えにくい。
逆に、ライ角が合ってくると、シャフトの違いもはっきり見えてきます。

今回のフィッティングは、まさにその順番でした。(これが、ヘッドを決定してからというフィッティングの順番となる理由です。)

まず、G440アイアンというヘッドに対して必要なライ角を確認する。
そのうえで、このお客様にとって、どのシャフトが一番自然にヘッドを戻してくれるのかを見ていく。

ここから、シャフトフィッティングの話に入っていきます。

これまでのお客様は、Dynamic Gold S300、S200といったシャフトをお使いでした。

ですので、重量のあるスチールシャフトに慣れているお客様です。

ただし、ここで問題になるのは、これまでここまで大きなヘッドのアイアンを使ってきた経験がない、という点です。

G440アイアンは、ミスヒットに強い大型ヘッドです。
しかし、ヘッドが大きくなるということは、重心距離が長くなり、ヘッドの動き方も変わります。

これまでのコンパクトなヘッドであれば、Dynamic Goldでも自然にヘッドがついてきた。
しかし、G440のような大型ヘッドになると、同じDynamic Goldでも、少しレスポンスが悪く感じる可能性があります。

ライ角は合わせました。

しかし、ライ角を合わせただけで、すべてが解決するわけではありません。

ライ角は、インパクト時のヘッドの向きを整えるための要素です。
一方で、シャフトは、スイング中にヘッドがどのタイミングで、どのように戻ってくるかに関わります。

今回の場合、Dynamic Goldではヘッドの追従性が少し落ちているはずだと考えました。

もちろん、Dynamic Goldが悪いという話ではありません。

ただ、G440アイアンのように重心距離の長いヘッドと組み合わせた時に、お客様のスイングに対してヘッドの戻りが少し遅れる。
あるいは、手元の動きに対してヘッドが自然についてこない。

そういう状態になっている可能性があります。

そこで店長としては、ある程度、試すべきシャフトの目安はついていました。

狙いは、シャフトのしなり感があり、ヘッドの追従性を上げることです。

ただ軽くするのではありません。
ただ柔らかくするのでもありません。

手元側にしなり感がありながら、レスポンスがいい。
手元から中間部にかけて、しっかりとした張りがあり、ヘッドが遅れすぎない。

そういうシャフトを探していきます。

重い、硬い、軽い、柔らかい、という単純な分類ではありません。

今回見たいのは、ヘッドがプレーヤーの動きに対して、どれだけ自然に追従してくるかです。

大型ヘッドのG440アイアンを使うのであれば、ヘッドの寛容性を活かしながら、同時にヘッドが遅れすぎないシャフトを選ぶ必要があります。

その中で、店長の本命として考えていたのが、N.S.PRO MODUS³ TOUR 130 Rです。

MODUS³ TOUR 130 Rは、単に重くて硬いシャフトというより、手元から中間部にかけての剛性が特徴的なシャフトです。

ここで大事なのは、カタログ上の「先調子」「中調子」「元調子」だけで判断しないことです。

シャフトは静止した状態で使うものではありません。

ダウンスイング中にプレーヤーから力が入力され、ヘッドの重さ、重心距離、慣性モーメントの影響を受けながら、動的にしなります。

特にG440アイアンのように、慣性モーメントが大きく、重心距離の長いヘッドでは、シャフトにかかる力の入り方も変わります。

その結果、実際のスイング中には、カタログ上の調子とは違う場所にしなりを感じることがあります。

つまり、静的なベンディングポイントと、実際に打った時に感じる動的なベンディングポイントは、必ずしも同じではありません。

今回欲しかったのは、単に手元が柔らかいシャフトではありません。

手元から中間部にかけてしなり感があり、プレーヤーがタイミングを取りやすい。
それでいて、ヘッドが置いていかれる感じがない。
しなったあとに、ヘッドが自然に戻ってくる。

この感覚です。

言い方を変えると、手元から先端にかけて、まるで釣り竿のように一体感をもってしなるシャフトが欲しかったのです。

部分的にだけ大きくしなるのではなく、全体としてしなりの流れがつながっている。
そのため、プレーヤーはしなりを感じやすく、しかも大型ヘッドであってもヘッドが置いていかれにくい。

この感覚が、今回のG440アイアンには必要だと考えていました。

Dynamic Goldの重量感に慣れているお客様に対して、いきなり軽量シャフトへ振るのではなく、重量感を大きく崩さずに、ヘッドの追従性とレスポンスを上げる。

この方向性で見ていくと、MODUS³ TOUR 130 Rはかなり有力な候補になります。

ここから、シャフトフィッティングは単なるスペック選びではなく、ヘッドとシャフトの動き方を合わせる作業になっていきます。

先調子、中調子、元調子という言葉だけにこだわるのではなく、動的にどのように力がかかり、それがシャフトに入力され、どのようにヘッドが戻ってくるのか。

そこを見る必要があります。

今回のフィッティングは、まさにその例でした。

お客様の感覚としては、これまで通り重量のあるシャフトでタイミングを取りたい。
しかし、G440アイアンのヘッド特性を考えると、Dynamic Goldのままではヘッドの追従性が少し足りない可能性がある。

だから、ただ軽くするのではなく、ただ柔らかくするのでもなく、手元から中間部にかけてのしなりと張りでヘッドを自然に戻す。

これが今回のシャフト選びの狙いでした。

つまり、言い方を変えると、

中調子を選択しているようで、結果として手元調子系の動きを使う。

これが今回の裏技です。

ライ角を合わせることで、ヘッドの向きが整う。
そこからシャフトを合わせることで、ヘッドの戻り方が整う。

大型ヘッドのG440アイアンを本当に活かすには、この順番が大事になります。

やさしいヘッドだから、シャフトは何でもよいわけではありません。

やさしいヘッドだからこそ、そのヘッドが自然に戻ってくるシャフトを選ぶ必要があります。

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