パターはフェースを感じる道具である Episode 77: Putter Torque featuring Dr. Erik Henrikson 第2話

パットのスタート方向は、ほぼフェースで決まる

PING SCOTTSDALE TEC ALLY BLUE ONSET は、日米で驚異的なパッティング成績を生んでいます。

その理由を読み解く鍵として、PINGのマーティ・ジャートソンが紹介しているのが、Episode 77: Putter Torque featuring Dr. Erik Henrikson です。

このシリーズでは、このエピソードをもとに、パターの重心、トルク、視覚、触覚、フェース向きの再現性を整理していきます。

第1話では、パターは「目」だけで打っているわけではない、という話をしました。

構えた瞬間は、目が大きな役割を果たします。
しかし、ストロークが始まったあとは、手の中の感覚が非常に重要になります。

ヘッドの重さ。
トゥ側が落ちる感じ。
フェースが少し開こうとする気配。
重心がどちらへ動こうとしているか。

こうした情報を、ゴルファーは無意識に感じ取りながらストロークしています。

では、なぜそこまでフェースの向きを感じることが重要なのでしょうか。

答えはシンプルです。

パットのスタート方向は、ほぼフェースで決まるからです。


PING Proving Grounds Podcastの中で、ドクター・エリック・ヘンリクソンは、パターにおけるフェース角の重要性について、非常に明確に話しています。

パターでは、ボールのスタート方向の約90%がフェース角によって決まる。

これは、パッティングを考えるうえで、非常に大きな意味を持ちます。

多くのゴルファーは、パットを外したときにストローク軌道を気にします。

まっすぐ引けていなかった。
外に上がった。
内側に引きすぎた。
押し出した。
引っかけた。
肩が動いた。
手を使った。

もちろん、これらも無関係ではありません。

しかし、ボールが最初にどちらへ出るかを決める最大の要素は、インパクト時のフェースの向きです。

つまり、どれほどストローク軌道がきれいに見えても、インパクトでフェースが右を向いていればボールは右へ出ます。
逆に、ストロークが多少アークを描いていても、インパクトでフェースが狙った方向を向いていれば、ボールは狙った方向へ出やすくなります。

ここを間違えると、パター選びも、パッティング練習も、少しズレてしまいます。

大切なのは、ストロークを見た目だけできれいにすることではありません。

インパクトでフェースを再現することです。

フェースのクローズオープンはいPINGで見ることが出来ますが、ゴルファー自身がターゲットを向けていると思っているフェースの向きと実際のフェースの向きがあっているかどうかは重要です。 トレーニングで培うことも大事ですが、自分の感覚と合ったパターを探すことはもっと重要です。

ショートパットを外すとき、よくこう言われます。

「メンタルが弱い」
「プレッシャーに負けた」
「手が動いた」
「打ち急いだ」
「緩んだ」

もちろん、緊張はあります。
勝負どころのパットでは、身体も心も普段と違う反応をします。

しかし、ボールがカップの右へ出た、左へ出たという現象そのものを見るなら、そこにはフェース角の問題があります。

右に押し出した。
左に引っかけた。
カップの縁をかすめた。
思ったラインに乗らなかった。

これらは、インパクトでフェースがどこを向いていたかという問題です。

だから、パッティングの改善で最初に考えるべきなのは、

「どうやってまっすぐ引くか」

ではなく、

「どうやってフェースを狙った方向に戻すか」

です。

この順番が大事です。

ストローク軌道は、フェースを再現するための手段です。
フェース向きの再現が、目的です。


ここで、パター選びの考え方が変わります。

パターを選ぶとき、多くの人は形を見ます。

ブレードが好き。
マレットが安心。
白いヘッドが見やすい。
ラインが長い方が構えやすい。
ネックの形が気になる。
ヘッドが大きい方がやさしそう。

これらはすべて大切です。

しかし、最終的に見なければならないのは、
そのパターでフェース角が再現しやすいか
です。

構えやすいけれど、インパクトでいつも少し開く。
見た目は好きだけれど、ショートパットで左へ出る。
大型マレットで安心感はあるけれど、距離の短いパットでフェースが被る。
ブレードの顔は好きだけれど、右への押し出しが消えない。

こういうことは実際にあります。

つまり、パターは「好きな形」と「入る形」が必ずしも一致しないことがあります。

そして、その差を生んでいる大きな要素が、フェース角の再現性です。


PINGのパターフィッティングが面白いのは、単にストロークタイプだけで決めないところです。

ストレートに動かす人。
軽いアークで動かす人。
大きくフェースを開閉する人。

もちろん、そうしたストロークタイプは見ます。

しかし同時に、その人がどちらへ外しているのかも見ます。

右へ押し出すのか。
左へ引っかけるのか。
構えた時点で右を向きやすいのか。
ストローク中にフェースが開いて戻らないのか。
逆に、閉じすぎてしまうのか。

Podcastでは、ルイ・ウーストハイゼンの話が紹介されています。

彼はフェースローテーションがかなり大きいストロークでした。
通常の分類で考えれば、強いアークに合うパターを選びそうです。

しかし彼は、右への押し出しに悩んでいました。

そこでフェースバランス系のパターを使ったところ、右へのミスが消えたように感じ、自信を持ってストロークできた。

この話は非常に重要です。

パター選びは、ストロークタイプだけで決めるものではない。
ミスの方向も含めて考える必要がある。

なぜなら、最終的に問題になるのは、インパクトでフェースがどこを向いているかだからです。


この視点で見ると、SCOTTSDALE TEC ALLY BLUE ONSETが日米で結果を出している理由も、少し見えてきます。

このパターは、単に大きなマレットだから良いのではありません。
単に白くて見やすいから良いのでもありません。
単にオンセットという珍しい形だから良いのでもありません。

大切なのは、構えたときにフェースを合わせやすく、ストローク中にフェースの向きを感じやすく、インパクトでフェースを再現しやすい設計になっているかどうかです。

ALLY BLUE ONSETは、オンセット構造によってフェース全体やトップレールが見えやすくなっています。
視覚的に、フェースをスクエアに合わせやすい。

さらに、マレットとしての大きな安心感があります。
芯を外したときの許容性もあります。

しかし、それだけではありません。

このパターの面白いところは、マレットでありながら、手の中の感覚を残していることです。

大型マレットのやさしさ。
ブレードに近い操作感。
フェース全体が見える構えやすさ。
オンセットによる視覚的な安心感。
そして、ストローク中にフェースを感じるための情報。

これらが合わさることで、フェース角の再現性を高めている可能性があります。


ここで注意したいのは、パターに絶対の正解はないということです。

ある人には、フェースバランスのマレットが合います。
ある人には、トゥハングのあるブレードが合います。
ある人には、ヒールシャフトのマレットが合います。
ある人には、オンセットのALLY BLUEが合います。

大事なのは、どれが流行っているかではありません。

自分のフェース角が安定するかどうか。

これです。

パターは、構えたときに気持ちよく見える必要があります。
しかし、それだけでは不十分です。

実際に打ったとき、ボールが狙った方向へ出るか。
短いパットで右へ押し出さないか。
左へ引っかけないか。
何球打っても、同じスタートラインへ出せるか。

これを見なければいけません。

パター選びで本当に見るべきなのは、
ストロークの見た目ではなく、ボールの出だし
です。

そして、その出だしを作っているのがフェース角です。


よく、パターを試打するときに、転がりや距離感だけを見る方がいます。

もちろん、それも大切です。

しかし、最初に見るべきなのは、ボールがどこへ出ているかです。

狙ったところへ打ち出せているか。
スタートラインに乗っているか。
同じ方向へ出せているか。
右へ出る傾向があるのか。
左へ出る傾向があるのか。

この確認なしに、「打感が良い」「転がりが良い」「構えやすい」だけで選んでしまうと、スコアに直結する部分を見落とすことになります。

特に1メートルから2メートルのパットでは、フェース角のわずかなズレがそのまま結果に出ます。

距離が短いほど、タッチよりもスタート方向の精度が重要になります。

だからこそ、パター選びはスコアメイクです。

ドライバーの飛距離がスコアに影響するのは分かりやすい。
アイアンの番手選びがスコアに影響するのも分かりやすい。

しかし、パターはもっと直接的です。

1打がそのまま1打です。

そして、その1打を左右する大きな要素が、フェース角です。


今回の結論です。

パットのスタート方向は、ほぼフェースで決まります。

だから、パター選びで本当に大切なのは、
フェースの向きを再現できるかどうか
です。

まっすぐ引けるかどうかより、
インパクトでフェースがどこを向いているか。

見た目が好きかどうかより、
狙ったところへボールが出るか。

重いか軽いかより、
その重さと方向を使ってフェースを感じられるか。

これが、PINGがEpisode 77で語っているパター設計の本質につながります。

パターは、ただボールを転がす道具ではありません。

フェースを感じ、フェースを合わせ、フェースを再現するための道具です。

次回は、さらに一歩踏み込みます。

最近よく聞く「ゼロトルク」。
本当に、トルクは少ないほど良いのでしょうか。

第3話では、PINGが考える
ゼロトルクだけが正解ではない
というテーマを整理していきます。

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