細野勇策、メジャーでつかんだ初優勝

もうちょっと、まだかな止まっていました。おめでとうございます。

JGTOさんより

35年ぶりのレフティーVを支えた、番手ごとの役割設計

日本プロ選手権センコーグループ・カップ最終日。

23歳の細野勇策選手が、ついにツアー初優勝をつかみました。
しかも、その舞台は日本プロ。初優勝がメジャータイトルです。

首位タイからスタートした最終日、1番パー5でいきなりチップインイーグル。
この一打で、試合の流れを一気に自分のものにしました。

最終的には1イーグル、3バーディー、3ボギーの70。
通算15アンダーでの優勝。

レフティーのツアー優勝は史上4人目。
日本選手としては、1991年の羽川豊さん以来、35年ぶりの快挙となりました。

ただし、今回の勝利を「レフティーの快挙」だけで終わらせるのは、少しもったいないと思います。

もちろん、35年ぶりという記録には大きな意味があります。
しかし、それ以上に印象的だったのは、細野選手が何度も悔しい経験をしながら、それでもまた優勝争いの場所に戻ってきて、今度は最後まで勝ち切ったことです。

最終日を首位で迎えたのは今回で5度目。
昨年のロピアフジサンケイクラシックでは、16番パー3で池に4発入れて「11」を叩き、優勝争いから大きく後退しました。

普通であれば、その記憶は残ります。

また崩れるのではないか。
また勝てないのではないか。
また最終日に何かが起きるのではないか。

ゴルフの怖さは、ミスそのものよりも、過去のミスが次の場面に顔を出すことにあります。

しかし、細野選手は今回、それを引きずりませんでした。

1番でイーグルを奪い、途中でボギーもありながら、最後まで大崩れしなかった。
そして18番で短いウイニングパットを沈めた。

これは単なる初優勝ではありません。
過去の失敗を、ようやく勝利に変えた優勝です。

そして、もうひとつ注目したいのが、細野選手のクラブセッティングです。

PING公式のクラブセッティングによると、細野選手はドライバーにG440 LST 10.5度、フェアウェイウッドにG440 MAXの4番・7番を使用。
アイアンは、G440、i230、BLUEPRINT Tを組み合わせたコンボセッティングになっています。
ウェッジはs159、パターはPING 2021 PUTTER KUSHIN4です。

ここで面白いのは、アイアンが単一モデルではないことです。

ロング側にはG440。


中間にはi230。


ショート側にはBLUEPRINT T。

つまり、番手ごとに求める役割を変えています。

長い番手では、まずボールを上げたい。
キャリーを確保したい。
グリーンに止めたい。
だから、やさしさと高さを出しやすいG440を入れる。

中間番手では、距離の安定性と操作性のバランスが必要になる。
そこでi230。

そして9番、PWのようにピンを狙っていく番手では、よりシャープにラインを出しやすいBLUEPRINT Tを使う。

これは、単に「難しいクラブを使うのがプロ」という考え方とは違います。

むしろ逆です。

プロだからこそ、難しい番手を無理に難しいクラブで打たない。
プロだからこそ、番手ごとに必要な弾道を明確にしている。

意外と多くのゴルファーは、アイアンを単一モデルでそろえたいと考えます。

もちろん、見た目の統一感や構えたときの流れを考えれば、その気持ちはよく分かります。
しかし同じモデルのアイアンであっても、番手が長くなるほどシャフトは長くなり、ロフトは立ち、ボールは上がりにくくなります。

つまり、同じモデルの中でも、長い番手になるほど難易度は確実に上がっていきます。

そこで有効になるのが、細野選手のようなコンボセッティングです。

短い番手は、距離感と方向性を重視してシャープなモデルを使う。
中間番手は、操作性とやさしさのバランスを取る。
長い番手は、無理に同じモデルでそろえず、ボールの上がりやすさ、キャリー、ミスへの強さを優先する。

これは、決して妥協ではありません。

むしろ、番手ごとの難易度を正しく理解した、非常に合理的なセッティングです。

「アイアンは同じモデルでそろえるべき」という考え方から一度離れると、クラブ選びはかなり自由になります。

大切なのは、セットとして美しく見えることだけではありません。
コース上で、必要な距離を、必要な高さで、必要な確率で打てることです。

細野選手のセッティングは、その意味でアマチュアにも大きなヒントを与えてくれます。

上がりにくい番手は、上がるクラブにする。
止まりにくい番手は、止めやすいクラブにする。
狙いたい番手は、狙いやすいクラブにする。

クラブをそろえるのではなく、弾道をそろえる。

これが、これからのアイアンセッティングでは非常に大切な考え方だと思います。

今回の細野勇策選手の初優勝は、35年ぶりのレフティーVという歴史的な勝利でした。

しかし、その裏側には、レフティーという話題性だけではなく、過去の悔しさを乗り越えた精神力がありました。
そして、自分に必要な弾道を作るための、非常に現代的なクラブセッティングがありました。

ゴルフは、ナイスショットだけで勝てる競技ではありません。

技術。
経験。
記憶。
不安。
流れ。
そして、道具の選び方。

それらすべてが、最終日の数ホールに凝縮されます。

細野勇策選手は、メジャーという大きな舞台で、ついに初優勝をつかみました。

その勝利は、レフティーの歴史を動かしただけではありません。
「どういうクラブで、どういう弾道を作るのか」という、現代のセッティングの考え方も示してくれた勝利だったのではないでしょうか。

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