慣性モーメント神話の終わり?

慣性モーメントが大きいのに振りやすい。
これは単なる新製品の特徴ではありません。シャフト市場の前提を揺さぶる出来事です。

「高MOIなのに振りやすい」はなぜ起きるのか?の続きです。

高MOI化が進むにつれ、シャフトはどう進化してきたか。
答えは明確です。TIP強化です。

理由は単純。
高MOIヘッドは「回りたがらない」。
慣性モーメント I=mr^2
質量を外周に配分すればするほど、回転に抵抗する。

つまりヘッドは、自らの運動方向を維持しようとする。
シャフトのしなりより、ヘッドの慣性が勝つ。

だからTIPを硬くした。
シャフトがヘッドを“ねじ伏せる”ために。

しかし——
G440Kのように「高MOIなのにターンしやすい」ヘッドが出てくると、この前提が崩れます。

ヘッドが素直に回る。
シャフトの軌道に従う。
それでも直進安定性は高い。

これは何を意味するのか。

TIP強化一辺倒の時代が終わる可能性です。

もちろん誤解してはいけません。
高MOIである以上、手元だけを操作してもヘッドは動きません。
ヘッドを回すのは腕ではなく、ボディターンです。

しかし、ボディと同調したときに“素直に回る”という特性は決定的に違います。

ヒッター系プレーヤーなら、今まで通りTIP剛性は武器になるでしょう。
むしろ強い負荷に耐える設計が必要です。

しかしスインガー系——
振り子原理でエネルギーを流すタイプには、過度なTIP強化はむしろブレーキになる。

ヘッドが回る設計なのに、
シャフトで回転を止める必要があるでしょうか?

ここがフィッティングの分水嶺です。

これからは

  • 高MOI = TIP強化
    ではなく

  • 高MOI × 回転特性 × スイングタイプ

で考える時代。

ヘッド設計が変われば、
シャフト設計も変わらなければならない。

慣性モーメントの数値だけを追う時代は終わりました。
“どう回るか”が次の競争軸です。

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