ハンター・メイハン 第8話 ルーチンは毎回同じでなければならないか?

前回は、ハンター・メイハンが高校生に伝えている、

Compete――一打一打を競争する

という言葉について書きました。

前のショットを引きずらない。

未来の結果を考えない。

今、目の前にある一打に集中する。

では、その一打に入るために、プロは何をしているのでしょうか。

そこでメイハンが話していたのが、

タイガー・ウッズのプリショットルーティン

です。

一般的にプリショットルーティンというと、

毎回同じ場所に立つ。

同じ回数素振りをする。

同じタイミングでアドレスに入る。

そして、

同じ秒数で打つ。

そんなイメージがあると思います。

店長も、

「ルーティンとは、毎回同じことをするもの」

という説明を何度も聞いてきました。

しかし、

メイハンが実際にタイガーとプレーして感じていたものは、少し違いました。

メイハンは、

タイガーのプレーには素晴らしいcadence――間とリズムがあったと話しています。

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ハンター・メイハン 第6話 2010年ライダーカップのあの一打

ここまで何度か触れてきた、

2010年ライダーカップ。

そろそろ、あの一打について書かなければならないと思います。

できれば、この話には触れたくありませんでした。

なぜなら、一つのミスショットだけを取り上げて選手を評価することは、店長は好きではないからです。

ましてや、その選手はハンター・メイハンです。

世界でもトップクラスの選手として戦い、PGAツアーで何度も優勝し、ライダーカップ、プレジデンツカップにも出場した選手です。

しかし、現在のメイハンが語っている、

「自分が本当に得意なものを見つけ、それを守れ」

という言葉を考えると、

どうしても2010年のライダーカップを避けて通ることができません。

舞台はウェールズのセルティック・マナー。

アメリカとヨーロッパの勝敗は、最後のシングルスマッチまで持ち越されました。

その最後の一組が、

グレーム・マクドウェル対ハンター・メイハン。

16番でマクドウェルが大きなバーディーパットを決めます。

これでメイハンは2ダウン。

残りは17番と18番の2ホール。

つまり、17番を落とせば、その時点でライダーカップが決まります。

17番はパー3。

メイハンのティーショットはグリーンに届かず、手前に止まりました。

報道では、グリーン手前およそ15ヤードほどからのアプローチだったとされています。

そして、そこで起きたのが、

多くのゴルフファンの記憶に残っている、あのショットです。

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ハンター・メイハン 第5話 自分のメカニズムにあったショットを選ぶ

前回は、

ゴルフは、ショットを打つ前の判断から始まっている

という話をしました。

残り距離だけを見てクラブを選ぶのではなく、

ライ。

風。

傾斜。

グリーンの形。

外してはいけない場所。

そして、

今の自分が、そのショットをどのくらい再現できるのか。

そこまで含めて考える必要があります。

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ハンター・メイハン 第4話 80を77にすること

前回は、

スイングは形の集合ではなく、一つにつながった機構である

という話をしました。

ハンター・メイハンがスコッティ・シェフラーの足の動きを簡単に直そうとしないのも、

その部分だけを切り取って見ているのではなく、

その動きがスイング全体の中で何をしているのか

を見ているからではないか、という話です。 “ハンター・メイハン 第4話 80を77にすること” の続きを読む

ハンター・メイハン第3話 形ではなく、なぜそう動くのか

前回は、ハンター・メイハンがスコッティ・シェフラーについて、

「あれは彼のパワーの一部であり、彼自身の一部なんだ」

と語っていることを紹介しました。

店長は、この言葉がとても印象に残りました。

なぜなら、メイハン自身が、かつて「お手本のようなスイング」と言われた選手だからです。

クラブはプレーン上を動き、トップはコンパクト。

身体と腕の動きが同調し、余計な動きがほとんど見えない。

当時は、こうしたスイングが理想とされていました。

店長も、メイハンのスイングを見て、

「これが完成形なのではないか」

と思っていました。

しかし、今のメイハンは少し違うところを見ています。

それは、

形ではなく、その動きが何をしているのか。

という部分です。

例えば、

左手首が掌屈している。

トップがコンパクトである。

クラブがオンプレーンにある。

これらは、すべて目で見ることができます。

動画を止めれば、

「ここが違う」

「ここを直したほうがいい」

という話もしやすい。

しかし、本当に大切なのは、

なぜ、その形になっているのか。

ということです。

例えば、左手首が掌屈している選手がいたとしても、その掌屈がスイング全体の中でどのような役割をしているのかを理解しなければなりません。

フェースを管理するためなのか。

クラブの重心を管理するためなのか。

身体の回転とクラブの動きをつなぐためなのか。

あるいは、その選手が持っている別の動きの結果として、そう見えているだけなのか。

ここを考えずに、

「上手い選手が掌屈しているから、掌屈させる」

となってしまえば、形をコピーしているだけです。

これは、オンプレーンも同じです。

クラブがプレーン上にあること自体が目的なのではありません。

そのクラブが、

どのような力を受け、

どの方向へ動こうとして、

身体の動きとどのようにつながった結果、

そこにあるのか。

そこが分からなければ、プレーン上にクラブを置くこと自体が目的になってしまいます。

店長は、ここに現在のゴルフレッスンが抱えている一つの問題があると思っています。

形は見える。

しかし、

メカニズムは見えにくい。

だから、どうしても見えるものを教えたくなります。

「トップを小さくしましょう」

「左手首を掌屈させましょう」

「シャフトを寝かせましょう」

「もっとオンプレーンにしましょう」

こうした言葉は、とても分かりやすい。

そしてレッスン前後の動画を比較すれば、

「変わった」

ということも確認できます。

しかし、人間の身体はパーツごとに独立して動いているわけではありません。

ゴルフクラブも同じです。

一つの動きを変えれば、必ずどこかに影響が出ます。

トップを小さくすれば、切り返しも変わります。

手首を変えれば、フェースだけではなくクラブ全体の運動が変わります。

プレーンを変えれば、それに合わせて身体のどこかが別の動きを始めます。

つまり、

スイングは形の集合ではなく、一つにつながった機構です。

だから、シェフラーの右足だけを見て、

「動きすぎている」

と判断することはできません。

あの右足が動くことで、身体の回転やクラブの運動が成立している可能性がある。

メイハンは、そのことを分かっているのだと思います。

だから、

「そこには触らない」

という判断ができる。

これは何も、

「変わったスイングなら何でもいい」

という話ではありません。

また、

「スイングは直してはいけない」

という話でもありません。

大切なのは、

直す前に、その動きがなぜ存在しているのかを理解すること。

そして、

その動きを変えたとき、スイング全体に何が起きるのかを考えること。

だと思います。

この考え方を聞いていると、

かつて教科書のようなスイングをしていたメイハンが、なぜ今、

「自分が得意なものを見つけ、それを誰にも触らせるな」

と話しているのかが、少しずつ分かってくる気がします。

そして、ここからメイハンの話は、さらに面白くなります。

現在、高校生を指導しているメイハンが興味を持っているのは、

「どうすれば、きれいなスイングを作れるか」

ではありません。

彼が言うのは、

「80で回る選手を、どうやって77にするか」

ということです。

さらに、

77を74、73にするために必要なのは、18ホールの中の1回か2回の判断かもしれない。

とも話しています。

ここには、

スイングを良くすることと、ゴルフが上手くなることは同じではない

という、もう一つ大きなテーマが見えてきます。

次回は、このメイハンのコーチングについて考えてみたいと思います。

そして、その先にはどうしても避けて通れない話があります。

2010年、ライダーカップ。

あのときメイハンが打った、一打のアプローチです。

あれほど完成されたスイングを持っていた選手が、なぜあの場面で、あのミスをしたのか。

単なるプレッシャーだったのでしょうか。

それとも、

その選手が持っているメカニズムと、選択したショットの間に何かがあったのでしょうか。

この話については、もう少し先で考えてみたいと思います。

ハンター・メイハンコーチ スイングはメカニズムである。

「見た目が少し違っていても、機能しているものを簡単に変えてはいけない」

この言葉は、かなり深い言葉だと思います。

かつて、多くのプロゴルファーがお手本にしたほど、整ったスイングをしていた選手です。

そのメイハンが、

「見た目が違っていても、機能しているものには触るな」

と言っている。

店長には、これはかなり驚くべき言葉に聞こえました。

なぜなら、この言葉からは、メイハンがゴルフスイングを単なる「形」として見ていないことが分かるからです。

彼が見ているのは、

その動きが、スイング全体の中でどのような役割を果たしているのか。

つまり、ゴルフスイングのメカニズムです。

例えば、

掌屈している。

トップがコンパクトである。

クラブがオンプレーンにある。

これらはすべて、外から観察できる「形」です。

もちろん、それ自体が悪いわけではありません。

問題は、

なぜ、その形になっているのか。

という部分です。

その動きによって何が起きているのか。

その動きを変えたとき、別の部分にはどのような影響が出るのか。

そこまで考えなければ、本来一つにつながっているスイングの中から、一部分だけを切り取って変更することになります。 “ハンター・メイハンコーチ スイングはメカニズムである。” の続きを読む

コヤマカズヒロ氏の朱莉プロのクラブ解説より。

ゴルフトレンドウォッチャーでゴルフライターのコヤマカズヒロ氏が朱莉プロのクラブ変更について動画にしていましたので、覗いてみることにしました。

朱莉プロのクラブ変更の理由や何故そうしたのかを小山氏の視点で解説されています。

店長は極秘ルートで(嘘です。営業さんに聞けば教えていただけます。)ツアーレップからのデータを手に入れて検証してみたいと思います。以下が朱里プロのクラブスペックです。

◆Shuri Sakuma – Club Spec “コヤマカズヒロ氏の朱莉プロのクラブ解説より。” の続きを読む

真似るべきは、シェフラーの右足ではない

ここまで、シェフラーのスイングを何回かに分けて考えてきました。

最も目立つのは、やはり右足の動きです。

インパクト付近で右足が滑り、身体の回転方向とは反対側へ動いています。そのため、右足の動きがシェフラーの飛距離や正確性を生み出しているように見えます。

しかし、シリーズを通して見てきたように、右足の動きは原因ではありません。

結果です。 “真似るべきは、シェフラーの右足ではない” の続きを読む

右足スライドの系譜

シェフラーの右足は、突然現れた特殊な動きではありません。

ベン・ホーガン、ジャック・ニクラウス、グレッグ・ノーマン、デビッド・デュバル、そしてスコッティ・シェフラー。

各選手のスイングを時代順に並べると、右足の荷重を抜き、左足側で身体の円運動を支えるという共通点が見えてきます。

もちろん、5人の右足がまったく同じように動いているわけではありません。

ホーガンの右足は大きく滑りませんし、シェフラーのように派手に浮くこともありません。

ここでいう「系譜」とは、右足の形が受け継がれたという意味ではありません。

インパクトへ向かう過程で右足を主な支点から外し、左足側で身体の回転を受けるという、運動構造の系譜です。

原型となったベン・ホーガン

ベン・ホーガンのインパクトを見ると、右足は地面に残っています。

しかし、右足に強く荷重を残し、それをベースとしてボールを押し込んでいるようには見えません。

右踵は浮き始め、右膝は左脚へ向かい、身体の荷重は左足側へ移っています。

右足は地面に接していても、身体の回転を生み出す主な支点ではなくなっているのです。

身体を支えているのは左足であり、回転の中心は左股関節側にあります。

右足がどこまで動いたかではなく、右足が支点としてどれだけ残っているかを見る必要があります。

この意味で、ホーガンのスイングには、後に続く右足スライドの原型があると考えられます。

動きが見えるようになったニクラウス

ジャック・ニクラウスになると、右足の荷重が抜ける様子が、より分かりやすくなります。

インパクトへ向かって右踵が大きく浮き、右足はつま先側へ移ります。

一方、左足はその場に残り、身体の大きな回転を受け止めています。

ニクラウスは大きなバックスイングをしていましたが、その大きな運動を左右両足で複雑に処理していたのではありません。

ダウンスイングでは左足側に支点をつくり、そこを中心として身体とクラブを回転させていました。

右足が浮くのは、右足で身体を押し続けているからではありません。

右足の荷重が抜け、左足を中心とした回転に身体全体が運ばれた結果です。

スライドになったグレッグ・ノーマン

グレッグ・ノーマンになると、右足の自由度はさらに大きくなります。

インパクト付近で右踵が浮くだけでなく、右足そのものが位置を変えます。

右足を地面に固定し、そこから身体を押し出すスイングであれば、このような動きはできません。

右足が動けるのは、その時点ですでに右足の荷重が抜けているからです。

ノーマンは、右足をベースとして身体を回すのではなく、左足側で身体の大きな円運動を受けています。

シェフラーのフットワークがグレッグ・ノーマンと比較されることがあるのは、見た目が似ているからだけではありません。

右足を固定された土台として使わず、自由に動ける状態にしているという構造が共通しているからです。

デュバルが示した左足一支点

デビッド・デュバルのスイングでも、インパクトに向かって身体は大きく左足側へ移ります。

右足の荷重は抜け、右足は身体の回転に対する主な支点ではなくなります。

その一方で、左股関節の位置は保たれ、傾いた上体、腕、クラブが一つの大きな円運動として運ばれます。

全盛期のデュバルが、顔を目標方向へ向けながらも正確にボールを捉えられたのは、目でボールを見続けていたからではありません。

左足一支点によって円の中心が定まり、クラブヘッドが通る接線が安定していたからだと考えられます。

ボールを目で追わなくても、クラブがどこを通るかが構造によって決まっていたのです。

完成形となったシェフラー

そして、スコッティ・シェフラーです。

シェフラーは、これまでの選手が行っていた右足の荷重抜きを、誰の目にも分かる形で表現しています。

ダウンスイングで右足の荷重を抜き、左股関節だけを支点とする。

その結果、右足は地面から浮き、身体の回転方向とは反対側へ大きく動きます。

見た目には、足を激しく使ってクラブを加速しているように見えます。

しかし、順序は逆です。

右足を動かすから左足一支点になるのではありません。

左足一支点の円運動をつくった結果として、荷重を失った右足が自由に動いているのです。

さらにシェフラーは、インパクト直前にヒッターの直線的な入力を加えます。

その反動を受け止める右足のベースがないため、右足のカウンターは過去の選手よりも大きく現れます。

ホーガンでは荷重の移動として見えていたものが、ニクラウスでは踵の浮きとして現れ、ノーマンとデュバルでは足の移動へ発展し、シェフラーでは完全なスライドとして見えるようになったのです。

共通しているのはボールストライキング

この5人に共通しているのは、特徴的な右足だけではありません。

いずれも、ゴルフ史を代表するボールストライカーです。

右足の荷重を抜けば、身体を支える支点を左足側の一つに絞ることができます。

支点が一つになれば円の中心が安定し、パワーパッケージが維持されれば円の半径も安定します。

中心と半径が安定すれば、インパクトにおける接線の向きも決まります。

5人のボールストライキングを生み出したのは、右足を滑らせる技術ではありません。

右足を主な支点から外すことで、クラブヘッドが通る円と接線を安定させる構造だったのです。

ホブランが見た完成形

ツアー選手権の後、ホブランはシェフラーについて、こう述べました。

“He knows where the ball’s going.”

「彼はボールがどこへ行くか分かっている」

ホブランは、単に現在の世界ナンバーワンと戦っていたのではありません。

ベン・ホーガン、ジャック・ニクラウス、グレッグ・ノーマン、デビッド・デュバルという、歴代のボールストライカーが築いてきた運動構造。

その先にある完成形と戦っていたのです。

同じコース、同じ厳しいコンディションの中で、シェフラーのボールだけが繰り返し目標へ向かって飛んでいく。

その姿を見たからこそ、ホブランの中に「自分も、ボールがどこへ行くか分かるスイングが欲しい」という考えが浮かんだのではないでしょうか。

シェフラーの右足は、単なる個性的なフットワークではありません。

歴代の優れたボールストライカーが受け継いできた左足一支点の運動が、最もはっきりと外見に現れたものなのです。

シェフラーの右足には、もう一つの役割がある

これまで、シェフラーは右足で地面を蹴ることによって、ボディーを回転させているのではないと説明してきました。

ダウンスイングでは右足の荷重を抜き、左股関節だけを支点とします。

左足一支点によって円の中心を定め、パワーパッケージによって円の半径を維持する。

これによって、インパクトにおける接線の向きと有効質量を安定させています。

しかし、シェフラーが右足の地面反力をまったく使っていない、という意味ではありません。

右足には、時間の異なる三つの役割があります。

最初の役割は、支点から外れること

ダウンスイングの大部分では、右足の荷重を抜きます。

右足を使って身体を回すのではなく、右足を支点として使えない状態にするのです。

右足が支点から外れることで、身体を支えるのは左足だけになります。

左股関節を中心とした一つの円運動が成立し、身体、腕、クラブが同調してインパクトへ向かいます。

この局面における右足の役割は、力を加えることではありません。

むしろ、余計な支点をつくらないことです。

二つ目の役割は、カウンターとして動くこと

シェフラーは、インパクト直前までスインガーとしてクラブを円運動させます。

そして、インパクト直前の短い時間だけ、クラブに直線的なヒッターの力を加えます。

クラブを一方向へ加速させれば、身体には反対方向への反動が返ってきます。

通常のヒッターであれば、その反動を荷重の残った右足で受け止めます。

しかし、シェフラーの右足はすでに荷重が抜けています。

反動を受け止める土台がないため、右足そのものが身体の回転とは反対方向へ動きます。

これが、シェフラー独特の右足のスライドです。

右足を反対方向へ動かすからクラブが加速するのではありません。

クラブに加えた力の反動として、自由になっている右足が反対方向へ動いているのです。

三つ目の役割は、再び地面に接地すること

カウンターとして動いた右足は、そのまま空中に浮き続けるわけではありません。

やがて、再び地面に接地します。

それまで自由に動いていた右足が地面に触れると、右足の運動は地面によって受け止められます。

右足が地面へ力を加えれば、地面からは反対向きの力が返ってきます。

地面反力です。

この反力は、後方へ動いていた右足を止めるだけではありません。

右足から股関節、骨盤へ伝わり、左股関節を中心として回転を続ける身体をアシストします。

一度抜いた右足の荷重を、必要なタイミングで再び利用しているのです。

地面反力を捨てたのではなく、使う時間を変えた

「シェフラーは地面反力を使わない」という説明と、「右足の再接地によって地面反力を使う」という説明は、矛盾しているように見えるかもしれません。

しかし、二つは時間が違います。

インパクトへ向かう円運動では、右足の荷重を抜く。

それによって支点を左股関節の一つに絞り、クラブを正確に運ぶ。

そして、右足がカウンターとして動いた後、再び接地したところで地面反力を受ける。

つまりシェフラーは、右足の地面反力をなくしたのではありません。

円の中心を安定させたい局面では使わず、インパクト付近からその後の回転を支えたい局面で、改めて利用しているのです。

ここが、最初から右足に荷重を残しているゴルファーとの大きな違いです。

一般的なゴルファーは、右足をベースとして身体の回転をつくります。

シェフラーは、まず右足をベースから外すことで、一支点の円運動を完成させます。

そして、その役割が終わった後に右足を再接地させ、今度は回転を支えるベースとして使います。

右足はアクセルではなく、切り替え装置

シェフラーの右足は、最初から最後まで同じ仕事をしているわけではありません。

荷重を抜いて支点から外れる。

直線的な入力の反動によって、カウンターとして動く。

再接地した後は、地面反力を受けて回転を支える。

役割が時間とともに切り替わっているのです。

したがって、右足を横へ滑らせる形だけをまねしても、シェフラーのスイングにはなりません。

左足一支点の円運動も、パワーパッケージも、インパクト直前の入力もないまま右足だけを動かせば、単にバランスを崩すだけです。

重要なのは右足がどのように見えるかではなく、いつ荷重を抜き、なぜ動き、いつ再び地面から力を受けるかです。

このように右足の役割を切り替えていたゴルファーは、シェフラーだけではありません。

ジャック・ニクラウス、グレッグ・ノーマン、デビッド・デュバル、そしてスコッティ・シェフラー。

加えて、ベン・ホーガンもそうですね。

次回は、各時代を代表するボールストライカーに受け継がれてきた「右足スライドの系譜」を見ていきます。