右足スライドの系譜

このような右足の使い方をしているゴルファーは、シェフラーだけではありません。

時代順に並べると、ジャック・ニクラウス、グレッグ・ノーマン、デビッド・デュバル、そしてスコッティ・シェフラーです。

もちろん、4人の右足がまったく同じように動いているわけではありません。動き始めるタイミングも、方向も、移動量も異なります。

しかし、4人には右足の動き以上に重要な共通点があります。

それが、ボールストライキングです。

ニクラウスは「帝王」と呼ばれ、圧倒的な飛距離と正確なロングショットでメジャー最多勝記録を築きました。

ノーマンは長期間にわたって世界ランキング1位に君臨し、ドライバーとアイアンの両方で高い評価を受けたボールストライカーです。

デュバルも世界ランキング1位となり、PGAツアーで「59」を記録した、当時を代表するボールストライカーでした。

そして現在、その位置にいるのがシェフラーです。

つまり、右足が動く4人を並べると、単に個性的なフットワークを持った選手が集まったのではありません。

それぞれの時代で、ボールの行方を高い精度でコントロールしたゴルファーが並んでいるのです。

これは偶然なのでしょうか。

店長は、右足を動かすこと自体が正確性を生んでいるとは考えていません。

右足の荷重を抜くことで、右足を第二の支点から外す。左側を中心とした一支点の円運動を成立させ、ヒップ、上体、腕、クラブを同調させる。

その結果として、右足が自由に動けるようになります。

つまり、右足のスライドは正確なボールストライキングを生む原因ではありません。

正確なボールストライキングを生み出す運動を選んだ結果として、右足のスライドが現れているのです。

その原型ともいえるのが、ジャック・ニクラウスです。

ニクラウスは、シェフラーほど右足を大きく滑らせるわけではありません。しかし、ダウンスイングで右足を強く固定されたベースとして残さず、身体を左へ移して、左側を中心に大きく回転しています。

次に、その右足の動きがより明確に表れているのがグレッグ・ノーマンです。

ノーマンの右足は、インパクト付近でわずかに後方へ動きます。右足をベースとして押し続けるのではなく、荷重を抜くことで一支点の回転を妨げないようにしています。

そして、その動きがさらに分かりやすいのがデビッド・デュバルです。

デュバルも右足の荷重を早く抜き、左側へ大きく移動してインパクトを迎えます。腰、上体、腕が同調して回転するため、クラブに加えた力の反動が右足の動きとして現れます。

シェフラーでは、その動きが最も大きく、はっきりと見えます。

ニクラウスでは右足の解放として現れ、ノーマンでは小さなスライドとなり、デュバルではさらに明確になり、シェフラーでは右足全体が大きく後方へ動きます。

ただし、これは右足を動かす技術が、ニクラウスからシェフラーへ直接受け継がれたという意味ではありません。

時代の異なる4人が、正確にボールを打つ方法を追求した結果、同じような運動構造にたどり着いたと考えるべきでしょう。

これは、「右足をスライドさせる技術」の系譜ではありません。

右足を支点から外し、一つの円運動によってクラブをコントロールする、優れたボールストライカーの系譜なのです。

シェフラーの右足だけを見れば、非常に特殊で、再現性の低そうなスイングに見えます。

しかし、ニクラウス、ノーマン、デュバルと並べて見ると、その印象は変わります。

右足が大きく動くから不安定なのではありません。

右足を支点として使わないからこそ、運動の中心が一つになり、ボールの行方を予測できるのです。

ホブランは、単に現在の世界ナンバーワンと戦っていたのではありません。

ニクラウス、ノーマン、デュバルという、各時代を代表するボールストライカーの系譜。その先にある完成形と戦っていたのです。

だからこそ、シェフラーのショットを見て、

“He knows where the ball’s going.”

「彼は、ボールがどこへ行くか分かっている」

という考えが浮かんだのでしょう。

ホブランが欲しいと感じたのは、シェフラーの右足の動きではありません。

一つの支点でクラブをコントロールし、飛距離を出しながら、ボールの行方まで予測できる。その完成されたボールストライキングなのです。

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