Trajectory Tuning 2.0 によって、変化するのはロフトとライ角だけでしょうか?

昨日の図では、固定されたヘッドに対してシャフトの方向がどのように変化するかを示しました。
この方法でロフトとライ角が変化するのは、ゴルファーが実際にはシャフトを一定の方向に構えて使うからです。
つまり、ゴルファー側から見れば、
シャフトが動いているというより、ヘッドの姿勢が変わっている
と考えた方が分かりやすいわけです。
そして私たちが扱っているクラブは、当然ながら3次元空間に存在しています。
そうであれば、
ロフトだけが変わる。
ライ角だけが変わる。
ということはありません。
もう一つ変化するものがあります。
そうです。
フェースアングルです。
フェースアングルも変わっている
例えば、Standardのライ角を59°として近似計算すると、次のようになります。
| 位置 | ロフト変化 | ライ角変化 | 実ライ角 | フェースアングル変化※ |
|---|---|---|---|---|
| Standard | 0° | 0° | 59.00° | 0° |
| Small + | +1.06° | −0.44° | 58.56° | 約1.73° Closed |
| Big + | +1.50° | −1.50° | 57.50° | 約2.35° Closed |
| Flat + | +1.06° | −2.56° | 56.44° | 約1.60° Closed |
| Flat | 0° | −3.00° | 56.00° | 0° |
| Flat − | −1.06° | −2.56° | 56.44° | 約1.60° Open |
| Big − | −1.50° | −1.50° | 57.50° | 約2.35° Open |
| Small − | −1.06° | −0.44° | 58.56° | 約1.73° Open |
ライ角60°で同じように計算すると
| 位置 | ロフト変化 | ライ角変化 | 実ライ角 | フェースアングル変化※ |
|---|---|---|---|---|
| Standard | 0° | 0° | 60.00° | 0° |
| Small + | +1.06° | −0.44° | 59.56° | 約1.80° Closed |
| Big + | +1.50° | −1.50° | 58.50° | 約2.45° Closed |
| Flat + | +1.06° | −2.56° | 57.44° | 約1.66° Closed |
| Flat | 0° | −3.00° | 57.00° | 0° |
| Flat − | −1.06° | −2.56° | 57.44° | 約1.66° Open |
| Big − | −1.50° | −1.50° | 58.50° | 約2.45° Open |
| Small − | −1.06° | −0.44° | 59.56° | 約1.80° Open |
59°基準より60°基準の方が、同じロフト変化でもフェースアングルの変化が少し大きくなります。
つまり、ライ角がアップライトになるほど、ロフト調整によるフェースの開閉への影響も大きくなっていきます。
※フェースアングルはPING公式公称値ではなく、今回の幾何モデルによる近似値です。
「見た目」はフィッティングで無視できない
ここは、実際のフィッティングではかなり重要です。
人によってはフェースアングルを非常に気にします。
Closed、俗にいう**「かぶって見える」**状態を嫌う人は少なくありません。
特に左へのミス、フックを嫌うゴルファーは、構えた瞬間にフェースが少し閉じて見えるだけでも違和感を持つことがあります。
反対に、もともとボールをつかまえることが苦手なゴルファーの場合は、フェースが開いて見えることを嫌います。
つまり、同じ実ロフトが欲しいからといって、単純にスリーブだけでロフトを調整すればよいとは限らないのです。
例えば10°のロフトが欲しい場合でも、
9°のヘッドを+側に調整して10°に近づける
方法と、
10.5°や12°など、よりロフトの大きなヘッドを−側に調整して10°付近へ持ってくる
方法では、構えた時のフェースアングルが違って見えます。
前者ならフェースはClosed方向へ。
後者ならOpen方向へ。
同じようなリアルロフトになったとしても、ゴルファーから見えるクラブは別物になるわけです。
だから「何度にしたか」だけでは足りない
フィッティングでは、
最終的なロフトが何度になったか
だけを見ても十分ではありません。
同時に、
ライ角はどうなったのか。
フェースアングルはどう見えるのか。
その見え方をゴルファー本人がどう感じるのか。
まで見なければなりません。
ですから私は、その人に合わせて、
一つロフトの少ないヘッドを使って+側へ調整する
こともあれば、
一つロフトの多いヘッドを使って−側へ調整する
こともあります。
目的は単にロフトを合わせることではありません。
必要なリアルロフトを作りながら、その人が構えやすいフェースアングルまで作ること。
これもフィッティングの仕事です。
Trajectory Tuning 2.0を「ロフト調整機能」とだけ考えてしまうと、この部分を見落としてしまいます。
実際には、
ロフト
ライ角
フェースアングル
シャフト長
という4つが同時に関係しています。
そして、その3つの組み合わせによって、
ボールの飛び方だけでなく、ゴルファーがアドレスした時に感じるクラブの見え方まで変わる。
ここまで考えて初めて、Trajectory Tuning 2.0をフィッティングに活かすことができるのではないでしょうか。
