G LEはどう変わったか? 第4話 アイアン編

ドライバー、フェアウェイウッド、ハイブリッドに続いて、今回はアイアンです。

G LE 3からG LE 4への変化を見ると、アイアンはフェアウェイウッドやハイブリッドほど、スペック表上の違いは大きくありません。

まず、新旧のロフトを比較してみます。

番手 G LE 3 G LE 4
6I 25° 25°
7I 29.5° 29.5°
8I 35° 35°
9I 41° 41°
PW 46° 46°
UW 52° 52°
SW 56° 56°

番手構成もロフトも、基本的にはG LE 3から変わっていません。

これは意外に感じるかもしれません。

G LE 4は、アイアン単体ではなく、ハイブリッドと組み合わせたコンボ・ソリューションとして設計されています。

周辺重量配分による寛容性の高いアイアンと、高慣性モーメントでボールを上げやすいハイブリッドを組み合わせることで、セット全体の飛距離間隔を整え、さまざまなスイングに対応しようという考え方です。

したがって、G LE 4アイアンの進化は、ロフトを立てて飛距離を増やしたことではありません。

同じロフトのまま、より高く上げ、よりミスに強くし、より心地よく打てるようにしたことです。

前作より低く、深くなった重心

G LE 4アイアンの大きな変化は、重心設計です。

ロフトが同じでも、重心位置が変われば弾道は変わります。

重心が低くなれば、ボールは上がりやすくなります。
重心が深くなれば、ヘッドはブレにくくなります。
打点がズレた時にも、ボール初速と打ち出し角が残りやすくなります。

つまり、G LE 4はロフトを増やして球を上げるのではなく、重心設計によって球を上げるアイアンです。

これは、ドライバーやフェアウェイウッドと共通するG LE 4の考え方です。

軽く振れる。
重心が低い。
重心が深い。
ボールが上がる。
ミスをしてもキャリーが残る。

G LE 4では、シリーズ全体でこの設計思想が統一されています。

アイアンでは「高さ」が飛距離になる

ヘッドスピードが速くないゴルファーの場合、アイアンの飛距離を失う原因は、必ずしもボール初速だけではありません。

ボールが上がらないことも、大きな原因になります。

打ち出しが低い。
最高到達点が低い。
キャリーが出ない。
グリーンに落ちても止まらない。

特にアイアンは、単に遠くへ飛ばせばよいクラブではありません。

グリーンを狙い、落下したボールを止める必要があります。

そのためには、ある程度の高さと落下角が必要です。

営業担当者に聞くと、現時点でのG LE 4アイアンの評価として、

「高く上がり、着地してからのランが少ない」

という声をよく聞くそうです。

これは、G LE 4がロフトを変えずに重心を低く深くすることで、キャリーと高さを両立しようとした結果だと思います。

単に遠くへ飛ばすのではありません。

高く上げる。
キャリーを出す。
グリーンに止める。
番手ごとの距離差を作る。

これが、アイアンに必要な飛距離性能です。

よく、グリーンにキャリーしたボールがランによってオーバーした結果を見て、「飛距離が出た」と喜ぶ言葉を聞くことがあります。

しかし、グリーンを狙うアイアンショットでは、遠くへ転がったことが、そのまま良い結果とは限りません。

本当に重要なのは、狙った場所までキャリーさせ、そこで止めることです。

男性に比べて弾道が低く、ストッピングパワーを得にくい女性ゴルファーが、正確にピンハイまでキャリーさせ、ボールを止める。

上級女性ゴルファーのその技術を見ると、非常に難しいことを実現していると感じます。

G LE 4は、その難しい仕事をクラブ側から助けようとしているのだと思います。

8Hからアイアンへ、どうつなぐのか

G LE 4では、新たに36°の8Hが追加されました。

一方、アイアンは7Iが29.5°、8Iが35°です。

クラブ ロフト
7H 31°
8H 36°
7I 29.5°
8I 35°
9I 41°

ロフトだけを見ると、7Hと7I、8Hと8Iはかなり近くなっています。

これは、すべてを一緒に入れるためではありません。

7Hを使うのか、7Iを使うのか。
8Hを使うのか、8Iを使うのか。

ゴルファーに合わせて選ぶための構成です。

アイアンが得意な人は、7Iや8Iを使えばよい。
アイアンで高さが出ない人は、7Hや8Hに替えればよい。
7Iは使えるが、8Iからアイアンにつなぐ人もいる。
8Hまで使い、9Iからアイアンにつなぐ人もいる。

このように、G LE 4ではアイアンセットの開始番手を固定する必要がありません。

大切なのは、クラブに書かれている番手ではなく、実際に出る弾道です。

高さが出るか。
キャリー差が出るか。
グリーンに止まるか。
ミート率が安定するか。

これを見ながら、ハイブリッドとアイアンの境目を決める必要があります。

G LE 4は、アイアンだけでセットを完成させる考え方ではありません。

フェアウェイウッド、ハイブリッド、アイアンを組み合わせて、その人に合った距離階段を作るシリーズです。

日本仕様では6番アイアンが残されています。

アイアンを得意とするゴルファーには6番アイアンまで用意しながら、アイアンで高さが出にくい人にはハイブリッドを選べる。

幅広いセット構成に対応するための設定と考えるのが自然でしょう。

ワイドソールでダフリに強い

G LE 4アイアンは、広めのソールを採用しています。

ソールが広いことで、ヘッドが地面に深く潜り込みにくくなります。

少し手前から入っても、ソールが地面を滑る。
少し入射角が強くなっても、ヘッドが刺さりにくい。
ダフリやザックリのミスを軽減できる。

ヘッドスピードが速くないゴルファーにとって、これは非常に重要です。

アイアンでダフると、地面との衝突によってヘッドスピードが大きく失われます。

もともとのヘッドスピードが速くなければ、その損失を取り戻すことはできません。

だからこそ、レディスやシニア向けのアイアンでは、少し手前から入っても、ソールが地面を滑って前へ進んでくれることが重要です。

ワイドソールは、単に初心者向けのやさしい形状ということではありません。

限られたヘッドスピードを地面との衝突で失わず、できるだけボールへ伝えるための設計でもあります。

打感と打音も大きく改善

G LE 4では、バックフェースにピュアフレックスバッジを搭載しています。

この部分はG LE 3にも採用されていましたが、G LE 4ではインパクト時の不快な高音を、前作比で約3分の1まで減少させたと説明されています。

これは、単なる感覚的な変更ではありません。

軽量アイアンは、構造によってはインパクト音が高くなりやすく、フェースの弾き感が強く感じられることがあります。

音が高いと、実際には良い当たりでも硬く感じることがあります。
逆に、音が落ち着けば、打感も柔らかく感じやすくなります。

G LE 4は、飛距離や寛容性だけでなく、打った時の満足感も改善しています。

軽く振って高く上がる。
ミスに強い。
そして、打感と打音も心地よい。

この部分も、長く使うクラブとしては重要です。

ウェッジまで同じ流れでつながる

G LE 4アイアンは、PW、UW、SWまで用意されています。

ロフトはPWが46°、UWが52°、SWが56°です。

この構成もG LE 3から基本的に変わっていません。

私は、ピッチ・エンド・ランの基準になるロフトは50°前後と考えています。

G LE 4のUWは52°ですが、低重心でワイドソールというヘッド構造を考えると、一般的な52°よりもボールが前へ出やすく、50°前後のクラブに近い転がり方になる可能性があります。

もちろん、実際のキャリーとランの割合は、打ち方、ボール、芝の状態によって変わります。

それでも、UWをフルショット専用と考えるのではなく、グリーン周りのピッチ・エンド・ランにも使えるクラブとして考える価値があります。

フィッティングクラブが8番アイアンになった

G LE 4では、フィッティングにも大きな変化があります。

店長としては、ここが今回一番の変化だと感じています。

PING公式サイトでは、従来の7番アイアンではなく、8番アイアンをフィッティングに活用すると説明しています。

PING Proving Grounds Podcastでも、以前は5番アイアン、その後7番アイアンがフィッティングクラブとして使われてきたものの、G LE 4では8番アイアンに変更したと説明されています。

これは非常に重要な変更です。

フィッティングは、難しいクラブを打てるかどうかを試す場ではありません。

その人のライ角、シャフト長、シャフト重量、グリップサイズなどを判断するためのものです。

ところが、フィッティングクラブ自体が難しければ、普段のスイングができません。

ボールが上がらない。
芯に当たらない。
無理に振る。
体が余計に動く。
本来のインパクト姿勢が分からなくなる。

これでは、正しいフィッティングになりません。

8番アイアンは7番アイアンより短く、ロフトも多いため、ミートしやすく、ボールも上がりやすくなります。

その結果、ゴルファーは無理に振る必要がなくなり、より普段に近いスイングを見せやすくなります。

つまり、8番アイアンへの変更は、単に初心者へ配慮したものではありません。

より正確なフィッティングを行うための変更です。

また、G LE 4ではフィッティング専用ヘッドを使い、ロフト角やライ角も調整できるようになっています。

女性だから標準のライ角。
身長が低いから短くする。
ヘッドスピードが遅いからLシャフト。

このように、外見や分類だけで決めるのではありません。

実際のインパクトと弾道を見て、その人に合う仕様を決める。

これがPINGのフィッティングです。

まとめ

G LE 3からG LE 4へのアイアンの変化は、スペック表だけでは分かりにくいかもしれません。

番手構成は同じ。
ロフトも同じ。
クラブ長も大きく変わっていません。

しかし、中身は進化しています。

前作より低く深い重心。
高く上がりやすい飛び重心設計。
打点ブレに強い周辺重量配分。
ダフリに強いワイドソール。
不快な高音を約3分の1まで抑えたピュアフレックスバッジ。
ハイブリッドと組み合わせて選べるコンボ設計。
8番アイアンを使った、より現実的なフィッティング。

G LE 3は、ロフト設計によって距離階段を整えたアイアンでした。

G LE 4は、その完成したロフト構成を引き継ぎながら、重心、寛容性、打感、セット構成、フィッティングを進化させたアイアンです。

一言でまとめるなら、

G LE 3は「ラクに飛ばして、距離差を作るアイアン」。
G LE 4は「高くキャリーさせ、狙った場所に止めるためのアイアン」。

これが、G LE 4アイアン編の結論です。

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