第4話 フェードとスライスの違い

ラインオブコンプレッションとスピン軸で考える

ここまで、フェードについて考えてきました。

第1話では、ローフェードは外から切る球ではないと整理しました。
第2話では、フェードには手元高さとクラブの通り道が必要だと考えました。
第3話では、リー・トレビノのフェードを通して、フェードはクラブパスだけでは決まらないと見てきました。

今回は、フェードとスライスの違いを整理します。


フェードとスライスは、曲がり幅だけの違いではない

フェードもスライスも、右へ曲がる球です。

そのため、

少し曲がるのがフェード
大きく曲がるのがスライス

と考えられがちです。

しかし、本質はそこではありません。

大切なのは、

ラインオブコンプレッションが保たれているか。
それとも、力が右へ逃げているか。

です。


フェードとは

フェードとは、

ラインオブコンプレッションを保ったまま、目標方向へ力が伝わり、そのうえでスピン軸だけが少し右へ傾いた球

です。

クラブの力は、ボールにしっかり入っています。
ボールは前へ強く押し出されます。
そのため、ボール初速が落ちにくく、キャリーも出ます。

右へ逃げるのではありません。

前へ押し込まれながら、スピン軸だけが少し右へ傾く。
これが良いフェードです。

一言で言えば、

フェードは、ラインオブコンプレッションを保った球

です。


スライスとは

一方、スライスは、

ラインオブコンプレッションが外れ、力そのものが右へ逃げた球

です。

フェースが開きすぎる。
クラブの通り道とフェース向きの関係が崩れる。
ボールの中心へ力が入りきらない。
エネルギーが右へ逃げる。

その結果、ボール初速が落ちます。
キャリーも落ちます。
球は弱くなります。

つまり、スライスは単に「大きく曲がるフェード」ではありません。

スライスは、ラインオブコンプレッションが外れた球

です。

この図はスイングパスとボールのインパクトの位置を示したものです。

オレンジのスイングパスがライオブコンプレッションが球たれたもの、ネイビーのスイングパスがアウトサイドインのスイングパスです。
ボールのインパクトポイントはオレンジがやや内側、ネイビーがやや外側、パープルが外側です。

ラインンオブコンプレッションが保たれているオレンジのスイングパスで

  • オレンジのインパクトポイントではフェード
  • ネイビーはドロー
  • パープルは強いドロー

となります。

ネイビーのスイングパスで

  • ネイビーはスライス
  • パープルは引っ掛け

です。


フェードを打とうとして失敗する理由

フェードを打とうとして、外からカットに打つ人がいます。

左へ振る。
フェースを開く。
外から入れる。

この場合、フェースが戻らなければ、力が右へ逃げて弱いスライスになります。

逆に、右へ逃げるのを嫌がってフェースを手で合わせると、

外から入る。
ロフトが立つ。
フェースが閉じる。
低く左へ飛ぶ。

つまり、低いひっかけになります。

フェードを打とうとしているのに、実際には、

弱いスライス
または
低いひっかけ

を作ってしまうわけです。


フェードに必要なもの

フェードに必要なのは、外から切ることではありません。

必要なのは、

手元高さを整えること。
クラブの通り道を整えること。
ラインオブコンプレッションを保つこと。
そのうえで、スピン軸だけを少し右へ傾けること。

です。

手元が低すぎると、クラブは外から入りやすくなります。
するとロフトが立ち、低いひっかけが出やすくなります。

手元が浮きすぎると、フェースが戻らず、弱い右球になりやすくなります。

だから、フェードにも適正な手元高さが必要です。


クラブ長とライ角が合わなければ、ラインオブコンプレッションは保てない

ここで大切なのは、ラインオブコンプレッションはスイングだけで作るものではない、ということです。

クラブ長が合っていなければ、手元の前後位置が合いません。
ライ角が合っていなければ、手元の高さが合いません。

手元の位置が合わなければ、クラブの通り道は崩れます。
クラブの通り道が崩れれば、ボールに加わる力のベクトルも崩れます。

つまり、クラブ長とライ角が合っていない状態で、ラインオブコンプレッションを保つことは非常に難しい。

フェードを打とうとしているのに、弱いスライスになる。
あるいは、低いひっかけになる。

その原因は、スイングだけではなく、クラブがその人の手元高さと通り道を崩していることにもあります。

だからフィッティングでは、単に「フェードを打ちたいからフラット」「つかまえたいからアップライト」と考えるのではなく、

そのクラブ長とライ角が、ラインオブコンプレッションを保てる手元位置を作っているか

を見る必要があります。


まとめ

フェードとスライスは、どちらも右へ曲がる球です。

しかし、本質はまったく違います。

フェードは、ラインオブコンプレッションを保った球。
スライスは、ラインオブコンプレッションが外れた球。

フェードは、目標方向へ強く力を伝えたうえで、スピン軸だけを少し右へ傾けた球です。

スライスは、力そのものが右へ逃げている球です。

だから、フェードを打つために必要なのは、外から切ることではありません。

手元高さを整え、クラブの通り道を整え、ラインオブコンプレッションを保ち、そのうえでスピン軸だけを少し右へ傾けること。

これが、フェードとスライスを分ける本質です。

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