間違っていたら訂正してほしいけど、iDi はここ最近の PING のクラブの中でも、かなり“ユニークな存在”と言えるんじゃない?
Rapture → Crossover と進化してきたけど、形としてはある程度 “一族” という感じがあったよね。ウッドも代々似た形をしているし。
でも iDi は、PING ファミリーの中でも今まで存在しなかったタイプのクラブに見える。ほぼ新しいカテゴリーと言っていいくらいじゃない?
その通りだね。
だからこそ、このプロジェクトはすごく楽しかった。リードエンジニアのマーク・ブロクソムは、ほぼ“白紙の状態”からスタートできた。
他の多くの製品カテゴリーでは、見た目のシルエットはある程度継承しつつ、内部構造やテクノロジーを一新する、というやり方が多いんだけど、iDi は本当にゼロベースで「解決すべき問題」を再定義できた。
ツアープレーヤーと何度もディスカッションして、「このクラブには何が必要か?」を徹底的に詰めていった結果、ツアー投入直後から驚くほど多く使われている。
僕は毎年、自分のクラブを“株”のように見て「今年の成長株」を予想するんだけど、今年は iDi を完全に“本命銘柄”扱いしていた。
今のところ、その読みは当たっているね。
PINGの役員で全米プロ選手権に出場する腕前を持つジェーソンの言葉は偉大です。PING EYE2を始めて見たときはその形状から想像できる性能から、多くの人が見にくいアヒルの子と称したこのクラブを美しいと判断した店長ですが、iDiは外からは機能が見えないので、打つまで全く分かりませんでした。だた、日本のマーケットにおいてはジェーソンの読みと私の読みが当たっているとは言えないようです。(笑い)
また、まったく新しいプロジェクトというのは、楽しいものです。プロジェクト引継ぎ、それを発展させることは、新しいものを構築していくということは大変なんですが、うかんだイマジネーションを具現化する高低はエンジニアにとって意外にすトレスがないものです。逆に、プロジェクトを進展させるということは、これまでの流れを途切れさせることはできないとか、流れを変更する時には誰もが納得できるものにしないといけないので、ストレスが溜まります。
つまり、「マーティのお墨付き」ってことだよね。マーティが最初からバッグに入れているなら、もう完全にお気に入りってことだから。
サウンドと打感はどう?
i500シリーズに近い感じ?
それとも i シリーズ寄り?
それとも独自のフィーリング?
どちらかと言えば、i500 や i530 に近いね。
フェースはかなりたわんでいるし、素材には C300 マーベリングスチールを使っている。
これは飛行機の着陸装置にも使われるような、強靭でよくしなる素材だ。Crossover よりフェース厚は 5%薄くなっていて、かなり高反発なんだけど、そのままだと音や振動が好ましくなくなる可能性がある。
そこで新しく “Inner Air(インナーエア)” というテクノロジーを入れた。これはヘッド内部に「空気が入った軽量のバッグ」のような構造物を配置して、振動を大幅に減衰させる仕組みなんだ。
その結果、フェースもボディも薄くして高反発化しながら、不快な音や振動を抑えられる。
ドクター・サシャ・マッケンジーが言う“Perception–Action Coupling(感覚と動作の結びつき)”にも通じるんだけど、クラブの見た目・挙動と、耳から入る音が脳内のイメージと一致していることがすごく大事なんだ。
i240 でもそこを意識して設計したけど、iDi も同じ考え方で、
「見た目どおり、期待どおりの音と打感になるように」チューニングした。
力強いけど金属的すぎず、“カキーン”としたガラス質の音でも、“カチッ”という硬い音でもない。
「ちょうど良いポップ感とボールスピード感」がありながら、耳障りではない音になっていると思う。
マイケル・ジョーダンに送らないといけないね。“エア(Air)が入ったゴルフクラブ”だから(笑)。
雑誌チョイスで打感は耳から入る情報が大きいと特集していましたのでこれについてはよく知っていて、逆に今の音が実は性能につながっていると感じる店長はあまり気にならない人ですが、上級者にiDiを打ってもらうど、打感がいいねぇと驚かれます。
PINGが新しく開発した「innerAir」とエアー・ジョーダンをかけて「マイケル・ジョーダン」に送らないととの発言ですが、NIKEとPINGは少なからず関係していますのでナイスジョークです。
以下は、動画の文字起こしとなります。
- ピンのスタッフがね、「道具がどれだけ大事か」っていうのを本当に僕に教えてくれたんだ。どんなショットでも、自分が打ちたい球を打てるっていうのが大好きなんだよね。
このポッドキャストでは、ここ(PING本社)で起きているいろいろなことを通じて、
どうやってゴルファーがもっといいゴルフをできるようにしているか、
そんな“楽しいストーリー”をたくさんお届けできると思う。
- みなさんこんにちは、「Ping Proving Grounds」ポッドキャストへようこそ。僕はシェーン・ベーコン、そして隣にいるのがマーティ・ジャートソンです。
マーティ、今日はこのテーマを話せるのが本当に楽しみなんだ。
- 僕はずっと前から「ドライビングアイアン」の大ファンでね。昔、Rapture Driving Iron が出たときのことをよく覚えてるよ。
あの2番アイアンを持ってて、ビルにフィッティングしてもらったんだ、バッバ・ワトソン全盛の頃ね。
最初から完全にハマってたよ。
そのあとすぐ Crossover もバッグに入れてたし、
ある時期は2番と3番の両方を入れてたこともある。
- だから、PINGが新しい「ドライビングアイアン」――つまり iDi を出すって聞いたときは、めちゃくちゃテンション上がったんだ。
今日はその話をマーティとできるのが楽しみだし、
この新しいクラブにどんな新しい要素が入っているのか、ぜひ聞きたい。
- 「iDi は、これまでの Crossover などと比べて、どこが一番違うんだい?」
- そうだねシェーン。このクラブに関しては、僕たち自身に「このカテゴリーのクラブで、そもそも何をやるべきか?」
を一から見直す、というチャレンジをしたんだ。
- Crossover はずっと良い製品で、「ハイブリッドとロングアイアンの中間」という意味で名付けられたんだけど、
年を追うごとにかなり進化してきた。
ヘッドが大きかったり、小さくなったり、シェイプが細くなったり、
いろいろ変化してきたんだけど、
どの世代にも共通していたのは “ヒールからトウまでがすごく長い” という点だった。
- そのせいもあってか、僕たちが期待していたほどツアーでの使用率が伸びなかった。そこでツアープレーヤーたちとかなり時間をかけて、
「このクラブに何を求めているのか?」
「ドライビングアイアン的なクラブに何をしてほしいのか?」
を徹底的にヒアリングしたんだ。
- それで、このカテゴリーでの “目標” と “解決すべき問題” をもう一度すべて組み立て直した。
- で、ここまで従来製品と違うものができたので、「これは名前も刷新すべきだ」と判断した。
それで “i ドライビングアイアン”、略して iDi という名前にしたんだ。
- i240 のアイアンシリーズや、“i タイプのプレーヤー”向けのラインナップに自然に溶け込むようなクラブにしたい、という意図がある。
- マーティ、僕らはこのポッドキャストで、「ロフトのあるフェアウェイウッド」の話を何度もしてきたけど、
ツアーでも数年前――そうだな、2〜4年前くらいから、
バッグの中にヘッドカバーの数が明らかに増えたよね。
- 長い間、ツアープロのバッグといえばドライバー、3番ウッドのあとにすぐ
2番アイアン、3番アイアン、Crossover みたいな流れが普通だったけど、
ここ数年でその構成が大きく変わってきた。
- そんな中で、「なぜ今、また 2番・3番・4番アイアンのようなクラブに
再びフォーカスするようになっているのか?」
上級者があまりバッグに入れないイメージの番手に、
また注目が戻ってきている理由は?
- いい質問だね。今、バッグの“トランジションゾーン”(フェアウェイウッド〜ロングアイアンの間)には
本当にたくさんの選択肢があるんだ。
- ロフトのあるフェアウェイウッド、高性能なハイブリッド、そして今作の iDi、
さらにロングアイアンもある。
- 「じゃあ、これらをどう使い分けるのか?」という話になる。
- 実際、多くのツアープレーヤーは「特定の条件のときだけ入れ替えるクラブ」を求めている。
- 例えば全英オープンのようなリンクス、あるいはフェアウェイが固くなるコースで、
ティーショットで少し“転がして攻めたい”週がある。
- そこでまず一つめのテーマが「そういう週に、ティーショット専用に近いクラブをどう作るか?」。
- 同時に「打感・見た目・フェースの返り方・ターフとの相性」がロングアイアンから自然につながるようにしたい、という要望も大きかった。
- さらに「4番は、4番アイアンの代わりに使えて、なおかつもっと高さが出せるクラブにしよう」という狙いもあった。
- iDi ファミリーでは 2・3・4番をラインナップしていて、それぞれ“別々の役割”に最適化している。
- 2番は完全に「全英オープンのようなコンディション向け」のクラブだね。ティーショット専用と言ってもいい。
ツアープロなら、これで “スティンガー” を打って 280ヤードくらい飛ばせる。
- かなり“ワンパターンな用途”のクラブで、低弾道で打ち出して、ランでしっかり前に行かせる。
フェアウェイファインダーとして、
「キャリー 240ヤード、そこから転がして 260〜280ヤード」みたいな使い方だね。
- 3番はこういう位置づけだ。
- 「2番、打てるには打てるけど、ちょっと強すぎるな…」というプレーヤーにとっての“スイートスポット”になる。
- キャリー 250ヤードを狙えるティーショットクラブでありながら、ハイブリッドやロフトのあるフェアウェイウッドほどスピンは多くない。
でも、純粋な 3番アイアンよりは打ち出しが高く、スピンも入り、許容性もある。
- フェースはフラットだからティーから打ちやすいし、ライさえ良ければパー5の2打目でも使える。
250ヤードキャリーでグリーン近く、場合によってはグリーンオンまで狙える。
- 4番は“高く飛ぶ”クラブだ。
- 一応カテゴリーとしては「i ドライビングアイアン」だけど、ツアーではすでに“4番アイアンの代わり”として
バッグに入れている選手が多い。
- 代表的なのが球のストライクが抜群に良いコーリー・コナーズ。正直、彼のような “球を外さない人” にとって
4番アイアンの代わりが必要とは思えないんだけど、
彼もすぐにバッグに入れた。
- 僕自身も 4番 iDi を 90g の Tour 90X シャフトで使っていて、本当に素晴らしいショットが打てている。
- 4番アイアンって、僕のバッグの中では “ちょっと不安定なクラブ” なんだ。振れていて、暖かくて、スピードが出ている日はいいんだけど、
そうじゃない日は一気に脆くなる。
- そこを iDi 4番が救ってくれている。
- だから、3つのロフト(17°・20°・23°)それぞれに明確な役割があって、ツアーでもすでに大きな成功を収め始めている。
まだデビューしたばかりなのにね。
- ツアーでも、全米オープンでいきなりバッグに入っていたりしたよね。オークモントみたいなコースで、
特に“濡れたオークモント”って聞くと、
あまり「低く出して転がすクラブ」のイメージじゃないけど、
それでも多くの選手がその週に iDi をバッグに入れて使っていた。
- そうそう。ビクター(ホブラン)はすぐに 3番を入れたし、コーリー・コナーズ、ブライアン・キャンベル、
それからローリー・キャナーも 2番と3番の2本をバッグに入れている。
- プレーヤーごとに使い方は違うけど、2番を完全にドライビングクラブとして使う選手もいれば、
3番をメインに使う選手、
そしてコーリーみたいに 4番をそのまま “4番アイアンの代わり” として使う選手もいる。
- ロフト・長さ・打ち出し・スピンをうまく設計したことで、セットの中に自然に溶け込むようになった。
- 以前は、例えば i530 の 4番と Blueprint の 4番を同時にバッグに入れて、「4番アイアンが2本ある」という、
ちょっと心理的に変な構成をしていたこともある。
- サヒス(ティーガラ)も同じようなことをしていたはずだよね。同じ番手だけど、違う距離を打ち分けていた。
- さっきも言ったように、iDi は見た目・打感・音が “よりアイアン寄り” に感じられるけど、
飛距離性能を犠牲にしていない。
そんなクラブになっている、って言っていい?
- うん、その表現で合ってる。
- まず構えたときに感じるのは、ブレード長が Crossover よりかなり短いこと。
大体 20%くらい短くなっている。
- そしてソールはかなりワイドになっている。
- つまり、ヒール〜トウ方向の長さは短くして、見た目・フェースの返り方・シャフトとの位置関係を
アイアンに近づけた。
- クラブを手に取って、軽く素振りして、目をつぶって打ってみても、
“長いアイアン” を振っているような感覚になると思う。
- 一方でソールを広くしたことで、重心をやや深くして慣性モーメントを上げている。
- 特に注目しているのが Ixx という慣性。これはフェース上下の打点ブレに対してボール初速やスピンを保つ方向の慣性で、
ギア効果を抑え、高打点・低打点でも
打ち出しとスピンを安定させるのに効く。
- ドライビングアイアンでは、ラフでボールが浮いていて、フェースの上の方に当たったときに
“全然飛ばないで落ちる” というのが一番イヤなミスなんだ。
- それを抑えるために、Rapture Driving Iron でも活かしていた設計思想を
さらに進化させている。
- ちょっと背が低く、ヒール〜トウを短くして、オフセットも少なめにしてアイアンに馴染む形にして、
ソールをワイドにして、
その形状全体で重量配分を工夫することで、
フェース上下のミスに対する許容性を高めている。
- ツアープレーヤーから Crossover に対して出ていたフィードバックって、iDi の開発のきっかけとしてどんなものがあったの?
- いくつかあったね。
- 1つ目は、Crossover には弾道調整スリーブが付いていたけど、ツアープレーヤーが求めるロフト・ライ角に
完全には届かなかったこと。
- フィッティングベイではスリーブの調整がすごく有効なんだけど、最終的には「自分のアイアンと同じライ角」で
きっちり出したいという要望が強かった。
- そこで iDi では、ピンらしい “大きなホーゼルノッチ” を入れて、カラーコード全域までしっかりライ角調整できる設計にした。
- つまり、弾道調整スリーブよりも「カラーコードフィッティング」を優先した。
ユーザーはアイアンと同じカラーコードで注文できるし、
それで十分に機能する。
これは僕自身にとっても大きなポイントだった。
- 2つ目は、「2番として、とにかく低く打ち出せるクラブにしたい」という点。
- 3つ目は、上下打点ブレに対するやさしさ。
- 4つ目は、さっき言ったブレード長を短くすること。ツアープレーヤーにとっては、
見た目だけでなく「手に伝わる感覚」も
自分のアイアンと揃えたい、という要望がとても強かった。
- 間違っていたら訂正してほしいけど、iDi はここ最近の PING のクラブの中でも、
かなり“ユニークな存在”と言えるんじゃない?
- Rapture → Crossover と進化してきたけど、形としてはある程度 “一族” という感じがあったよね。
ウッドも代々似た形をしているし。
- でも iDi は、PING ファミリーの中でも今まで存在しなかったタイプのクラブに見える。
ほぼ新しいカテゴリーと言っていいくらいじゃない?
- その通りだね。だからこそ、このプロジェクトはすごく楽しかった。
- リードエンジニアのマーク・ブロクソムは、ほぼ“白紙の状態”からスタートできた。
- 他の多くの製品カテゴリーでは、見た目のシルエットはある程度継承しつつ、
内部構造やテクノロジーを一新する、というやり方が多いんだけど、
iDi は本当にゼロベースで
「解決すべき問題」を再定義できた。
- ツアープレーヤーと何度もディスカッションして、「このクラブには何が必要か?」を徹底的に詰めていった結果、
ツアー投入直後から驚くほど多く使われている。
- 僕は毎年、自分のクラブを“株”のように見て「今年の成長株」を予想するんだけど、
今年は iDi を完全に“本命銘柄”扱いしていた。
今のところ、その読みは当たっているね。
- つまり、「マーティのお墨付き」ってことだよね。マーティが最初からバッグに入れているなら、
もう完全にお気に入りってことだから。
- サウンドと打感はどう?i500シリーズに近い感じ?
それとも i シリーズ寄り?
それとも独自のフィーリング?
- どちらかと言えば、i500 や i530 に近いね。
- フェースはかなりたわんでいるし、素材には C300 マーベリングスチールを使っている。
これは飛行機の着陸装置にも使われるような、
強靭でよくしなる素材だ。
- Crossover よりフェース厚は 5%薄くなっていて、かなり高反発なんだけど、
そのままだと音や振動が好ましくなくなる可能性がある。
- そこで新しく “Inner Air(インナーエア)” というテクノロジーを入れた。これはヘッド内部に「空気が入った軽量のバッグ」のような構造物を配置して、
振動を大幅に減衰させる仕組みなんだ。
- その結果、フェースもボディも薄くして高反発化しながら、
不快な音や振動を抑えられる。
- ドクター・サシャ・マッケンジーが言う“Perception–Action Coupling(感覚と動作の結びつき)”にも通じるんだけど、
クラブの見た目・挙動と、耳から入る音が
脳内のイメージと一致していることがすごく大事なんだ。
- i240 でもそこを意識して設計したけど、iDi も同じ考え方で、
「見た目どおり、期待どおりの音と打感になるように」チューニングした。
- 力強いけど金属的すぎず、“カキーン”としたガラス質の音でも、
“カチッ”という硬い音でもない。
「ちょうど良いポップ感とボールスピード感」がありながら、
耳障りではない音になっていると思う。
- マイケル・ジョーダンに送らないといけないね。“エア(Air)が入ったゴルフクラブ”だから(笑)。
- そうだね(笑)。
- ツアープロの話はかなりしてきたけど、いわゆる「一般のゴルファー」にとって、
iDi はどのポジションになるんだろう?
- たとえば 12ハンデくらいのプレーヤーがコンボセットを考えるとき、
バッグの上のほうの番手構成として
iDi をどう考えればいい?
- 一般ゴルファーにとって一番の入り口は、やっぱり 4番だと思う。
- 単純に「4番アイアンの代わり」として考えてもらえばいい。
- 試打してみて、いろいろなシャフトも試せるし、フィッターと一緒に PING Co-Pilot のツールを使って
シミュレーションもできる。
- これまで Crossover はやや“ニッチなクラブ”扱いだったから
ギャッピングアプリのアルゴリズムには入っていなかったけど、
iDi は i240 と同時期に発売されたこともあって、
最初からギャッピングアプリに組み込まれている。
- だからアプリ上で「iDi 4番を入れたとき、弾道や番手間の飛距離はどう変わるか」
をシミュレーションできる。
- スピードが十分あるプレーヤーなら、3番も面白い。ティーショット用に良いクラブを探している人は多いからね。
- 僕のクラブのメンバーでも、元プロ野球選手でほとんどのホールでドライバーが飛びすぎる人がいるんだけど、
彼なんかは iDi 2番をヘビーローテーションで使うことになるだろうね。
- 2番は相当“辛口”だから、しっかりヘッドスピードが必要だけど、
3番・4番はアマチュアにも素晴らしい選択肢になる。
スピードがある人は、2番もぜひ検討してほしい。
- 「5番アイアンから iDi 4番に飛ぶと、距離差が大きく開きすぎないか?」
って心配する人もいると思うんだけど、
そのあたり、ギャッピングの話はどう?
- そこはかなり意識して設計したポイントなんだ。
- 僕自身、Blueprint S の 4番アイアンをそのまま iDi 4番と入れ替えたんだけど、
ロフトも 23°、長さも“標準”で置き換えた。
- マーク(設計リーダー)がこだわったのは、「クラブ長を少し短めにする」という点。
- ツアーからも「ブレード長が長くて、さらにクラブ長も長く感じる」というフィードバックがあったので、
セットの他のロングアイアンと自然につながるように
標準長さを少し詰めた。
- これで、・長さの進び方がアイアンセットと揃う
・4番は十分なロフトがある
という状態になって、
4番アイアンとの距離差が“ちょうど良く”なった。
- コーリー・コナーズのスペックも、ほぼ標準ロフト・標準長さに近いはずだ。
- だから、「4番 iDi にしたからといって、4番 i240 より極端に飛びすぎる」というわけではない。
むしろ、球が上がりやすくなり、ミスヒットに強くなることで、
“ナイスショット率” が上がるのがポイントだね。
- ロングアイアンにおいて大事なのは、「最高飛距離」よりも
「高品質なショットがどれだけの割合で打てるか」
という指標だと思う。
- フィッティングの話をしてきたけど、大事なのは「ある程度のイメージを持ってフィッティングに行くけれど、
実際にはオープンマインドで臨むこと」だよね。
- フェアウェイウッド、高ロフトのフェアウェイウッド、ハイブリッド、アイアン、そして iDi。
- 選択肢は増え続けているからこそ、フィッティングの中で、
自分のプレースタイル、よく行くコース、スイングスピードに合った
“最適な1本” を見つけてほしい。
- 本当に“いい時代”だと思うよ。
- トランジションゾーンには多くのオプションがあって、それをどう組み合わせるかで
かなりゲームが変わる。
- 場合によっては、ここにクラブを2〜3本“入れ替え要員”として用意するのもアリだと思う。
- たとえば・ある週は 7番ウッドや 9番ウッドを入れる
・別の週は iDi 3番や 4番を入れる
みたいに。
- 僕なんかも、車のトランクにはいつも 16本くらい入っていて、トーナメントやコースによって
iDi 3番を抜いて G440 4番ウッドを入れたり、
その逆をしたりしている。
- 選択肢が多いのは少しややこしいけど、だからこそ Co-Pilot や、
しっかりトレーニングされたフィッターがいる。
- このポッドキャストの目的の一つも、聞いてくれている人が
「こういうところを質問すればいいんだな」
という理解を深めて、
フィッティングに行ったときに“いいスタート”を切れるようにすることなんだ。
- iDi でおもしろいのは、シャフトの選び方だね。
- ツアープロも僕もそうだけど、iDi ではアイアン用スチールじゃなくて、
“ハイブリッド用シャフト” を入れている。
- コーリー・コナーズも、ダイナミックゴールドをそのまま入れるわけではなくて、
ハイブリッド系のシャフトを組み合わせている。
- 僕も Tour 90 Black(90g)のハイブリッド系シャフトを入れていて、これが抜群にいい。
- ブレード長が短いことでターフとの相性も良く、アイアンっぽい挙動と、
ハイブリッドっぽいシャフト特性の両立ができている。
- ヘッドスピードが遅めのプレーヤーには、iDi はどうなんだろう?
4番あたりは選択肢になる?
- 4番は試す価値があると思うけど、ある程度のスピードがないと、
どうしてもスピンが足りなくなる。
- スピンがないと“揚力”が足りないので、キャリーも高さも出ない。
- そういう意味では、ヘッドスピードが控えめなゴルファーには
高ロフトのハイブリッドやフェアウェイウッドのほうが適している。
- これもギャッピングアプリを使えば、失敗しにくくなると思う。
- フィッティングではいい球が出ても、コースでは「高さが足りない」ということになりかねないからね。
- 3ヶ月後くらいにバンドン・デューンズを歩きながら、何本 iDi がバッグに刺さっているか数えてみたいな(笑)。
- スコットランドやバンドン、サンドバレーみたいな“風・地形・硬いフェアウェイ” のゴルフ場に行く人から、
よく質問のDMをもらうけど、
必ず聞くのは「レイングローブ持ってる?」ってことなんだよね。
- でも本当は、レインウェアやグローブと同じくらい、「その環境に適したクラブ」を用意することも重要だと思う。
- オハイオのような内陸のコースとは、まったく違う条件でゴルフをすることになるからね。
- そうだね。
- スコットランドやバンドン・デューンズのような“バケットリスト” コースに行くなら、
iDi はぜひ検討してほしいクラブだし、
レインウェア一式やジップロック、バケットハットなんかと同じくらい
持って行く価値がある。
- そして一番いいのは、「せっかく準備したのに、結局どれも使わなかった」っていうパターン(笑)。
それは天候に恵まれたってことだからね。
- PING 社内の“上手い連中”、ローカルの競技ゴルファーたちの反応はどう?
みんな新しいクラブにはワクワクすると思うけど、
iDi は社内のバッグにもかなり入ってる?
- かなり入ってるね。
- ローカルのアマチュア大会に出たり、USGA のフォーボールやミッドアマを目指しているような
競技志向の社員も多いけど、
彼らにとって iDi は “待ちきれないクラブ” だった。
- 「いつ発売になる?いつからトーナメントで使っていい?」って何度も聞かれたよ(笑)。
- 競技志向で、そこそこのスピードがあるプレーヤーにとって、iDi は最高のクラブになっている。
- 僕個人としても、今年自分のゲームに一番貢献してくれているクラブは
間違いなく iDi 4番だね。
- 2年前の “Thriver” がそうだったように、今年は iDi 4番が “マーティのクラブ・オブ・ザ・イヤー” だ。
- 本当は番組に「マーティ・スタンプ」みたいなのを出したいね(笑)。オプラのブッククラブみたいに、
マーティが「今年のクラブだ」と言ったら
画面にスタンプが出る、みたいな。
- マーティがこれだけ多くの名器を設計してきた上で「今年の1本」と言うわけだから、
それ以上の褒め言葉はないよね。
- 僕も、レフティとして「若い頃は欲しくても左用がない」という経験を山ほどしてきたから、
iDi の写真を初めて見たときは
本当にヨダレが出るような気持ちだった(笑)。
- 2番は、トーナメントやコースによってときどきバッグに入れるクラブになるだろうし、
狭くて硬いフェアウェイで
正しい場所に落とせば 30〜40ヤード転がるようなコースでは
“即投入” のクラブだと思う。
- 2・3・4番のラインナップを他のクラブとどうミックスするか、
ピンがずっと大事にしてきた“ミックスセット”の発想とも
完全にマッチしていると思う。
- うん、その通り。
- ツアーでもすでに、ロフトを 18°・20°・23°と大きく離して設計したことで、
複数本入れても番手間ギャップがうまく埋まることが確認できている。
- Crossover のときは、基本的に「1本だけバッグに入れる」使い方を想定していたので、
ロフト差は 2〜2.5°くらいと近かった。
- でも iDi では、最初から “複数本入れる” 前提でロフト差を広く取った。
そこにロフト・ライ調整の余地もある。
- だから、シェーンのバッグでも2本、場合によっては3本入れる構成も十分アリだと思うよ。
- アップルのエンジニアが新しい iPhone をバーに置き忘れて…っていう有名な話があるけど、
iDi を最初に打ったとき、
まだトーナメントで使えない時期は
かなり“ウズウズ”してたんじゃない?(笑)
- たまに「リサーチラウンド」と称して、ヘッドカバーをかぶせてこっそりバッグに入れたりするよ(笑)。
テスラが新型モデルを偽装してテスト走行してるみたいな感じでね。
- iDi ももちろん、発売前からそうやってこっそりラウンドで試していた。
- というわけで、マーティ・ジャートソンの「2025年 クラブ・オブ・ザ・イヤー」は iDi。
- 今日はどうもありがとう、マーティ。ここまでお送りしたのは Ping Proving Grounds ポッドキャストでした。
(拍手)
