ダイナミックでいこう!第2話 手元はなぜ遅れるのか

前回は、ライ角を変えることで、静止したフェースの向きだけでなく、クラブが運動するときの挙動そのものが変わる可能性について考えました。

その中で出てきたのが、

フラットにすると、手元が少し遅れる。

という現象です。

では、なぜ手元が遅れるのでしょうか。

ここで、いきなりクラブだけを見てはいけません。

人間とクラブは、別々に動いているわけではないからです。

肩が動きます。

肘が動きます。

手首が動きます。

骨盤が動きます。

その先にクラブがあります。

つまり、ゴルフスイングは、

人間とクラブがつながったリンク機構

として考えた方が自然です。

たとえば、からくり人形を想像してください。

ひとつの動力から、いくつものリンクを通して複雑な動きを作ります。

ひとつの関節の角度が変われば、その先の部品の動きも変わります。

ゴルフスイングも、これとよく似ています。

ライ角を2度変える。

数字だけを見れば、ほんのわずかな変更です。

しかし、その2度によって、クラブが人体に対して置かれる位置が変わります。

手元の高さも変わります。

腕の角度も変わります。

肩から手元までの有効半径も変わります。

そして、クラブから人間へ返ってくる反力の向きも変わります。

つまり、ライ角変更は、

クラブヘッドだけの問題ではありません。

人体を含めたリンク機構全体の初期条件を変える操作なのです。

ここで慣性モーメントを思い出します。

[
I=\sum mr^2
]

質量が同じでも、回転軸から遠くなれば、回転しにくさは大きくなります。

では、ライ角をフラットにしたことで、手元や腕の運動半径がわずかに大きくなったらどうでしょう。

仮に、その有効半径が600mmから614mmへ変わったとします。

増加量はわずか14mmです。

しかし慣性モーメントは距離の二乗で効きます。

[
\left(\frac{614}{600}\right)^2
\approx1.047
]

約4.7%増えます。

もちろん、これは人間をかなり単純化したモデルです。

実際には、肩、肘、手首、骨盤が同時に動きます。

ですから、「ライ角を2度フラットにすると慣性が必ず4.7%増える」という意味ではありません。

大切なのは、

数ミリ、数度の配置変化でも、動いている系では無視できない差になる

ということです。

さらに重要なのが「時間」です。

同じトルクで動かすなら、

α=r/l

です。

慣性モーメント (I) が大きくなれば、角加速度 (\alpha) は小さくなります。

つまり、動き始めがわずかに遅くなる。

この「わずか」が問題です。

ゴルフスイングは高速で進んでいます。

トップからインパクトまでの時間は、ほんの一瞬です。

その中で、もし手元の到達が5ミリ秒遅れたらどうでしょう。

5ミリ秒。

数字だけを見れば、ほとんどゼロに見えます。

しかし、その5ミリ秒の間にも、

骨盤は回っています。

胸郭も回っています。

腕も動いています。

クラブも回っています。

つまり、手元が5ミリ秒遅れるということは、

同じ人間なのに、違う身体の向きでインパクトを迎える

ということです。

ここで、スタティックな考え方との差が一気に大きくなります。

スタティックでは、

「ライ角が2度変わった」

で終わります。

ダイナミックでは、

「その2度によって、クラブと人体の運動の時間軸が変わった」

と考えます。

そして時間軸が変われば、

手元の位置が変わります。

ハンドファースト量が変わります。

クラブパスが変わります。

フェースが閉じるタイミングも変わります。

結果として、

静的なフェース向きとは逆方向に、ボールが飛ぶことすらあり得る。

では、ここでひとつ疑問が出てきます。

もしクラブの動きが、人体との時間関係によって決まるのであれば、

ゴルフスイングで本当に重要なのは、

「スタンスがどちらを向いているか」

なのでしょうか。

それとも、

力がどちらへ向いているか

なのでしょうか。

次は、そこを考えてみたいと思います。

ダイナミックで行こう。第1話 2°フラットの謎

PINGの営業さんから、以前こんな話を聞いたことがあります。

「ウェッジのライ角は、アイアンの流れより2度ほどフラットにした方がいいですよ」

その理由として聞いたのは、ライ角をフラットにすることでフェースが相対的に右を向き、ボールにスライス方向の回転が入りやすくなる、という考え方でした。

これはこれで、ひとつの説明です。

しかし、この説明はクラブを止めた状態から考えています。

つまり、スタティック(静的)な考察です。

では、ウェッジのライ角を2度フラットにするというセッティングを、本当に静的な考察だけで説明してしまってよいのでしょうか。

以前このブログで、左への引っかけに悩んでいたお客様のクラブを、あえてアップライトに調整した話を書きました。

一般的なライ角理論だけで考えれば、これは逆です。

アップライトにすれば、フェース面の幾何学的な向きは左方向へ作用します。

左へ引っかける人なら、さらに左へ行きそうです。

ところが、実際には逆でした。

アップライトに調整すると、左への引っかけがなくなったのです。

なぜでしょう。

クラブは、インパクトの瞬間まで静止しているわけではありません。

人間が動きます。
クラブが動きます。
シャフトが動きます。
ヘッドが動きます。

そこには質量があります。
慣性があります。
回転があります。
そして、それぞれの運動には時間差があります。

ライ角を変えれば、変わるのは静止したフェースの向きだけではありません。

クラブが運動するときの挙動そのものが、変わる可能性があります。

つまり、

静的には左へ行くはずの変更が、動的には右方向への変化を生むことがある。

運動は、ときとして静的な予測とは逆の結果を生みます。

ここが、今回のシリーズの出発点です。

止まっているクラブを見て考える「スタティック」から、

動いているクラブと、動いている人間を考える「ダイナミック」へ。

まずは、

「ウェッジを2度フラットにすると、なぜ統一感が出るのか」

この話から考えてみたいと思います。

では、ウェッジを2度フラットにすると、何が起きるのでしょうか。

まず、スタティックに考えてみます。

クラブを地面に置き、フェースを目標方向へ向けます。

そこからライ角をフラットにすれば、フェース面には右方向を向く成分が生まれます。

これは幾何学です。

クラブを動かさなければ、この説明でほぼ終わります。

しかし、ゴルフクラブは動かして使う道具です。

ここからダイナミックに考えてみます。

クラブには「重さ」だけでなく「慣性」がある

ゴルフクラブの振りやすさを考えるとき、

「このシャフトは130gです」

「このヘッドは270gです」

というように、私たちはどうしても重量を見ます。

しかし、動いている物体では、重量だけでは十分ではありません。

重要になるのが質量分布です。

同じ400gのクラブでも、その400gが手元近くに集まっているクラブと、ヘッド側に集まっているクラブでは、動かしたときの感覚はまったく違います。

これは慣性モーメント、

I=Σmr2乗

で考えることができます。

質量 (m) が同じでも、回転軸からの距離 (r) が大きくなれば、その影響は距離の二乗で大きくなります。

つまりクラブは、

何グラムあるか

だけではなく、

その何グラムが、どこにあるのか

で動き方が変わります。

現代のアイアンは意外なほど揃っている

ここで、現代のアイアンを簡単なモデルで計算してみました。

シャフト重量を130gとし、一般的な番手ごとのクラブ長とヘッド重量を使って、グリップ側を基準にした慣性モーメントを概算します。

すると、

4番アイアン 約0.280
5番アイアン 約0.279
6番アイアン 約0.278
7番アイアン 約0.277
8番アイアン 約0.275
9番アイアン 約0.274
PW     約0.272

kg・m²程度になりました。

もちろん、これはクラブを非常に単純化した計算です。

しかし、傾向を見るには十分です。

驚くほど揃っています。

クラブは長くなるほど回転半径が大きくなります。

そのままなら長いクラブほど慣性モーメントは大きくなるはずです。

しかし実際には、長い番手ほどヘッドが軽く設計されています。

そのため、

クラブが長くなることによる慣性の増加を、ヘッド重量の減少によって相殺している

と見ることができます。

さらに、ドライバーを

45.25インチ
ヘッド203g
シャフト50g

として同じように計算すると、

約0.290kg・m²。

130gシャフトの4番アイアンが約0.280ですから、思ったほど大きな差ではありません。

現代のクラブは、私たちが想像している以上に、

番手が変わっても似た運動をしやすいように質量が配置されている

のかもしれません。

では、ウェッジはどうでしょう

ここで最初の話に戻ります。

アイアンセットの流れで考えれば、クラブが短くなるにつれてライ角は徐々にアップライトになります。

スタティックに見れば、とてもきれいな流れです。

ところがPINGの営業さんから聞いた話では、

ウェッジは、その流れより2度ほどフラットにする。

数字だけを見れば、ここで突然流れを壊しています。

なぜでしょう。

もしかすると、

静的な数値の流れを壊すことで、動的な流れを揃えている

のではないでしょうか。

ウェッジは短い。

そしてヘッドは重い。

さらに、アイアンより小さな振り幅で使うことも多くなります。

短いクラブは、人間の動きに対して反応が速くなります。

同じように身体を動かしたとしても、長いクラブより早くクラブが追従してくる可能性があります。

だとすれば、ウェッジだけライ角を少しフラットにすることによって、その反応をわずかに遅らせることができれば、

長いクラブから短いクラブまで、

人間に対するクラブの時間的な反応を揃える

ことができるかもしれません。

ここで私は、ひとつの経験を思い出しました。

ライ角をフラットにすると、

手元が少し遅れる。

逆にアップライトにすると、

手元が少し先行する。

何度も試しているうちに、この傾向が見えてきました。

もちろん、2度ライ角を変えたことで、何ミリ秒遅れるのか。

それを単純な計算だけで求めることはできません。

人間には肩があります。

肘があります。

手首があります。

股関節があります。

さらにクラブにはシャフトのしなりがあります。

すべてがつながったリンク機構として動いているからです。

しかし、ここで重要なのは、

手元の位置が変わる

ということです。

手元が遅れれば、同じインパクトにはなりません。

身体はその間にも動いています。

骨盤も回っています。

胸郭も回っています。

クラブも回っています。

仮に手元の到達がわずか5ミリ秒違っただけでも、インパクト付近で身体が毎秒数百度という角速度で回転しているなら、その5ミリ秒の間に身体の位置関係は数度変わる可能性があります。

つまり、

ライ角を2度変えた。

ただそれだけの変更が、

インパクトでは2度以上の違いを生み出す可能性がある。

ここに、スタティックとダイナミックの大きな違いがあります。

静的な理論では、

ライ角 → フェースの向き

だけを見ます。

しかしダイナミックに考えるなら、

ライ角
→ クラブの運動特性
→ 手元の速度
→ 身体との時間差
→ インパクト時のクラブ位置
→ クラブパス
→ フェース向き
→ 弾道

まで考えなければなりません。

こうなると、

「アップライトだから左」

「フラットだから右」

という単純な話ではなくなります。

そして、私が実際に経験した、

左への引っかけに対してアップライトにしたら、逆に真っすぐ飛ぶようになった

という現象も、少し違って見えてきます。

静的には左へ向かう変更。

しかしその変更によって手元の時間軸が変わり、クラブパスやフェースの動きまで変化すれば、

結果は逆になることがあります。

クラブを止めて見ていたのでは、これは分かりません。

ゴルフクラブは、動いているからです。

そして人間も、動いています。

これが、

ダイナミックに考える

ということなのだと思います。

コヤマカズヒロ氏の朱莉プロのクラブ解説よりまとめ 連続性の呪縛

コヤマカズヒロ氏は多くの示唆を与えてくれた内容です。朱莉プロだけではなく細野プロの事に引き合いに出していただいたのがよかったと思います。

さて、結論をまとめたいと思います。

連続性の呪縛

例えば、ドライバーのキャリーが230ヤードだったとします。

そこから10ヤード刻みでクラブをバッグに入れようとすると、

230ヤード
220ヤード
210ヤード
200ヤード
190ヤード
180ヤード……

というように、きれいな階段を作りたくなります。 “コヤマカズヒロ氏の朱莉プロのクラブ解説よりまとめ 連続性の呪縛” の続きを読む

Bの変化

前回の投稿で、BシリーズがPINGの歴史の中でもかなり正統な系譜を持つパターであることがお分かりいただけたと思います。

初期のステンレス製B60を見ると、

トップブレードがかなり薄いことが分かります。

そのためネックも、現在のパターのようにトップブレードの上から立ち上がっているというより、フェース背面に取り付けられているように見える形状になっています。

一方、店長のコレクションにあるB60 BeCu(ベリリウムカッパー)は、

初期のステンレスモデルと比較すると、トップブレードがかなり厚くなっています。

この違いから考えると、初期型ではトウ側・ヒール側に重量を多く配分するため、トップブレード部分に十分な重量を使えなかった可能性もあるのではないかと思います。

ただし、BeCuのB60にも初期ステンレスモデルと同じようにトップブレードの薄いものがあります。

したがって、単純な素材の違いというより、製造時期や金型による形状差と考える方がよさそうです。

打感についても違いがあります。

店長の感覚では、ステンレスモデルの方が硬く、そしてヘッドが軽く感じます。

もう一つ、初期B60を見て気になるのが、プル角、つまりシャフトとフェース面の関係です。

初期型は、現在のB60やB63と比較するとシャフトの傾きが強く見えます。

この形状を見ると、ボールをスタンス中央よりやや右側に置き、手元を少し先行させた状態で構えることを想定していたのではないか、とも考えられます。

もちろん、これがPINGの明確な設計意図だったと断定することはできません。

ただ、パターの構え方やストロークの考え方が現在とは少し違っていた可能性はありそうです。

その後、パターヘッドの重量は徐々に重くなっていきます。

それに伴って、トップブレードも厚くなり、ネックの取り付け位置も変化していきました。

そして現在のScottsdale B63を見ると、

トップブレードの厚さはANSER系に近くなり、ネックもフェース背面から付いているというより、トップブレード上部から自然に立ち上がる形状に変わっています。

さらに大きな変化が、ヘッドの奥行きです。

B60は世代を追うごとに少しずつ奥行きが増し、現在のB63ではかなりマレット的な印象が強くなっています。

image

ここに、Bシリーズの進化の方向がよく表れているように思います。

初期のB60は、ANSERに近い操作感を重視したブレード系パターでした。

そこから、

トップブレードを厚くする
→ ヘッド重量を増やす
→ 奥行きを増やす
→ 周辺重量配分を強くする

という方向へ進み、少しずつ安定性を高めてきました。

そして現在のB63は、

「安定したブレード」から「操作できるマレット」へ

進化したモデル、と見ることができるのではないでしょうか。

岡本綾子プロ、Sirニック・ファルド。
名手たちの勝利を支えてきたBシリーズが、時代を越え、今度は朱莉プロのツアー優勝を支えました。
その瞬間は、B60からB63へと系譜をつないできたPINGの開発陣にとっても、特別なものだったのではないでしょうか。

Bの系譜!

佐久間朱莉プロを再び優勝へ導いたPING B63のルーツであるB60はどのようなパターなのでしょうか?

おそらく、日本で最初に話題になったのは、LPGAツアーで賞金女王になった岡本綾子プロが使用してことしょう。

B60は1978年ごろ丸みを帯びたワイドブレード形状に持ち、おそらくステンレスのパターとして登場したと思います。

PINGのクラシックパターで有名な

THE BANK OF PUTTERSさん

ではステンレスパターで登場します。岡本綾子プロが使用したのはおそらく1980年台だと思います。

次に注目を浴びたのは、私も知りませんでしたが、1992年のミュアフィールド行われた全英オープンでのニック・ファルドです。BuCuのB60で優勝しています。

2000年代はG5i / i-Series / iWi / iN B60の中のモデルとしてB60が販売されます。

2007年頃〜はKarsten Series B60として、クラシックなB60形状を現代的な重量・素材で再構成しています。このころ、PING PROだったビリー・ホーシェルに実戦使用例があります。

2017年にはPEBAX系インサートでB60が登場します。この時に女子選手の優勝回数が多いパターはB60 であると紹介されています。

2019年にはチャールズ・ハウエルIIIの要請?をうけPLD B60が登場します。

2024年には2024 B60が登場します。このモデルはヘッド重量が350gとなります。

そして現在のScottsdale B63となります。

また、バッバ・ワトソンもジュニア時代に使用していたようです。

ANSERにははるかに及びませんが、

B60は、PINGの歴史の中で女子選手の優勝回数が最も多いパター形状のひとつです。

そのBの系譜を受け継ぎ、より高MOI化したB63が、再び女子ツアーで優勝しました。

前田陽子プロのセッティングから見えてくるもの。

塚田プロは、i540の性能をロング〜ミドルアイアンに集中して使う、非常に合理的なセッティングでした。

今回紹介する前田陽子プロのセッティングは、また別の意味で、

「そんな考え方があったのか」

と気付かせてくれます。

PING公式によると、前田プロのセッティングは、

G440 MAX フェアウェイウッド #4・#7
G440 ハイブリッド #4〜#7
i540 #8・#9・PW・UW

となっています。

これを見るまで店長も気付きませんでしたが、かなり筋の通った構成です。

なぜか。

素材を見てみます。

モデル フェース素材 ボディ
G440 FW(MAX/SFT) 鍛造マレージング鋼 C300 17-4ステンレス+カーボンクラウン
G440 HB 鍛造 マレージング鋼 C300 17-4ステンレス+カーボンクラウン
i540 IRON 鍛造マレージング鋼 C300 17-4ステンレス

G440 FWとHBにはさらにカーボンクラウンがありますが、アイアンには当然クラウンそのものがありません。

それを除けば、

フェースはC300マレージング鋼。
ボディは17-4ステンレス。

という基本構成が、FWからHB、そしてi540まで共通しています。

これは非常に興味深いところです。

正確性を重視するゴルファーにとって、クラブが変わるたびにインパクトの感触やボールの弾き方が大きく変わらないことには、大きなメリットがあります。

もちろん、FW、HB、アイアンではヘッド形状も内部構造も違いますから、打感まで完全に同じになるわけではありません。

しかし、少なくともボールと直接接触するフェース素材を同じC300マレージング鋼でつないでいる。

ここには一つの統一感があります。

さらにi540では、中空アイアン特有の打音・打感の問題を抑えるために、inR-Airテクノロジーを採用しています。PINGは、フェース裏側のエアポケットによって不要な振動を減衰させる技術だと説明しています。

そう考えると前田プロのセッティングは、

FW → HB → i540

とクラブの形は変わっていきますが、

C300マレージング鋼フェースを軸に、同じ方向性の高初速クラブを連続させている

と見ることができます。

言い換えれば、

i540は、フェアウェイウッドとハイブリッドからアイアンへつなぐための「アイアン形状の高初速クラブ」と考えることもできる。

前田プロは、それを8番からUWまで使っています。

これは塚田プロとはまったく違うi540の使い方です。

塚田プロは、i540をロングアイアンとして使う。

前田プロは、G440 FW・G440 HBから続く流れの中で、i540をアイアン部分として使う。

同じi540でも、使い方はまったく違います。

そして、どちらにも筋が通っています。

ここがPINGのクラブセッティングの面白いところではないでしょうか。

下衆な話ですが、このようなセッティングであるならば、こちらも最大で4本までですので、お高いi540アイアンでも手の届く存在と言えるのでは?と思います。

i540アイアンの使用例最高パターン!そんな考え方があったのか!

日本ではPINGのクラブを使ったらこの人の右に出る人はいないと言っても過言ではありません。

その塚田Pのセッティングを見てみましょう。

5番から7番をi540

7番からPWをBLUEPRINT T

です。

アイアンをセットでなかればならないというように考えていないようですよ。

  • ドライバー
  • フェアウェイウッド
  • ハイブリッド
  • ロングアイアン
  • ショートアイアン
  • ウェッジ
  • パター

とゴルフクラブを7つのジャンルに分けるという考えです。ハイブリッドとアイアンの間にロングアイアンというジャンルのクラブを入れる。

いやはや、実にスマートな考え方です。

この考え方の良いところは、ちょっとお高いi540アイアンを最大4本までしか買わなくてもいいという事です。塚田Pが5番からですので一般の方はおそらく最大で3本です。

流石、塚田Pですね。シッカリ、「i540は4〜7番にタングステンソールウェイトを入れている」という事を理解されています。

次回は、もう一人の日本のPING PROを紹介したいと思います。

i540をもう一度勉強するぞ!

3月のジョン・K・ソルハイム、PING社CEO兼社長のコメントを含めた投稿確認でもう一度i540アイアンを勉強しましょう。

プレーヤー向けデザインでありながら、より速いスピードを求めるゴルファーのために設計された、快適な打感を実現するプレミアムアイアン「i540」が本日PINGより発表されました。スコアアップ性能を追求したカスタムエンジニアリングが施されたこのi540アイアンは、本日より世界中のPING正規ゴルフショップにて、カスタムフィッティングおよび予約注文が可能です。

「i540アイアンには多くのテクノロジーが詰め込まれています。ヘッド内部では、タングステンソールウェイトが重心を低くし、鍛造マレージング鋼フェースと相まって、ボールスピードを向上させます。さらに、打感と打音を改善するためにinR-AIRテクノロジーを採用しました。これはフェース裏側の空気ポケットが振動を減衰させ、より優れたインパクト感を実現します。外観は、カバードキャビティ設計により、すっきりとしたハイテクな印象を与えます。」

—ジョン・K・ソルハイム、PING社CEO兼社長

「プレーヤーズディスタンスアイアンの人気は、ブレードスタイルの外観でより速いボールスピードを求めるゴルファーが増えていることから、ますます高まっています」と、PINGのCEO兼社長であるジョン・K・ソルハイム氏は述べています。「i540アイアンには多くのテクノロジーが詰め込まれています。ヘッド内部では、タングステンソールウェイトが重心を下げ、鍛造マレージングスチールフェースと相まってボールスピードを向上させます。また、打感と打音を改善するためにinR-Airテクノロジーを採用しました。これはフェース裏側の空気ポケットで、振動を減衰させ、より優れたインパクト体験をもたらします。外観は、カバードキャビティデザインにより、すっきりとしたハイテクな印象を与えます。」

「飛距離を最優先するゴルファーにとって、このアイアンはまさに理想的です。i540アイアンは、飛距離重視のアイアンとしては珍しいほどの寛容性も備えています。見た目も素晴らしく、打感も抜群。そして何よりも、スコアアップとコースでの楽しさの向上につながるでしょう。」

プレーヤーの飛距離と制動力

i540アイアンは、飛距離アップを実現する複数の要素を備えています。例えば、4番から7番アイアンにはタングステンソールウェイトを採用し、重心を低くすることでボールスピードを向上させています。また、鍛造された高柔軟性マレージング鋼C300フェースは、17-4ステンレススチール製のボディに精密に溶接されており、金属と木材を融合させたようなしなりを生み出し、ボールスピードの向上と最大飛距離の増加を実現し、より強力なストッピングパワーを発揮します。

i540アイアンは、重心位置を最適化したロフト角により、飛距離アップとグリーン上でのボールの最高到達点向上を実現します。カスタムフィッティングでは、ゴルファーの打ち出し条件を最適化するために、3種類のロフト角(スタンダード、パワー、レトロ)から選択可能です。

「i540は、飛距離重視のアイアンにさらなるコントロール性をもたらします。飛距離を最優先に考えながらも、プレーヤー向けアイアンのサイズ感や外観を好むゴルファーに最適です。」

—ジョン・K・ソルハイム、PING社CEO兼社長

「i540は、飛距離重視のアイアンにさらなるコントロール性をもたらします」とソルハイム氏は語ります。「飛距離アップを最優先に考えながらも、プレーヤーズアイアンのサイズ感や外観を好むゴルファーに最適です。場合によっては、長年の間に失ってしまったボールスピードを取り戻したいと考えているゴルファーにも適しています。ブレードアイアン愛好家は、薄いトップライン、狭いソール、浅いフェース高といった、このアイアンの洗練された高級感あふれる外観を高く評価するでしょう。i540アイアンは、スピードと精度を兼ね備えた、非常に魅力的なデザインです。」

中身:inR-Airテクノロジー

打感と打音を向上させるため、i540アイアンにはinR-Airテクノロジーが採用されています。これは、PINGのイノベーションチームが改良を重ね、昨年iDiドライビングアイアンで初めて導入された技術です。特許出願中のこの技術は、フェース裏側のクラブ内部に戦略的に配置されたエアポケットを利用して、インパクト時に発生する不要な周波数を減衰させます。また、i540アイアンの17-4ステンレススチール製ボディ内部に統合されたi-Beam構造も、サポート力を高めるとともに、打音と打感の向上に貢献しています。

「このタイプのアイアン構造は、常に打音と打感の面で課題を抱えています」とソルハイム氏は語る。「i540アイアン内部の空気ポケットは、振動周波数を抑え、インパクト時の打感を向上させる優れたソリューションです。iDiドライビングアイアンで既に高い効果が実証されており、この技術をアイアンセット全体に採用し、ゴルファーの皆様にお届けできることを大変嬉しく思っています。」

以上です。

一番重要な部分だけ抜き出すと

記事で使うなら、この5点で十分だと思います。

① 4〜7番にタングステンソールウェイト
→ 低重心化

② C300マレージング鋼フェース
→ 大きなたわみと高初速

③ 高さを確保
→ 飛距離だけではなくストッピングパワー

本文にはレトロロフトが紹介されていますが、PW,UWを除きロフト設定で対応できます。
4~7のソールウェイトによる高弾道化も貢献しています。

④ inR-Air
→ 中空・薄肉フェース特有の振動を抑えて打感・打音を改善

⑤ 「失ったボールスピードを取り戻したいゴルファー」

i540の説明を読むと、もちろんセット全体として完成度の高いアイアンであることは分かります。

しかし、今回あらためて注目したいのは、

4番から7番にだけタングステンソールウェイトが入っている

という点です。

これは非常に重要です。

PING自身が、i540の中でもロング〜ミドルアイアン側に対して、明確に

低重心化
ボールスピード向上
高弾道化
ストッピングパワー向上

を狙った設計を入れているということだからです。

つまりi540は、単純にセット全体を「飛び系」にしたアイアンではありません。

むしろ、

飛距離が落ちやすい番手に、集中的に飛距離性能を与えたアイアン

と見ることができます。

年齢とともに最初に苦しくなりやすいのは、ショートアイアンではなく、やはり5番、6番、場合によっては7番です。

昔は普通に打てていた5番アイアンが、だんだん飛ばなくなる。

6番との差がなくなる。

無理に振らなければ高さも出ない。

そうなると、5番アイアンそのものをバッグから抜くことになります。

i540は、まさにその領域に対して設計上の手当てをしているわけです。

私自身、i540の5番アイアンを使ってみて、それを強く感じています。

ロフトを標準より2度寝かせ、シャフトも標準より短くしているにもかかわらず、それでも十分すぎるほど飛びます。

その結果、これまで使用していたiDiの4番がバッグから外れました。

代わりに入ったのがG425の9番ウッドです。

つまり、i540の5番アイアンが飛ぶようになったことで、その上のクラブに「さらに飛ばす」という役割を求める必要がなくなった。

そこで、

200ヤードを飛ばすクラブではなく、200ヤード先で止めるクラブ

を入れられるようになったわけです。

そう考えると、i540の価値は単純な飛距離だけではありません。

4番〜7番の飛距離性能を上げることで、バッグ全体の構成を変えられる。

ここがi540の非常に面白いところだと思います。


「i540は高価なアイアンですが、全部の番手を入れる必要はありません。まず5番、6番だけでも意味があります」

次回は、i540アイアンの好使用例を紹介したいと思います。

i540アイアンはこう使おう!

年とともにだんだん飛ばなくなったi230アイアンの5番。

シャフトをグラファイトシャフトに変更したりして使ってきましたが、

年齢とともに、だんだん飛ばなくなってきたi230アイアンの5番。

シャフトをグラファイトに変更するなど、いろいろ工夫しながら使ってきましたが、i540アイアンの発売を機に5番アイアンをi540へ変更しました。

当初はiDiアイアンとの流れを考えて軽めのシャフトを装着していましたが、現在は他のアイアンとのつながりを優先して、MODUS³ 130 Rに変更しています。

ただし、そのままのスペックではありません。

シャフト長は6番アイアンより0.25インチだけ長くし、ヘッドのロフトは標準より2度寝かせています。

なぜ、こんなセッティングにしたのか。

理由は単純で、i540は飛ぶからです。

店長の場合、i540の5番アイアンはi230の5番アイアンより、確実に10ヤード以上飛びます。

そこで、

「シャフトを短くして、ロフトを2度寝かせれば、ちょうどいい距離になるだろう」

と考えました。

ところが、実際に打ってみると、それでも思った以上に飛びます。

全米プロ選手権にも出場する腕前を持つPINGのジェーソンは、i540の6番アイアンを5番アイアンとしてバッグに入れています。

これは非常に理にかなったセッティングだと思います。

私の場合は5番のヘッドを使っているので、6番と比較するとヘッドだけなら約2番手分の違いがあります。

そこからロフトを2度寝かせ、さらにシャフトを0.25インチ短くしています。

それでも実際の飛距離は、6番アイアンに対して約1.5番手分飛びます。

本来のアイアンセットとして正常なギャッピングを求めるのであれば、ジェーソンのようにi540の6番を5番相当として使うほうが合理的だと思います。

ただ、私は5番アイアンにはある程度の「距離のアドバンテージ」が欲しい。

そのため、このままi540の5番を使っていくことにしました。

そして、この5番アイアンが入ったことで、バッグの中身にも変化が起きました。

それまで使用していたiDiの4番が抜けました。

その代わりに入ったのが、

G425の#9フェアウェイウッドです。

私が欲しかったのは、単に200ヤード飛ぶクラブではありません。

200ヤード先で、ボールを止められるクラブです。

i540の5番アイアンが十分な飛距離を担当してくれるようになったことで、その上のクラブにはさらに飛距離を求める必要がなくなりました。

そこで、ロングアイアン系のiDi 4番ではなく、高さを出して200ヤード先のグリーンで止められるG425 #9を入れることができました。

つまり、i540の5番アイアンを入れたことで変わったのは、5番アイアンの飛距離だけではありません。

バッグ全体の距離構成を変えることができた。

これが、私にとってi540の5番アイアンを使う一番大きな意味になっています。

 

新しいシャフトの作り方 カウンターバランス

今回追加される10本の中で、元調子・中調子・先調子という分類だけでは少し説明しにくいのが、

TENSEI 1K Pro Orange RIP+

です。

TENSEI Orangeシリーズの大きな特徴は、以前から採用されてきたカウンターバランス設計です。

つまり、単に「どこがしなるか」だけではなく、

クラブ全体の重量配分まで含めて、振りやすさを作るシャフト

と考えた方が分かりやすいと思います。

現在のドライバーヘッドは、大型化・高MOI化し、ヘッド重量も大きくなっています。

その状態でヘッド側の重量感が強くなりすぎると、

切り返しでクラブが遅れる。
リリースが早くなる。
ヘッドを戻すために余分な力を使う。

ということが起こる可能性があります。

Orangeシリーズでは、重量配分を手元側へ寄せることで、ヘッド重量による負担を軽減します。

そして今回の RIP+ では、そこに先端側の安定性をさらに加えています。

従来のOrangeについては、

カウンターバランスで振りやすい反面、シャフトの中に少し曖昧な動きを感じる

という評価もありました。

今回のRIP+では、その曖昧さを減らし、

振りやすさは残す。
しかし、インパクト付近では余計に動かさない。

という方向へ進化したように見えます。

つまり、このシャフトも今回の他のモデルと考え方は共通しています。

特徴そのものをなくしたのではありません。

Orangeらしいカウンターバランスは残しながら、その弱点になり得る部分を新しい技術で薄めている。

ということです。

今回の新しいカスタムシャフト全体を見ていると、

元調子なら、遅れを減らす。

中調子なら、動きの偏りを減らす。

先調子なら、暴れを減らす。

そしてTENSEI Orangeでは、

重量配分による振りやすさを残しながら、インパクトでの曖昧さを減らす。

それぞれ方法は違いますが、

そのシャフトが本来持っているメリットは残し、デメリットだけを小さくする。

これが、今年追加される新しいカスタムシャフトに共通する開発方向ではないかと思います。