ガルシアとマキロイのスイングは、なぜ違うのか

なぜ、ガルシアとマキロイのスイングは違うのでしょうか。
そして、なぜマキロイの前傾角度は、インパクトでアドレス時と完全には一致しないのでしょうか。

結論を先に書くと、マキロイはヒッターだからです。

こう書くと、多くの人は違和感を覚えるかもしれません。

マキロイのスイングは、流れるように見えます。
リズムも美しく、フィニッシュも綺麗です。
ですから、一般的には「スインガータイプの理想的なスイング」と評価されやすいと思います。

しかし、スインガーとヒッターの違いは、見た目の美しさではありません。

違いは、クラブの動きをどのように作り出しているかです。

筋力、反力、体幹の出力を使ってクラブを動かすのがヒッター。
一方、体を振り子として使い、クラブの運動を効率よく引き出すのがスインガーです。

スインガーでは、左股関節が振り子の支点として機能します。
左股関節の上に上体が乗り、上体はバラバラに動くのではなく、接続された一つのパーツとして回転します。

ここで重要なのは、振り子の支点です。

振り子は、支点が大きく動くと効率が悪くなります。
ですので、スインガーはアドレスで作った前傾角度、手元の位置、シャフトプレーンを大きく変えずに、インパクトで元の構造に戻してくる必要があります。

つまり、スインガーにとっては、

前傾角度が維持されていること
手元が浮かないこと
インパクトでアドレス時のシャフトポジションに近く戻ること

が非常に重要になります。

ここでガルシアのスイングを見ると、非常に分かりやすいです。

見るべきポイントは、左股関節の位置の変化と、体の中心から大きくずれない手元と上体の関係です。

ガルシアはトップからクラブが大きく背後に落ちます。
一見すると、非常に特殊で、真似しにくいスイングに見えます。

しかし、インパクト付近だけを見ると、アドレス時のシャフトポジションに非常に近く戻っています。
前傾も崩れていません。
手元も浮いていません。

つまり、ガルシアは途中経過こそ独特ですが、インパクトでは非常にスインガー的な条件を満たしています。

一方、マキロイはどうでしょうか。

マキロイは、強烈な下半身の出力、右足の反力、背筋を使った体幹の回転力によってクラブを加速させます。
クラブが自然に振られているというより、身体能力でクラブを強く動かしている。

その結果、インパクトでは手元が低く見えます。
前傾も維持されているように見えます。
しかし、アドレス時のシャフトポジションと完全に一致しているわけではありません。

なぜなら、マキロイのインパクトは、アドレスの再現ではなく、強い出力のために作られた動的なインパクトだからです。

ヒッターは、筋力を使ってクラブを動かし、最終的にボールに当てます。
ですので、ボールに対して強く、正確に力を伝えられるなら、その方法は一つではありません。

多くのヒッターは、背筋を利用してクラブを加速させます。
前傾した状態で背中側の筋肉を強く使えば、当然、前傾角度は失われやすくなります。

つまり、マキロイの前傾角度がアドレス時と完全に一致しないのは、スイングが悪いからではありません。
強い出力を作るために、体を積極的に使っているからです。

では、なぜマキロイのスイングは流れるように見えるのでしょうか。

それは、いくら強い筋力を持つマキロイでも、クラブの慣性に逆らって急激に方向を変えれば、クラブに体が引き込まれてしまうからです。
そのため、急激な変化を少なくし、クラブの慣性を受け流しながら強い出力を加えている。

だから、マキロイのスイングは流れるように見えるのです。

しかし、それはスインガーだから流れているのではありません。
強いヒッターが、クラブの慣性に負けないために、滑らかに力を加えているのです。

ここに、一般的なスイング評価の落とし穴があります。

多くのスイング評価では、

手元が低い
前傾が維持されている
体の回転で打っている

という言葉が使われます。

しかし、これらの多くは、本来はスインガー型のスイングを評価するための言葉です。

ところが、マキロイは結果が圧倒的に良い。
飛距離が出る。
見た目も美しい。
だから、見る側は「素晴らしいスイング」と感じ、その印象に合う言葉を後から当てはめてしまいます。

つまり、マキロイがスインガーだから「手元が低い」「前傾が維持されている」と評価されているのではありません。

マキロイの結果が素晴らしいから、スインガー用の称賛語がマキロイに割り当てられている。

ここを分けて考える必要があります。

ヒッターの評価基準は、本来は違います。

ヒッターは、流れるように振れているかではなく、
強く、正確に叩けているか。
ここが評価の中心になります。

そのために、

背筋と右足の反力を使えているか
体幹と筋力でクラブを支配できているか
フェースを逃がさず、ボールに圧をかけられているか
強い出力を方向性に変換できているか

を見る必要があります。

この基準で見ると、マキロイは非常に優れたヒッターです。

一方、ガルシアは、一般的には「独特なスイング」と見られがちです。
しかし、インパクト構造だけを見ると、アドレスに戻る能力、前傾の維持、低い手元という点で、非常に優れています。

つまり、こう整理できます。

マキロイは、ヒッターとして非常に優れている。
ガルシアは、インパクト構造として非常に優れている。

問題は、評価する側がこの二つを分けていないことです。

スインガーの評価語でヒッターを褒める。
ヒッターの強さを、スインガー的な美しさとして説明する。
そして、ガルシアのように本質的に優れたインパクト構造を持つ選手を、途中経過が独特だからという理由で低く見てしまう。

ここに、一般的なスイング評価のズレがあります。

マキロイのスイングは素晴らしい。
しかし、それはスインガーとして素晴らしいのではなく、ヒッターとして極めて高い完成度を持っているという意味で素晴らしいのです。

そしてガルシアのスイングもまた、一般的な美しさとは違う意味で、極めて優れています。

スイングを見るときに大切なのは、
美しく見えるかどうかではなく、その動きが何によってクラブを動かしているのかを見ることです。

マキロイとガルシアの違いは、そこにあります。

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