有効重量で考えるスインガースイング・第8話/完結編
前回は、年齢を重ねたゴルファーに残っている武器について考えました。
年齢とともに、筋肉の収縮スピードは落ちやすくなります。
若い頃のように、腕を速く振ることは難しくなる。
その結果、ヘッドスピードは落ちやすくなります。
しかし、そこで私はよくこう言います。
安心してください。
体重は減っていないでしょう。
むしろ若い頃より増えている方も多いですよね。
これは冗談のようで、かなり真面目な話です。
年齢とともに失いやすいのは、速く動かす能力です。
しかし、身体の重さそのものまで失ったわけではありません。
だからこそ、その重さをどう使うかが大切になります。
ただし、ここで大きな誤解が生まれます。

体重移動と有効重量を同じものだと思ってしまうこと
です。
身体の重さを使う。
重く当てる。
有効重量をボールへ届ける。
こういう話をすると、多くの人は、
では、もっと体重を左に乗せればいいのか。
インパクトで体重をぶつければいいのか。
身体をボール方向へ押し込めばいいのか。
と考えがちです。
しかし、それは違います。
体重移動と有効重量は同じではありません。
体重が左に移動したからといって、その体重がクラブを通じてボールに届いているとは限りません。
むしろ、体重移動を大きくしようとして身体が流れれば、クラブとの接続は切れやすくなります。
身体は動いている。
体重も移っている。
しかし、ボールには重く当たっていない。
こういうことが起きます。
たとえば、インパクトで体重を乗せようとして、身体が前に突っ込むケースがあります。
本人は、
体重を使っている。
強く押し込めている。
ボールに力をぶつけている。
と思っているかもしれません。
しかし実際には、身体が前に流れたことで、最下点がずれる。
入射角が変わる。
ロフトが増える。
フェースが開く。
打点がズレる。
その結果、ボールは強くならない。
体重は動いているのに、有効重量としてボールに届いていないのです。
ここで大切なのは、
有効重量とは、動いた体重の量ではない
ということです。
有効重量とは、インパクトの瞬間に、クラブを通じてボールとの衝突に参加している重さです。
そのためには、身体とクラブがつながっていなければなりません。
身体だけが動いても、クラブが遅れる。
手元だけが動いても、ヘッドが暴れる。
上体だけが突っ込んでも、フェースが開く。
腰だけが回っても、腕が取り残される。
これでは、体重移動はあっても、有効重量にはなりません。
有効重量は、身体の移動量ではなく、身体とクラブの接続から生まれます。
これは、油圧機械を考えると分かりやすいと思います。
油圧機械は、目に見えて大きく動いていないときでも、内部には圧力がかかっています。
止まっているように見えるアームでも、シリンダーには圧力があります。
大きく動いていないプレスでも、対象物には強い力がかかっています。
つまり、
動いている量と、かかっている力は同じではない
ということです。
ゴルフスイングも同じです。
身体が大きく移動したからといって、その重さがボールに届いているとは限りません。
反対に、見た目の移動量がそれほど大きくなくても、身体とクラブが一体化し、圧力が逃げない状態でインパクトに入れば、ボールには重く当たります。
もちろん、これはインパクトで手で押し込むという意味ではありません。
インパクトで急に圧力を作るのではなく、身体とクラブがつながった状態で、圧力が逃げずにインパクトへ入るということです。
そして、この話はインパクトだけの話ではありません。
インパクトで有効重量を届けるためには、その前の切り返しで、すでに身体とクラブの接続が保たれている必要があります。
切り返しで大切なのは、強く動き出すことではありません。
そこで発生した力を、途中で逃がさないこと
です。
油圧機械も、ただ圧力が発生すれば仕事をするわけではありません。
その圧力が逃げずに、シリンダーを通じて決められた方向へ伝わるから、大きな力として働きます。
ゴルフスイングも同じです。
切り返しで生まれた力が、手先に逃げたり、身体の突っ込みに逃げたり、フェースの暴れに逃げたりすれば、インパクトでは軽くなります。
スインガーにとって切り返しとは、力を入れる瞬間というより、
発生した力を逃がさず、クラブを通じてボールへ届けるための方向づけの瞬間
なのだと思います。
ここで、今回のシリーズ全体を振り返ります。
第1話では、
ヘッドスピードは入力、ボールスピードは出力。
けれど入力はそれだけではない。
という話をしました。
ヘッドスピードは大切です。
しかし、ボールスピードという出力は、ヘッドスピードだけで決まるものではありません。
打点。
ロフト。
フェース向き。
入射角。
クラブの姿勢。
力の方向。
そして、有効重量。
これらが衝突の瞬間に統合され、ボールスピードという出力になります。
第2話では、時速5キロの電車と三輪車の話をしました。
同じ時速5キロでも、ぶつかったときの衝撃はまったく違う。
速度が同じでも、衝突に参加している重さが違うからです。
第3話では、軽く振った方が飛ぶ理由を考えました。
軽く振ったから飛んだのではなく、軽く振ったことで身体とクラブの接続が切れず、有効重量が逃げなかった可能性がある。
第4話では、有効重量を数字で考えました。
腕だけで動いている場合の有効重量を1〜2kg前後。
身体とクラブが一体化している場合を5〜12kg前後と仮定すると、同じ速度でもエネルギーは大きく変わります。
第5話では、ヘッドスピードを上げたつもりが、なぜ軽く当たってしまうのかを考えました。
手でヘッドを走らせる。
フェースを返す。
インパクトで押し込む。
これらは一見、飛ばす努力に見えます。
しかし、身体とクラブの接続が切れれば、有効重量は小さくなります。
第6話では、ベクトル分散を考えました。
力は大きければよいわけではありません。
その力が、どの方向へ通るかが重要です。
上に逃げる。
横に逃げる。
ロフトに逃げる。
スピンに変わる。
フェースの暴れに変わる。
これでは、力を出していてもボールスピードにはなりません。
第7話では、加齢ゴルファーに残っている武器を考えました。
加齢で失いやすいのはスピードです。
しかし、重さまで失ったわけではありません。
そして今回、第8話では、体重移動と有効重量は違うという話をしています。
ここまでをまとめると、スインガーとは何かが見えてきます。
スインガーは、単に軽く振る人ではありません。
弱く振る人でもありません。
ゆっくり振る人でもありません。
スインガーとは、
身体とクラブを一体化させ、
有効重量を逃がさず、
発生した力を途中で散らさず、
クラブを通じてボールへ届ける人
です。
そして、その力はただ大きければよいわけではありません。
強くても、上に逃げれば吹け上がります。
横に逃げれば曲がります。
ロフトに逃げればスピンに変わります。
手先に逃げればフェースが暴れます。
大切なのは、
力の大きさ
有効重量
そして方向
です。
速さ。
重さ。
方向。
この三つがそろって、初めてボールスピードになります。
ここで、The Star System of G.O.L.F. の言葉に戻ります。
Geometrically Oriented Linear Force
幾何学的に指向された直線力
この言葉は、とても重要だと思います。
力は、ただ強ければよいわけではありません。
速ければよいわけでもありません。
重ければよいだけでもありません。
その力が、幾何学的に正しい方向へ通る必要があります。
体重を移動させることが目的ではない。
ヘッドを速く動かすことが目的でもない。
インパクトで手で押し込むことが目的でもない。
身体とクラブがつながり、切り返しで生まれた力を逃がさず、ライン・オブ・コンプレッションへ通す。
そこに、スインガーというメカニズムの本質があるのだと思います。
今回の結論は、こうです。
体重が移動したからといって、その体重がボールに届いているとは限りません。
重さを使うことと、体重をぶつけることは違います。
体重移動と、有効重量は違います。
スインガーは、身体を大きく流して重さをぶつける人ではありません。
身体とクラブを一体化させ、切り返しで発生した力を逃がさず、ライン・オブ・コンプレッションへ通す人です。
だから、見た目には大きく動いていないように見えても、ボールは強くなることがあります。
大切なのは、体重がどこへ移動したかではありません。
その重さと力が、クラブを通じてボールへ届いたかどうか
です。
最後に、もう一度だけ整理します。
ヘッドスピードは大切です。
しかし、ヘッドスピードだけでは飛距離は語れません。
体重も大切です。
しかし、体重移動だけでは有効重量にはなりません。
力も大切です。
しかし、力が散ればボールスピードにはなりません。
スインガーの飛距離は、力任せではありません。
単なる速さでもありません。
身体とクラブが一体化し、重さが逃げず、力の方向がそろう。
その結果として、クラブが走らされ、ボールスピードが生まれる。
これが、私が考えるスインガースイングです。
速く振るのではなく、速さに重さを乗せる。
重さをぶつけるのではなく、重さを逃がさず届ける。
力を出すのではなく、力を正しい方向へ通す。
この考え方が、年齢を重ねても、身体に無理をかけすぎず、それでいてボールを強くするための大きなヒントになると思っています。
そして、その最後にあるのが、
Geometrically Oriented Linear Force
幾何学的に指向された直線力
です。
スインガーとは、力を使わない人ではありません。
力を逃がさず、散らさず、幾何学的に正しい方向へ通せる人なのです。
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