フィッティングをより深く考える①

フィッティングは、上手くなってから受けるものではありません

PING Proving Grounds Episode 3「Fitting Matters」より

PING Proving Grounds Podcast の Episode 3 は、
「Fitting Matters」、つまり
フィッティングは重要である
というテーマで語られています。

今回の会話の中で、まず印象に残るのは、
フィッティングを特別な上級者だけのものとして扱っていない点です。

Podcastの中では、次のような趣旨の会話が出てきます。

フィッティングというと、ツアープロや上級者が受けるものだと思っている人も多い。
しかし、PINGにとってフィッティングは、すべてのゴルファーに関係するもの。
初心者であっても、クラブの長さ、ライ角、重さ、グリップサイズなどが合っていなければ、知らないうちにクラブに合わせた動きをしてしまう。

これを聞いて、私はかなり納得しました。

日本でも、
「もっと上手くなってからフィッティングを受けます」
という言葉はよく聞きます。

たしかに、その気持ちは分かります。

スイングが安定していない。
毎回同じ球が出るわけではない。
ミート率もまだ安定していない。

そうなると、
「今フィッティングしても、意味がないのではないか」
と思ってしまうわけです。

 

しかし、PINGの考え方は少し違います。

フィッティングは、
上手くなった人が受けるご褒美ではありません。

むしろ、
上手くなるために、まず道具の前提条件を整える作業
だと考えた方が良いと思います。


クラブが合っていないと、ゴルファーは無意識に補正する

Podcastの会話では、
クラブが合っていない場合、ゴルファーが無意識にクラブへ合わせてしまう、
という考え方が出てきます。

これは、店頭でお客様を見ていても非常によく分かります。

クラブが長すぎれば、知らないうちに体を起こします。
ライ角が合っていなければ、手元の通し方を変えます。
重すぎれば、振り切れない分だけタイミングを変えます。
軽すぎれば、手で合わせにいきます。
グリップが合っていなければ、握り方そのものが変わります。

ゴルファーは、思っている以上に器用です。

合っていないクラブでも、何とかしてボールに当てようとします。
そして、その「何とかして当てる動き」が、いつの間にかスイングのクセになることがあります。

ここが、フィッティングを考えるうえで非常に大切なところです。

スイングが悪いからミスが出ている。
そう見えていたものが、実はクラブに合わせるための補正動作だった。

そういうことは、実際にあります。

もちろん、すべてをクラブのせいにするわけではありません。
スイングの問題は、スイングの問題として存在します。

ただし、クラブの前提条件が大きくズレている状態で、
スイングだけを直そうとすると、話が複雑になります。

なぜなら、そのゴルファーは、
合っていないクラブに合わせて動いている可能性があるからです。


長さ・ライ角・重さは、単なるスペックではない

Podcastでは、PINGが昔からフィッティングを大切にしてきた理由が語られています。

ゴルファーは一人ひとり違います。

体格も違う。
腕の長さも違う。
構え方も違う。
スイングの傾向も違う。
ミスの出方も違う。

それなのに、全員が同じ長さ、同じライ角、同じ重さのクラブを使って、
同じように良い結果になるとは考えにくいわけです。

ここで、私はPINGのカラーコードチャートの考え方を思い出します。

カラーコードは、身長や手首から床までの長さをもとに、
まずライ角の出発点を作るものです。

もちろん、カラーコードが絶対の答えという意味ではありません。

しかし、少なくとも、
その人にとって自然に構えやすいクラブの入口を作る
という意味があります。

ライ角が大きくズレていれば、
インパクトでフェースの向きや打点に影響します。

長さが合っていなければ、
前傾角度や手元の位置に影響します。

重さが合っていなければ、
切り返しやリズムに影響します。

つまり、クラブのスペックは、単なる数字ではありません。
その人のスイングに直接影響する条件です。


「もっと上手くなってから」では遅い場合もある

Podcastの会話を聞いていて、
私が特に日本のゴルファーに伝えたいと思ったのはここです。

「もっと上手くなったらフィッティングを受けます」

この言葉は、一見すると謙虚です。
しかし、少し危うさもあります。

なぜなら、合っていないクラブで練習を続けると、
そのクラブに合わせた動きを覚えてしまう可能性があるからです。

ライ角が合っていないクラブを使い続ける。
長さが合っていないクラブを使い続ける。
重さが合っていないクラブを使い続ける。

その状態で練習を重ねると、
本来覚えたい動きではなく、
クラブに合わせる動きを練習してしまう場合があります。

ですから、初心者や発展途上のゴルファーほど、
最低限の前提条件を整えることは大切です。

これは、最初から細かいスペックを完璧に決めましょう、
という意味ではありません。

まずは、今のクラブが極端に合っていない状態ではないか。
そこを確認するだけでも意味があります。


中古クラブを選ぶ場合でも、前提条件は大切です

予算的な都合で中古クラブを選ぶ場合でも、
最低限、考慮すべきポイントがあります。

ライ角。
シャフトの長さ。
シャフトの重さや硬さ。
そして、ヘッドタイプ。

中古クラブは価格面では魅力があります。
しかし、選び方を間違えると、
ゴルファーがクラブに合わせる動きが増えてしまうことがあります。


フィッティングは、スイングを否定するものではない

もう一つ、Podcastの会話を受けて大切だと思うのは、
フィッティングはスイングを否定するものではない、ということです。

フィッティングというと、
「クラブでスイングを直す」
という印象を持たれることがあります。

しかし、私の考えでは少し違います。

フィッティングは、スイングの問題をすべてクラブで解決するものではありません。

そうではなく、
その人が持っている動きを、クラブが邪魔していないかを見る作業
です。

良い動きが出ようとしているのに、
クラブの長さ、ライ角、重さ、グリップサイズが合っていないことで、
その動きが出にくくなっている。

そういう場合、クラブを整えることで、
スイングが自然に出やすくなることがあります。

逆に、クラブが合っているからこそ、
本当にスイング側で直すべき問題も見えやすくなります。

ここがフィッティングの面白いところです。

クラブが合っていない状態では、
ミスの原因がクラブなのか、スイングなのか、分かりにくくなります。

だからこそ、まず道具の前提条件を整える。
そのうえで、スイングを見る。

この順番が大切だと思います。


店長目線で見る、PINGのフィッティング思想

Podcastの会話を聞いていると、
PINGはクラブを単体の商品として見ていないことが分かります。

良いヘッド。
良いシャフト。
良いグリップ。

それぞれが良いものであっても、
それがそのゴルファーに合っていなければ、
本当の性能は出ません。

逆に、カタログ上のスペックだけ見れば普通に見えるクラブでも、
その人に合っていれば、コースでは非常に強い武器になります。

つまりフィッティングとは、
クラブの性能を説明する作業ではなく、
ゴルファーとクラブの関係を整える作業
だと思います。

ここを間違えると、フィッティングは単なる試打会になってしまいます。

「どれが一番飛びましたか」
「どれが一番曲がりませんでしたか」
「どのシャフトが一番振りやすかったですか」

もちろん、それも大切です。

しかし、本来はその奥に、
「なぜその結果になったのか」
を読む作業があります。


フィッティングは、買い替えを前提にしたものではない

ここは、店長として強く言っておきたいところです。

フィッティングを受けるということは、
必ずクラブを買い替えるという意味ではありません。

まずは、今のクラブが自分に合っているのかを確認する。
今のクラブで問題がないなら、それはそれで良いことです。

一方で、もしクラブが明らかに合っていないなら、
それを知ることにも大きな意味があります。

なぜなら、原因が分からないまま練習を続けるよりも、
何が起きているのかを知ったうえで練習する方が、
はるかに効率が良いからです。

クラブを替えるかどうかは、その後でいいと思います。

まず大切なのは、
今のクラブが、今の自分のスイングを助けているのか。

それとも、
知らないうちに補正動作を増やしているのか。

そこを確認することです。


まとめ

PING Proving Grounds Podcast Episode 3「Fitting Matters」では、
フィッティングが特別な上級者だけのものではなく、
すべてのゴルファーに関係するものとして語られています。

私は、この考え方はとても大切だと思います。

フィッティングは、
上手くなった人が受けるものではありません。

上手くなるために、
まず道具の前提条件を整えるものです。

クラブが合っていないと、
ゴルファーは知らないうちにクラブに合わせて動きます。

その補正動作が、スイングのクセになってしまうこともあります。

だからこそ、
長さ、ライ角、重さ、ロフト、グリップサイズといった基本を整えることには意味があります。

そして、それはクラブを売るためだけの話ではありません。

今のクラブが合っているなら、それを確認できるだけでも価値があります。
合っていないなら、何が問題なのかを知ることに価値があります。

フィッティングとは、
クラブを買い替えるためだけの作業ではなく、
ゴルファーとクラブの関係を読み解く作業です。


次回予告

次回は、Episode 3 の中でも特に重要な、
フィッティングで見るべき数値
について考えます。

Podcastの会話では、
現代の弾道計測器でさまざまな数値が見られる一方で、
「測れる数値」と「本当に見るべき数値」は違う、
という非常に大切な話が出てきます。

ヘッドスピード。
ボールスピード。
打ち出し角。
スピン量。
スマッシュファクター。
キャリー。
トータル距離。

測れる数値が増えたからといって、
すべての数値を同じ重さで見るべきなのでしょうか。

次回は、PINGが重視する数値、
そして、なぜ「一番飛んだ1球」だけで決めてはいけないのかを掘り下げていきます。

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