チキンウィングを科学する

毎年クリスマス前になりますと、
チキン、チキン、チキン……という言葉が、耳にも目にも入ってきます。
そしてゴルフスイングでも、チキンが加わり四重奏となります。

肘が折れ曲がった状態を指すのであれば、
この時期なら「ターキーウイング」や「イーグルウイング」でも良さそうなものですが、
あえて“弱虫”を意味する Chicken Wing が採用されたところに、本質があります。

なぜ左腕は曲がるのか

― チキンウイングは「結果」である ―

チキンウィングに悩むゴルファーは、
一生懸命「左腕を伸ばそう」とします。

しかし、はっきり言っておきます。
左腕を伸ばそうとして、チキンウィングが治った例はほぼありません。

なぜなら、
チキンウィングは原因ではなく「結果」だからです。

チキンウィングを生む3つの直接原因
① フェースが開いたままインパクトを迎えている(最多)

フェースが開く

そのまま当たれば右へ飛ぶ

無意識に左肘を引き、腕でフェースを返す

チキンウィングが発生

これはミスではなく、恐怖に対する防御反応です。

② 体の回転が止まり、腕だけで当てにいっている

下半身・体幹の回転が止まる

行き場を失ったクラブを左腕が逃がす

左肘が外に折れる

止まった体の“帳尻合わせ”を、肘が引き受けているだけです。

③ インパクトゾーンでハンドファーストを作れない

ロフトが寝る

フェース管理が遅れる

インパクト直前に「間に合わせの動き」が入る

このとき、
最も自由度の高い関節=左肘が逃げ場になります。

もう一段踏み込んで言えば、

フラットレフトリストを解消し、
フェースを閉じようとすると
左腕が伸びたままでは構造的に不可能

だから、肘が曲がるのです。

原因の“さらに前”にあるもの

フェースが開いたままインパクトを迎える原因は、主に2つです。

● 左腕の回内運動

回内した腕を回外で戻そうとすると、

タイミング依存

アーリーリリース誘発

新たな問題が発生

「回すことで解決しようとする」のは、別の地獄への入口です。

● 体の回転が止まる理由

飛ばそうとする人ほど、

重量の軽い部位(クラブ・腕)を動かそうとする

体を止める

クラブだけを加速させようとする

結果、

左手首が折れる
→ 肘が曲がる
→ 肘が先行し、引っ張る形になる

飛ばそうとして、最も飛ばなくなる魔空間に入ります。

チキンウィングを根本から解消する3つのポイント
① 左手首の「回内」を抑える(最重要)

左手の回内=フェース開きの根源

回内を抑える
→ フェースがスクエア
→ 逃げ動作が不要

ドリル

右手のひらをフェースに見立てる

インパクトゾーンで
右手のひらが目標を向いたまま、低く長く出る

この状態では、
左肘を使う必要が物理的に消えます。

インストラクターがよく言う「フィニッシュを取れ」は要注意です。
正しいインパクトができていない状態でこれを行うと、

左手首が折れる

右手のひらが左を向く

いわゆる“腹切りショット”

チキンウィング量産

正しいフィニッシュは結果であって、原因ではありません。

② インパクト以降も体を回し続ける

チキンウィングは
体が止まった結果です。

チェックはフィニッシュで行います。

右肩が前

左肘は自然に伸びている

手元が低く長く出ている

体とグリップが同角速度で運動していれば、
チキンウィングは構造的に起こりません。

③ フルスイングをやめる(段階的解消)

いきなりフルスイングでは治りません。

腰〜胸の振り幅

フェース管理を最優先

球筋が安定してから振り幅拡大

6番アイアンで100ヤード以上を1か月打たない
というドリルがありますが、効果は絶大です。

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