■ ゴルフクラブはなぜ“何本も”あるのか?
ゴルフは クラブで距離を打ち分ける競技 です。
だからバッグに14本ものクラブが入っているわけですが、
—そもそも皆さんは「今どれぐらいの距離を打てばいいのか」を把握して打っているでしょうか?
実は、この“距離の把握”こそがショット精度の根本です。
■ まず必要なのは「正しい距離」
目標までの距離を知る手段は一般的に次の4つです。
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コース内の ヤード表示
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ヤーデージブック
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レーザー距離計
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GPS(腕時計・アプリ・カートナビ)
ここで重要なのは、
これらが示すのは「直線距離」なのか?
それとも「水平距離」なのか?
という点です。
■ 実はこんなに違います
✔ 距離表示の種類と意味
| 手段 | 表示距離 | 補足 |
|---|---|---|
| ヤード表示(杭・スプリンクラー) | 水平距離 | コース設計基準。競技の基本。 |
| ヤーデージブック | 水平距離 | プロ・キャディが基準とする距離。 |
| レーザー距離計 | 直線距離 | スロープONで“水平換算”表示も可能(競技は不可)。 |
| GPSウォッチ/アプリ | 水平距離(理論値) | 精度は機種に依存、環境誤差あり。 |
■ GPSの誤差は“小さくない”
GPSといえば便利で手軽ですが、実際の誤差は次の通りです。
| GPS機器 | 実誤差 | 備考 |
|---|---|---|
| 腕時計・ハンディGPS | ±3〜8y | スマホGPSと同程度 |
| カートナビ | ±2〜5y | ゴルフ場アンテナでやや精度UP |
| スマホアプリ | ±5〜12y | 建物・樹木・雲の影響を最も受ける |
| RTK/GNSS(測量用) | ±0.1〜1m | 一般ゴルファーは使えない |
→ ±8ヤードの誤差 は、“半クラブ”に相当します。
競技でGPSを鵜呑みにするのは危険です。
■ ではレーザー距離計が正解か?
レーザーは“直線距離”を正確に測ります。
しかし、実際に必要なのは 水平距離(=クラブ選択の基準)です。
例えば、
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直線距離 100y
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高低差 +10y(打ち上げ)
のとき、
水平距離は 99.5y(※cosθ)程度。
つまり 直線距離と水平距離の差はわずか 0.5y。
この程度なら、レーザー距離計の直線距離を知っておけば、
ほぼ正しいクラブ選択が可能です。
■ 問題は「打ち上げ・打ち下ろし」でどう距離が変わるか
実は本当に重要なのは、
高低差の“影響量”をどう判断するか?
・打ち上げでキャリーは“どれだけ”落ちるのか?
・打ち下ろしでキャリーは“どれだけ”伸びるのか?
・ランはどう変化するのか?
レーザー距離計が教えてくれるのは距離だけで、
ショットの物理(弾道変化)までは教えてくれません。
この“距離変化”が分かると、
GPSでもレーザーでも 自分でクラブ選択の補正ができる ようになります。
■ 結論(今回のまとめ)
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ゴルフクラブが多いのは「距離を打ち分ける競技」だから
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しかし 距離を正確に知り、正しく補正できる人は意外と少ない
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ヤード杭・ヤーデージブック・GPSはすべて 水平距離
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レーザー距離計は 直線距離(+スロープ換算)
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高低差が小さい場合は、直線距離から水平距離をほぼ推測できる
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本丸は「高低差が弾道にどう影響するか」を理解しているかどうか
つまり、クラブが何本あっても、
必要な距離を正確に知らなければ意味がない
ということです。
■ 次回予告
次回は、いよいよ本題の
