フィッティングをより深く考える②

フィッティングで見るべき数値は、ヘッドスピードだけではありません

PING Proving Grounds Episode 3「Fitting Matters」より

PING Proving Grounds Podcast Episode 3「Fitting Matters」では、
フィッティングで見るべき数値についての話も出てきます。

現代の弾道計測器は、非常に多くの数値を出してくれます。

ヘッドスピード。
ボールスピード。
打ち出し角。
スピン量。
スマッシュファクター。
キャリー。
トータル距離。
左右のブレ。
落下角。

試打をすると、これらの数値が一気に表示されます。

数字がたくさん出ると、
それだけで何かが分かったような気になります。

しかし、Podcastの会話を聞いていて大切だと思ったのは、
測れる数値が増えたからといって、すべての数値を同じ重さで見てよいわけではない
ということです。 “フィッティングをより深く考える②” の続きを読む

ヘッドスピードは入力、ボールスピードは出力。けれど入力はそれだけではない

有効重量で考えるスインガースイング・第1話

多くのゴルファーは、飛距離を伸ばすために、まずヘッドスピードを上げようとします。

もちろん、ヘッドスピードは大切です。
ヘッドスピードがなければ、ボール初速も出にくい。
これは間違いありません。

しかし、私の目から見ると、ここに大きな落とし穴があります。

それは、ヘッドスピードを上げることが目的になりすぎて、実際にボールへ届くエネルギーを見失っていることです。

ゴルフは、クラブを速く動かす競技ではありません。
最終的には、クラブとボールの衝突です。

つまり、本当に見るべきなのは、

「クラブがどれだけ速く動いたか」

だけではなく、

「その速さが、どれだけボールに伝わったか」

です。

ここが、今回のシリーズの入口になります。


PINGのマーティやジェイソンが、クラブフィッティングの話の中で、

「ヘッドスピードではなく、ボールスピードを使ってください」

という趣旨の話をしています。

私はこの言葉を聞いたとき、やはりPINGはきちんと物理としてクラブフィッティングを理解しているのだと感じました。

ヘッドスピードは、あくまでもクラブ側の数値です。
言い換えれば、入力のひとつです。

一方、ボールスピードは、クラブとボールが衝突した結果です。
つまり、出力です。

どれだけ速くクラブを動かしたかではなく、
その動きがどれだけボールに伝わったか。

ここを見ているから、ボールスピードを重視するわけです。


ただし、ここで大事なのは、

ヘッドスピードは入力だが、入力はヘッドスピードだけではない

ということです。

同じヘッドスピードでも、打点が違えばボールスピードは変わります。
ロフトが違えば、打ち出し角やスピン量が変わります。
フェース向きが違えば、ボールの飛び出す方向も変わります。
入射角が違えば、エネルギーの伝わり方も変わります。

そして、今回のシリーズで特に大切にしたいのが、

有効重量

です。

ボールスピードという出力は、ヘッドスピードだけで決まるものではありません。

ヘッドスピード。
打点。
フェース向き。
ロフト。
入射角。
スピン量。
クラブの姿勢。
シャフトの挙動。
ヘッドの安定性。
そして、有効重量。

これらが衝突の瞬間に統合された結果として、ボールスピードが生まれます。

だから、ヘッドスピードだけを追いかけても、必ずしも飛距離につながるとは限らないのです。


有効重量とは、簡単に言えば、インパクトでボールに参加している重さです。

腕だけでクラブを振っている場合、ボールにぶつかっているのは、腕とクラブの軽い衝突に近くなります。

一方、身体とクラブが一体化して動いている場合、ボールには身体の重さを伴った衝突が起こります。

もちろん、本当に体重すべてがボールにぶつかっているわけではありません。
しかし、身体とクラブの接続が保たれていれば、ボールに伝わる衝突は重くなります。

ここを見落とすと、ヘッドスピードだけを追いかけることになります。

そして多くの場合、ヘッドスピードを上げようとして、逆に有効重量を減らしてしまうのです。


腕を速く振る。
手でヘッドを走らせる。
インパクトで強く押し込もうとする。
フェースを返して飛ばそうとする。

こうした動きは、一見するとヘッドスピードを上げる努力に見えます。

しかし、それによって身体とクラブの接続が切れれば、ボールに届く有効重量は小さくなります。

つまり、

ヘッドスピードは上がった。
しかし、有効重量は下がった。

この状態では、ボールに届くエネルギーは思ったほど増えません。

さらに悪いことに、クラブが身体から切り離されることで、力の向きも散ります。

これを私は、ベクトル分散と考えています。

 


速く振っているのに飛ばない。
力を入れているのに球が弱い。
ヘッドスピードは出ているのに、ボールスピードが伸びない。
スピンが増える。
曲がる。
打点が散る。

こういう現象は、単なるミスではありません。

ヘッドスピードを上げるために、有効重量を失い、さらに力の向きが分散している可能性があります。

つまり、クラブは速く動いている。
しかし、ボールを飛ばす方向へ、重さと力が集まっていない。

これでは、飛距離につながりにくいのです。


ここで大切なのは、ヘッドスピードを否定しているわけではないということです。

ヘッドスピードは必要です。
速さは大切です。

ただし、問題はその速さに何が乗っているかです。

軽いものを速く動かしているのか。
重いものが、正しい方向へ動いているのか。

この違いです。

スインガーのスイングを考えるとき、ここは非常に重要になります。

スインガーは、単にクラブを速く動かす人ではありません。
身体とクラブを一体化させ、有効重量を逃がさず、ボールへ届ける人です。

そして、その結果としてボールスピードが出る。

だから、スインガーを考えるうえでは、ヘッドスピードだけを見ていてはいけません。

見るべきなのは、ボールスピードです。
さらに言えば、そのボールスピードが、どのような入力から生まれているのかです。


ヘッドスピードは入力です。
しかし、入力はヘッドスピードだけではありません。

ボールスピードは、複数の入力が衝突の瞬間に統合された出力です。

ここを理解すると、飛距離の見方は大きく変わります。

飛ばすために、もっと速く振るのか。
それとも、今あるスピードに、より大きな有効重量を乗せるのか。

スインガーの考え方は、後者です。

速さを否定するのではありません。
速さに、重さと方向を加えるのです。


次回は、この有効重量をもっと分かりやすく考えるために、私が生徒さんによくする質問を使って説明します。

時速5キロの電車と、時速5キロの三輪車。
どちらかに必ずぶつからなければならないとしたら、どちらを選びますか?

速度は同じです。
しかし、衝撃はまったく違います。

この話から、ヘッドスピードだけでは飛距離を説明できない理由を、もう少し掘り下げてみたいと思います。

フィッティングをより深く考える①

フィッティングは、上手くなってから受けるものではありません

PING Proving Grounds Episode 3「Fitting Matters」より

PING Proving Grounds Podcast の Episode 3 は、
「Fitting Matters」、つまり
フィッティングは重要である
というテーマで語られています。

今回の会話の中で、まず印象に残るのは、
フィッティングを特別な上級者だけのものとして扱っていない点です。

Podcastの中では、次のような趣旨の会話が出てきます。

フィッティングというと、ツアープロや上級者が受けるものだと思っている人も多い。
しかし、PINGにとってフィッティングは、すべてのゴルファーに関係するもの。
初心者であっても、クラブの長さ、ライ角、重さ、グリップサイズなどが合っていなければ、知らないうちにクラブに合わせた動きをしてしまう。

これを聞いて、私はかなり納得しました。

日本でも、
「もっと上手くなってからフィッティングを受けます」
という言葉はよく聞きます。

たしかに、その気持ちは分かります。

スイングが安定していない。
毎回同じ球が出るわけではない。
ミート率もまだ安定していない。

そうなると、
「今フィッティングしても、意味がないのではないか」
と思ってしまうわけです。

 

しかし、PINGの考え方は少し違います。 “フィッティングをより深く考える①” の続きを読む

短く組むだけではなく、ロフト調整まで含めて機能を作る 第6話

ここまで何度か書いてきましたが、
PINGのツアー現場を見ていると、ショートウッドは単なるフェアウェイウッドではなく、HBのような役割を持たせて組まれているように見えます。

ケントン・オーツ氏が関わったホアキン・ニーマンの7Wの話は、その象徴だと思います。
必要だったのは、ただ前へ行くクラブではなく、長い距離をグリーンで止められるクラブでした。
そのために、ショートウッドをそのまま使うのではなく、長さまで含めて調整していたわけです。

この考え方は、店長としても非常によく分かります。

実際、私も7Wだけではなく、9Wも試しています。
試してみると分かるのは、7Wと9Wは同じ「ショートウッド」でも、役割が微妙に違うということです。

7Wは、ある程度距離を残しながら、ハイブリッドよりも高さと止まりやすさを出しやすい。
一方で9Wになると、さらにボールが上がりやすくなり、よりHB寄りの距離帯に入ってきます。
つまり9Wは、フェアウェイウッドというより、感覚としてはかなり
“止めやすいHB”
に近づいてくるのです。

ここが面白いところです。

ツアーの話をそのまま真似するだけなら、
「7Wが流行っている」
で終わってしまいます。

けれど実際には、7Wも9Wも、ただ入れればいいわけではありません。
そのクラブに何をさせたいのか。
そこが決まって初めて意味が出てきます。

私の場合、ラフでの対応やコントロール性を考えると、ケントン・オーツ氏がやっているような短く組む方向は非常に理にかなっていると感じています。
ショートウッドは標準のままだと、球は上がりやすい反面、場面によっては少し長さを感じることがあります。
そこで少し長さを詰めると、単に振りやすいというだけでなく、トップ側の番手としての仕事がかなり明確になるのです。

ただ、店長が実際に使ってみて、さらに機能したと感じたのはそこから先でした。
それが、ロフト調整を「-」または「Big-」側にすることです。

一般的には、「-」にするとロフトが立つので、
球が上がりにくくなるのではないか、
難しくなるのではないか、
と思われるかもしれません。

しかし、実際に使ってみると、私にとって大きかったのはロフトそのもの以上に、
フェースが少しオープンに見えることでした。

これによって何が起きたか。

私の場合、ショートウッド特有の「つかまりすぎそうな感じ」や「少し被って見える感じ」が薄れ、
ライン・オブ・コンプレッションが保ちやすくなったのです。

ここは、私にとってかなり重要なポイントでした。

クラブがやさしいことと、
クラブをコントロールしやすいことは、
必ずしも同じではありません。

7Wや9Wは、もともと高さを出しやすく、スピンも入りやすいので、
球を上げて止めたい場面では非常に魅力があります。
ただ、その一方で、構えたときの見え方やつかまりの出方が自分の感覚と合わないと、
インパクトで押し込むラインが崩れてしまうことがあります。

私の場合は、
「-」「Big-」にすることで、ロフトが立った」
というよりも、
「少しオープンに見えることで、フェース管理がしやすくなった」
ことのほうが大きかった。

その結果として、ライン・オブ・コンプレッションが保たれ、
ボールのコントロール性がむしろ上がりました。

7Wでもその傾向は感じますし、9Wではさらにその差が分かりやすく出ます。
9WはよりHB寄りの距離帯に入るぶん、
「ただ高く上がるクラブ」になってしまうと武器になりません。
しかし、長さやロフト調整を通して、
押し込める見え方
ラインを保てる入り方
が作れると、9Wは非常に面白い一本になります。

要するに、私が感じているHBFWの本質は、
単に7Wや9Wを入れることではありません。

  • 少し短く組む
  • 役割を明確にする
  • 必要ならロフトを「-」「Big-」にして見え方を整える
  • その上で、ライン・オブ・コンプレッションを保ちやすくする

そこまでやって初めて、
ただのショートウッドが、実戦で使えるHBFWになる
のだと思います。

ですから、7Wや9Wを検討するときも、
「やさしいから入れる」
だけでは少しもったいない。

本当に見るべきなのは、
そのクラブが自分のセットの中で

HBのような役割を果たすのか
それとも単なる高いFWで終わるのか

という点です。

PINGのツアー現場が見せてくれるのは、
クラブの種類で選ぶのではなく、役割で組むという発想です。
そして店長が7Wだけでなく9Wまで試して感じるのは、
その発想はアマチュアにも十分応用できる、ということです。

ショートウッドは、ただ上がるクラブではありません。
組み方次第で、
HBでは出しにくい高さと止まりやすさを持ちながら、HBのように使える一本
になる。

そのあたりに、7Wや9Wの本当の面白さがあるのだと思います。

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PINGのツアー現場では、ショートウッドを“HBのように”組んでいる 第5話

ここまで、ツアーでは7W、9Wへのシフトが進んでいること、そしてアマチュアでは逆にアイアン側からハイブリッドへ境界が下がってきていることを書いてきました。

その流れの中で、もうひとつ注目したいのが、
PINGのツアー現場では、ショートウッドを単なるフェアウェイウッドとしてではなく、HBのような役割で組んでいる
という点です。

その実例として分かりやすいのが、ケントン・オーツ氏が語っているホアキン・ニーマンの7Wです。
GOLF.comの記事では、ニーマンが2020年のメモリアルで、硬いグリーンに対して250〜255ヤードから止められるクラブを必要としていたこと、その相談に対してオーツ氏が勧めたのが7Wだったことが紹介されています。しかもニーマンは当初、7Wは「高く上がりすぎるのではないか」と考えていたのですが、オーツ氏はそこを調整したうえで提案し、結果としてそのクラブは今もバッグに残り続けています。

ここで大事なのは、
7Wが入った理由が、単に「やさしいから」ではないことです。

ニーマンのケースで必要だったのは、
長い距離を上げて、しかもグリーンで止めること
でした。
その役割に対して、オーツ氏はハイブリッドではなく7Wを選んだ。しかもその7Wは、40.5インチに短尺化されていました。標準より少し短くすることで、コントロールしやすくしながら、必要な高さとスピンを確保する。ここに、PINGのツアー的な発想がよく出ています。

さらに2026年マスターズ週のツアーレポートでも、オーツ氏は、4番アイアンと高ロフトのメタルウッドの差について、本当の違いは高さそのものよりもスピンにあると説明しています。4番アイアンでも近い高さは作れるが、グリーン上で反応を変えるのは、メタルウッド側が持つ“余分なスピン”だ、という趣旨です。これは非常に重要な指摘です。

つまりPINGのツアー現場では、ショートウッドを

  • ただ高く上がるクラブとしてではなく
  • アイアンやHBでは足りない止める性能を補うクラブとして
  • 必要に応じて長さまで調整しながら

組んでいるということです。

ここまで来ると、7Wはもはや単なるFWではありません。
見方を変えれば、HB的な役割を持たせたショートウッドです。

ハイブリッドのようにトップ側の距離階段の中へ入れながら、
ハイブリッドよりも高く、よりスピンを入れて、より止めやすくする。
そのために、ロフトだけでなく長さまで含めて整える。
これが、オーツ氏の話から見えてくるPINGツアーの組み方です。

これはアマチュアにもかなり参考になります。

7Wを入れるというと、どうしても
「球が上がりやすいから」
「やさしいから」
という理解で終わりがちです。

もちろんそれも間違いではありません。
ただ、ツアーの発想はそこでもう一段深い。

このクラブを、何の仕事をさせるために入れるのか。
そこから逆算しているのです。

たとえば、

  • 4Iではグリーンで止まりにくい
  • 4Hでは悪くないが、もう少し高さとスピンが欲しい
  • 5Wでは飛びすぎる

そういう場所に、HBのような役割で組んだショートウッドが入ってくる。
これが、PINGのツアー版が実際にやっていることなのだと思います。

ですから、FWかHBかという二択だけで考えるのではなく、

FWをHBのように使う
という考え方を持っておくと、トップ側のセッティングは一気に見えやすくなります。

ツアーで7Wや9Wが増えているのは、単なる流行ではありません。
その中身をよく見ると、そこには
止めるためのスピンを確保し、距離階段の中に収めるためにショートウッドを再設計する
という、非常に実戦的な意図があります。

そして、その発想は、アマチュアがクラブを選ぶときにも十分使えるはずです。
7Wを7Wとして見るのではなく、
自分のセットの中で、HB的な仕事をさせる一本として見る。

そう考えると、ショートウッドの意味はかなり変わって見えてきます。

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7W・HB・アイアンは、何で選ぶべきなのか 第4話

飛ばしたい気持ちと、止めたい現実のあいだで

ここまで、ツアーでは7Wや9Wへのシフトが進んでいること、そしてアマチュアではアイアン側からハイブリッドへ境界が下がってきていることを書いてきました。

では実際に、
7Wがいいのか、HBがいいのか、それともアイアンを残すべきなのか。
何を基準に見ていけばよいのでしょうか。

まず整理しておきたいのは、それぞれのクラブが持っている役割の違いです。

7Wや9Wのようなショートウッドは、高く上がりやすく、落下角が取りやすい。
ですから、長い距離でもグリーンで止めたい場面では、非常に意味のあるクラブになります。

一方でHBは、その中間にあります。
アイアンより球が上がりやすい。
それでいて、フェアウェイウッドほど長さを感じにくい。
つまり、高さと扱いやすさのバランスを取りやすいクラブです。

そしてアイアンには、低めの強い球、形の安心感、操作感という魅力があります。
ただし、その番手で本当に高さやキャリーが足りているかどうかは、また別の話です。

ここで面白いのは、クラブ選びが単なる性能比較では終わらないことです。
上の番手のクラブ選びには、いつも二つの欲求があります。

ひとつは、少しでも前へ運びたいという飛距離への欲求
もうひとつは、狙った場所まで運び、そこで止めたいという欲求です。

この二つは、似ているようで、実は少し違う方向を向いています。

本来、レベルが上がるほど求める球は明確になるはずです。
それは、ただ飛ぶ球ではなく、飛んで、しかも止まる球です。

グリーンを狙う以上、前へ行くだけでは足りません。
必要な距離を運び、しかも止められること。
本来はそこに価値があるはずです。

ところが実際には、上級者であっても、
低く強い弾道が打てそうなクラブ、
いかにも前へ行きそうなクラブを選びたくなることがあります。

もちろん、それ自体が悪いわけではありません。
ただ、その選択の中には、やはり飛距離欲求の強さが表れているように私は思います。

低く強い球は、見た目にも“飛んでいる感じ”がします。
着地してからも前へ行き、総距離も出やすい。
ですから、どうしても魅力的に見えます。

けれど、グリーンを狙うクラブとして考えたとき、本当に価値が高いのはそこなのか。
ここは一度立ち止まって考えたいところです。

そして、この価値観の変化には、時代背景もあると思います。

クラブの種類が少なかった時代は、難しいクラブで結果を出すこと自体に価値がありました。
難しい番手を打ちこなすこと、難しいクラブで球を操れること、それ自体が技術の証明であり、賞金にもつながった時代があったと思います。

しかし今は違います。
クラブの種類が増え、役割ごとに道具を選べるようになった。
そうなると、難しいクラブにこだわることよりも、結果が出るクラブで結果を出すことのほうが、より直接的に賞金につながります。

プロのこだわりがなくなったのではありません。

こだわる場所が変わってきたのです。

昔は、難しいクラブを使いこなすことに価値があった。
今は、スコアになる機能を持ったクラブを選ぶことに価値がある。
だから7Wや9W、あるいはショートウッドやHB的なセッティングが、ツアーの中でも自然に受け入れられてきているのだと思います。

店長として強く感じるのは、
グリーンを狙うクラブでは、ランで距離を稼ぐ球より、キャリーで必要距離を運べる球のほうが価値が高い
ということです。

アマチュアはどうしても、低く強く出て、着地してからも前へ行く球に魅力を感じやすいものです。
総距離だけ見れば、たしかにそのほうが飛んで見えることもあります。

しかし、上の番手で本当に必要なのは、しばしばそこではありません。

大切なのは、着弾点までを確実に運べることです。
その先のランは、助けになることもありますが、同時に不確定要素にもなります。
グリーンの硬さ、傾斜、風、落ちどころ。
ランに頼るほど、結果は読みづらくなります。

だから私は、グリーンを狙うクラブの理想的な弾道は、
ランよりキャリーの比重が大きい球
だと考えています。

高さが出る。
落下角が取れる。
必要な距離をキャリーで運べる。
そのほうが結果として狙いやすく、止めやすい。
だからツアーでは7Wや9Wが選ばれ、アマチュアでもHBや、場合によってはHBFWの意味が出てくるのだと思います。

そう考えると、7W・HB・アイアンの見方も整理しやすくなります。

高く上げて止めたいなら、7W寄りです。
長い距離でも高さが欲しい。
キャリー主体でグリーンを狙いたい。
そういう役割なら、7Wや9Wの意味は非常に大きいと思います。

高さも欲しいが、扱いやすさやつながりも重視したいなら、HB寄りです。
アイアンでは苦しい。
でもフェアウェイウッドほど長く大きいヘッドまでは要らない。
そういう番手を埋めるには、HBは非常に合理的です。

低さや形、操作感を優先するなら、アイアン寄りです。
ただし、その場合でも、その番手で本当にキャリーが足りているか、高さが出ているか、止められているかは、別に確認したほうがよいと思います。

結局のところ、7W・HB・アイアンの選び分けは、クラブの種類で決めるものではありません。

その番手に何をさせたいのか。
もっと言えば、
その番手で、飛ばしたいのか、止めたいのか。

そこがはっきりすると、選び方も見えてきます。

そしてアマチュアは、どうしても飛距離への欲求が強い。
だからこそ、ときどき立ち止まって考えたいのです。

そのクラブに求めているのは、本当に総距離なのか。
それとも、キャリーで運んで止めることなのか。

トップ側の番手ほど、スコアに効いてくるのは、むしろ後者ではないでしょうか。

飛んで止まる。
本来、上の番手で目指すべきなのはそこです。
にもかかわらず、私たちはつい“低く強い球が打てそうなクラブ”に惹かれる。
そのあたりに、クラブ選びの難しさと、飛距離欲求の根深さがあるのだと思います。

そして、この価値観の変化には、時代背景もあると思います。

クラブの種類が少なかった時代は、難しいクラブで結果を出すこと自体に価値がありました。難しい番手を打ちこなすこと、難しいクラブで球を操れること、それ自体が技術の証明であり、賞金にもつながった時代があったと思います。

しかし今は違います。クラブの種類が増え、役割ごとに道具を選べるようになった。そうなると、難しいクラブにこだわることよりも、結果が出るクラブで結果を出すことのほうが、より直接的に賞金につながります。

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こだわる場所が変わってきたのです。

昔は、難しいクラブを使いこなすことに価値があった。
今は、スコアになる機能を持ったクラブを選ぶことに価値がある。
だから7Wや9W、あるいはショートウッドやHB的なセッティングが、ツアーの中でも自然に受け入れられてきているのだと思います。

問題は“何番を入れるか”ではなく、その番手が本当に仕事をしているか 第3話

ここまで見てくると、議論の中心は
「5番アイアンを抜くか、6番アイアンを抜くか」
という番手の数字そのものではなくなってきます。

本当に見るべきなのは、
その番手がコースでちゃんと仕事をしているかどうか
です。

たとえば、アイアンの長い番手や中間の番手で、

  • 思ったほど高さが出ない
  • キャリーが安定しない
  • グリーンで止まりにくい
  • ミスしたときの距離のブレが大きい

ということが起きているなら、その番手はバッグに入っていても、実戦では十分に機能していない可能性があります。

“問題は“何番を入れるか”ではなく、その番手が本当に仕事をしているか 第3話” の続きを読む

ハイブリッドは減っているのではなく、下の番手へ広がっている 第2話

第1話では、ツアーで7W、9Wへのシフトが起きていることを書きました。
ただ、その話をそのままアマチュアに当てはめると、少し見誤るかもしれません。

というのも、アマチュアの現場で起きているのは、
ハイブリッドが消えていく変化ではなく、むしろアイアン側に食い込んでいく変化
だからです。

そのことは、最新モデルの番手展開を見るとよく分かります。

PINGのG440ハイブリッドは、#2から#7までの展開で、ロフトは17度、20度、23度、26度、30度、34度です。つまり、すでに7H相当まで用意されています。これは、ハイブリッドが3番・4番アイアン代わりにとどまらず、もっと下の番手まで受け持つ前提で作られているということです。

そして、さらに象徴的なのが、PINGの新しいレディースモデルG LE 4です。
こちらはハイブリッドが**#5、#6、#7、#8の4番手展開で、公式には“低重心設計×新番手設計”とうたわれています。加えてPING自身が、前作よりもフェアウェイウッドとアイアンの間に生じやすかった飛距離差を解消**すると説明しています。つまりメーカー自身が、女性ゴルファーやアマチュア層では、従来アイアンが担っていたところまでハイブリッドが入ってくることを前提にしているのです。

しかもG LE 4の#8ハイブリッドは36度です。
ここまでくると、もう単なるロングアイアン代替ではありません。
「アイアンが苦手だから上の番手だけハイブリッドにする」という話ではなく、
ミドルアイアン帯そのものを、もっと上がりやすく、やさしいクラブに置き換える
という思想が見えてきます。 “ハイブリッドは減っているのではなく、下の番手へ広がっている 第2話” の続きを読む

ツアーで進む7W・9Wシフトと、アマチュアで別の場所に起きている変化 第1話

最近、ツアーではハイブリッドの代わりに7Wや9Wを入れる流れが、かなりはっきり見えるようになってきました。MyGolfSpy Japanも、PGAツアーではハイブリッドを外したときの置き換え先としてフェアウェイウッドが最も多く、その中でも高ロフトのモデルが増えていると紹介しています。

実際、この流れは単なる印象論ではありません。GOLF.comは2025年のValspar Championshipで30本以上の7Wと2本の9Wが投入されていたと報じており、7Wはすでにツアーで特別な存在ではなくなっています。

ただし、ここで大事なのは、
ツアーで起きていることと、アマチュアに起きていることは同じではない
という点です。

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スチュアート・シンクがシニア選手権を制覇

スチュアート・シンクが、2026年のSenior PGA Championshipを制しました。最終日に9アンダー63をマークし、通算19アンダー。2位に6打差をつける完勝で、これが自身初のシニアメジャー制覇となりました。大会公式も、コースレコードの63で逃げ切った勝利として伝えています。

しかも、これはベテランの一発ではありません。今回の優勝で、シンクは直近6試合で4勝という勢いの中にあり、シニアツアーに入ってからの充実ぶりを、そのままメジャーの舞台で証明した形です。 “スチュアート・シンクがシニア選手権を制覇” の続きを読む