帝王の言葉 第4話 飛距離が通用しないコースは、何を試しているのか

前回は、全米オープンの歴代優勝者を振り返り、2016年以降、飛距離のある選手が優勝者の中心になっていることを考えました。

では、本当に現代のゴルフでは、飛距離がなければ勝てないのでしょうか。

私は、そうではないと思います。

同じ選手が、同じクラブと同じボールを使っていても、開催コースが変われば、飛距離の価値は大きく変わるからです。

その代表が、ハーバータウン・ゴルフリンクスです。

ハーバータウンは、PGAツアーの中では決して長いコースではありません。

フェアウェイも広大ではなく、木の枝がショットの通り道を限定し、小さなグリーンへ入れる角度が重視されます。

ここでは、ティーショットを遠くへ飛ばせば、それだけで有利になるわけではありません。

フェアウェイに置いたとしても、左右を間違えれば、次のショットを木が遮ります。

グリーンが見えていても、進入角度が悪ければ、ピンの近くへボールを止めることができません。

つまり、ハーバータウンにおけるティーショットのターゲットは、単なるフェアウェイではありません。

次のショットを打つための、フェアウェイ内の特定の場所です。

飛距離がある選手でも、必要以上に前へ出せば、木の枝や悪い角度によって次打を難しくします。

反対に、飛距離が平均的でも、正しい側へ置くことができれば、グリーンの奥行きを使ってボールを止めることができます。

ここでは、

「どれだけ前へ行ったか」

よりも、

「次のショットをどこから打てるか」

の方が重要になります。

オリンピッククラブのレイクコースも、同じことを教えてくれます。

このコースで行われた全米オープンでは、必ずしもロングヒッターばかりが優勝してきたわけではありません。

ビリー・キャスパー。
スコット・シンプソン。
リー・ジャンゼン。
ウェブ・シンプソン。

いずれも、圧倒的な飛距離だけで試合を支配した選手ではありません。

オリンピッククラブのレイクコースは、サンフランシスコ南西部、太平洋岸に近いレイク・マーセッドを見下ろす丘陵地に造られています。

各ホールは起伏のある斜面を横切るように配置され、フェアウェイも地形に沿って左右へ傾いています。

さらに、フェアウェイを囲む大きな木々がショットのルートを限定し、ボールを通さなければならない狭い空間を作ります。

全米オープンでは、フェアウェイやグリーンがコンクリートのように硬く仕上げられることがあります。

小さなグリーンに直接ボールを落としても止まらず、グリーンのはるか手前へ着弾させ、地面を転がして止めなければならないホールもあります。

そのため、単に残り距離を短くするだけでは、ピンを狙うことができません。

どこから打つのか。

どの方向へ打ち出すのか。

どこへ着弾させ、どれだけ転がすのか。

そのすべてを逆算する必要があります。

ティーショットを曲げれば、単にラフへ入るだけではありません。

次のターゲットへ向かう射線そのものを失います。

深いラフなら、パワーのある選手が短いクラブで振り抜くことができるかもしれません。

しかし、木によって打つ方向を失えば、筋力では解決できません。

また、木がなくても、グリーンへボールを止めるために必要な着弾スペースを使えなければ、同じようにピンを狙うことができなくなります。

ここに、ターゲットゴルフの本質があります。

単にフェアウェイを狭くし、ラフを深くすればよいわけではありません。

正しい場所と、間違った場所の差を作ることが重要です。

フェアウェイの右側からなら、グリーンの奥行きを使える。

左側からは、バンカー越えになる。

少し距離を抑えれば、平らなライが残る。

飛ばしすぎれば、下り傾斜から打たなければならない。

このような構造があれば、選手は毎回ドライバーを最大出力で振ることができません。

飛距離を使うのか。

位置を優先するのか。

次のショットを、どの角度から打つのか。

それを考えること自体が競技になります。

狭いコースは、しばしば質が低いコースのように扱われます。

「ドライバーを振れない」

「プロには短すぎる」

「現代のツアーには向かない」

そのように評価されることもあります。

しかし、これはコースの質を見ているのではありません。

飛距離を発揮しやすいかどうかだけで、コースを評価しているのです。

本来、狭いコースほど設計の質が問われます。

ただ狭いだけなら、窮屈なコースです。

しかし、

どこへ打つべきかが明確である。

飛ばすルートと安全なルートが用意されている。

正しい位置からは次打が打ちやすい。

間違った位置からは、ピンへ止めにくい。

こうした意味があるなら、狭さは選手の技術と判断を測るための装置になります。

ハーバータウンやオリンピッククラブで、飛距離だけの選手が上位を独占しないのは、飛距離を不当に罰しているからではありません。

飛距離が、正しい場所へ運ばれたときにだけ価値を持つように設計されているからです。

ロングヒッターが勝てないわけではありません。

飛距離があり、なおかつ正しい位置へ運び、そこからボールを止められる選手なら勝つことができます。

今年のハーバータウンでも、十分な飛距離を持つスコッティ・シェフラーがプレーオフまで進みました。

しかし優勝したのは、ハーバータウンを過去にも制しているマット・フィッツパトリックでした。

これは、飛距離のある選手が排除されるという意味ではありません。

飛距離だけでは勝てず、位置、角度、距離管理、ボールコントロールまで揃えた選手が評価されるということです。

つまり、飛距離は絶対的な正解ではなく、総合技術の一つに戻されます。

ここから分かることがあります。

現代の飛距離問題は、クラブやボールだけの問題ではありません。

同じ用具を使っていても、コースが明確なターゲットを示せば、飛距離の支配力は小さくなります。

反対に、広いフェアウェイと柔らかいグリーンを用意し、飛ばした先から短いクラブで止められるようにすれば、飛距離は絶対的な価値になります。

選手が変わったのではありません。

コースが、何を良いショットとして評価するかが変わったのです。

ハーバータウンやオリンピッククラブが示しているのは、飛距離のある選手を排除する方法ではありません。

遠くへ飛ばす能力を、方向性、位置、角度、距離管理と同じ土俵へ戻す方法です。

ゴルフは、遠くへ飛ばした者が勝つ競技ではありません。

必要な距離を、必要な方向へ運び、次のボールを止める条件を作った者が勝つ競技です。

ニクラスは、すでに約7500ヤードまで延長されたミュアフィールド・ビレッジを、これ以上長くするには、周辺の道路まで買収しなければならないと語っています。

これは、単なる冗談ではないでしょう。

選手の飛距離が伸びるたびにコースを延長する方法には、物理的な限界があります。

だからこそ、次に考えなければならないのは、コースをどこまで長くするかではありません。

飛距離が、どのような条件で利益になり、どのような条件では不利益になるのか。

次回は、飛距離を無条件の利益にしないコース設定について考えます。

帝王の言葉 第3話 全米オープンは2016年から変わったのか

前回は、ジャック・ニクラスが40年以上前に開発へ関わった「ケイマンボール」から、現在の飛距離問題を考えました。

今回は、全米オープンの歴代優勝者を振り返ってみます。

全米オープンは、長い距離、狭いフェアウェイ、深いラフ、硬く速いグリーンによって、選手の総合力を試す大会とされてきました。

しかし、過去40年間の優勝者を並べてみると、2016年を境に、優勝する選手のタイプが変わっているように見えます。

まず、1986年から2015年までの優勝者です。

1986年 レイモンド・フロイド
1987年 スコット・シンプソン
1988年 カーティス・ストレンジ
1989年 カーティス・ストレンジ
1990年 ヘール・アーウィン
1991年 ペイン・スチュワート
1992年 トム・カイト
1993年 リー・ジャンゼン
1994年 アーニー・エルス
1995年 コリー・ペイビン
1996年 スティーブ・ジョーンズ
1997年 アーニー・エルス
1998年 リー・ジャンゼン
1999年 ペイン・スチュワート
2000年 タイガー・ウッズ
2001年 レティーフ・グーセン
2002年 タイガー・ウッズ
2003年 ジム・フューリク
2004年 レティーフ・グーセン
2005年 マイケル・キャンベル
2006年 ジェフ・オギルビー
2007年 アンヘル・カブレラ
2008年 タイガー・ウッズ
2009年 ルーカス・グローバー
2010年 グレーム・マクドウェル
2011年 ローリー・マキロイ
2012年 ウェブ・シンプソン
2013年 ジャスティン・ローズ
2014年 マルティン・カイマー
2015年 ジョーダン・スピース

この30年間にも、タイガー・ウッズ、アーニー・エルス、ローリー・マキロイ、アンヘル・カブレラのような飛距離のある選手はいました。

しかし、その一方で、

ヘール・アーウィン。
トム・カイト。
コリー・ペイビン。
リー・ジャンゼン。
ペイン・スチュワート。
ジム・フューリク。
グレーム・マクドウェル。
ウェブ・シンプソン。

といった、ツアーを代表するロングヒッターではない選手も全米オープンを制しています。

さらに、カーティス・ストレンジ、スコット・シンプソン、マイケル・キャンベル、ジェフ・オギルビーなど、飛距離だけを最大の武器としていたわけではない選手にも、優勝への道が残されていました。

もちろん、飛距離のある選手が勝つ年もある。

飛距離のない選手が、正確性や距離管理によって勝つ年もある。

優勝者の顔ぶれには、選手の能力と攻略法の多様性がありました。

飛距離のない選手は、飛ばないことを単純に補おうとしたのではありません。

ティーショットを正しい場所へ置く。

グリーンへ入れる角度を作る。

距離を正確に打ち分ける。

打ってはいけない場所を避ける。

そして、長いクラブでも狙った場所へボールを止める。

そうした技術と判断によって、飛距離のある選手と異なる方法で勝つことができました。

ところが、2016年以降の優勝者を見ると、様子が変わります。

2016年 ダスティン・ジョンソン
2017年 ブルックス・ケプカ
2018年 ブルックス・ケプカ
2019年 ゲーリー・ウッドランド
2020年 ブライソン・デシャンボー
2021年 ジョン・ラーム
2022年 マット・フィッツパトリック
2023年 ウィンダム・クラーク
2024年 ブライソン・デシャンボー
2025年 J.J.スポーン

この10年間の優勝者は、それ以前と比べて、明らかに十分な飛距離を持つ選手へ偏っています。

ダスティン・ジョンソンは、長年にわたってPGAツアーを代表するロングヒッターでした。

ブルックス・ケプカ、ゲーリー・ウッドランド、ブライソン・デシャンボー、ジョン・ラーム、ウィンダム・クラークも、飛距離を大きな武器とする選手です。

2025年のJ.J.スポーンは、この流れの中では例外に近い存在でしょう。

マット・フィッツパトリックも、以前は正確性やコースマネジメントを中心とする選手と見られていました。しかし、2022年に全米オープンを制するまでに、大幅な飛距離アップへ取り組んでいます。

つまり、もともと高いコントロール技術を持つ選手でさえ、現代の全米オープンを勝つには、さらに飛距離を加える必要があったとも考えられます。

では、2016年を境に、飛距離のない選手の技術が落ちたのでしょうか。

私は、そうは思いません。

現代の選手は、弾道計測、クラブフィッティング、スイング分析、フィジカルトレーニング、コースデータなど、過去とは比較にならないほど多くの情報を使っています。

ショット精度や距離管理の水準が、突然低下したとは考えにくいでしょう。

変わったのは選手の技術ではなく、コースが技術を評価する方法ではないでしょうか。

コースを長くする。

ラフを深くする。

グリーンを硬くする。

一見すると、これはロングヒッターを抑える設定に見えます。

しかし実際には、飛距離のある選手ほど、長いホールでも短いクラブを持つことができます。

ラフに入っても、ほかの選手よりロフトの大きなクラブで打てる。

高い球を打ち、大きな落下角でグリーンへ止められる。

つまり、飛距離を抑えるためにコースを長くした結果、飛距離を持たない選手の方が、さらに難しいショットを要求されることになります。

2016年のオークモントで勝ったのはダスティン・ジョンソンでした。

翌年のエリンヒルズでは、広く長いコースをブルックス・ケプカが制しました。

その後も、飛距離のある選手が優勝を続けています。

これは偶然なのでしょうか。

あるいは全米オープンが、正確性とボールコントロールを試す大会から、まず一定以上の飛距離を持っていなければ勝負へ参加できない大会へ変わったのでしょうか。

もちろん、2016年以降の優勝者が、飛距離だけで勝ったわけではありません。

彼らはアイアンショット、ショートゲーム、パッティング、精神力まで含めた、非常に高い総合技術を持っています。

問題は、ロングヒッターに技術があるかどうかではありません。

飛距離を持たない選手が、別の高い技術によって勝つための道が、コース設定の中に残されているかどうかです。

1986年から2015年までの全米オープンでは、飛距離のある選手にも、飛距離以外を武器にする選手にも、優勝の可能性がありました。

しかし2016年以降、その多様性が急速に失われたように見えます。

2016年以降の優勝者の変化は、飛距離のない選手の技術が落ちたことを示しているのではありません。

むしろ、飛距離のない選手の高度な技術を、勝利へ変換しにくい大会になった可能性を示しているのではないでしょうか。

次回は、ハーバータウンやオリンピッククラブでの試合を例に、なぜ同じ選手、同じクラブ、同じボールでも、コースが変われば飛距離の優位性が小さくなるのかを考えます。

帝王の言葉 第2話 帝王が40年以上前に考えた「飛ばないボール」

ジャック・ニクラスが、飛びすぎるゴルフボールについて考え始めたのは、最近のことではありません。

今から40年以上前、ニクラスは「ケイマンボール」と呼ばれる、通常より飛距離を抑えたボールの開発に関わっていました。

きっかけは、カリブ海のケイマン諸島に、限られた土地を使ってゴルフコースを造る計画でした。

通常のゴルフボールを使えば、十分な長さのコースを造ることができません。

そこでニクラスが考えたのは、土地をさらに広げることでも、無理にホールを長くすることでもありませんでした。

ボールの方を飛ばなくすればよい。

こうして開発されたケイマンボールは、通常のゴルフボールとほぼ同じ大きさでありながら、飛距離がおよそ半分になるように作られました。

ニクラスは、ゴルフコースの価値を距離だけで決めていなかったのです。

限られた土地の中でも、ショットの方向、距離感、球筋、そしてボールを止める技術を問うことができれば、ゴルフは成立する。

むしろ彼は、コースを延長し続けなければ成立しないゴルフの方に、早くから疑問を持っていたのではないでしょうか。

ケイマンボールは、日本ではほとんど認知されていなかったと思います。

しかし以前、木場本先生のご自宅にあった練習場では、このボールが練習球として使われていました。

そのとき私は、

「こんなにたくさんのケイマンボールが日本にあったのか」

と驚いたことを覚えています。

飛距離が大きく抑えられるため、広い土地がなくても、通常に近いスイングでボールを打つことができます。

通常のボールとまったく同じ弾道や風への強さを再現できるわけではありませんが、限られた空間の中で、打ち出す方向、高さ、曲がり幅を確認するという意味では、とても合理的なボールでした。

ここで、現在進められているゴルフボールのロールバックを考えてみます。

USGAとR&Aは、将来のボール規制によって、トッププロの飛距離を十数ヤード程度抑えようとしています。

しかしニクラスは、この程度の変更を、

「タイタニック号からデッキチェアを投げ捨てるようなもの」

と表現しました。

沈みかけている船から椅子を一つ投げ捨てても、船の行方は変わりません。

つまり現在提案されている程度の飛距離低下では、ゴルフが抱えている問題を根本的には解決できないということでしょう。

ただし、ニクラスの主張を「もっと飛ばないボールを作ればよい」とだけ読むのも違うと思います。

ケイマンボールが示したのは、ボールの飛距離を抑えることで、限られた土地の中でもゴルフを成立させられるという発想でした。

ところが現在のプロゴルフでは、ボールを少し飛ばなくする一方で、コースの考え方そのものは変わろうとしていません。

できるだけ遠くへ飛ばす。

残り距離を短くする。

短いクラブを持つ。

高い球と大きな落下角で、ピンの近くへ止める。

この構造が残ったままなら、全員の飛距離が十数ヤード落ちても、最も飛ばす選手が有利であることは変わりません。

全員が同じだけ後ろへ下がるだけだからです。

さらに、コースを長くし、ラフを深くするだけでは、飛距離のある選手を止めることができない場合があります。

ロングヒッターは、ほかの選手より短いクラブを持つことができます。

多少ラフに入っても、短い番手と大きな出力でグリーンを狙える。

つまり、飛距離を抑えるために行ったはずのコース延長や深いラフが、逆に飛距離のある選手を有利にすることさえあります。

必要なのは、単にボールを飛ばなくすることではありません。

飛距離が、そのままスコア上の利益へ変換されるコース設定を見直すことです。

例えば、300ヤードを超えたティーショットが、フェアウェイを突き抜けてセミラフまで転がるようにする。

そこからは残り距離が短くても、フライヤーが出やすく、グリーンの奥行きや受け傾斜を使えず、ピンの周辺へボールを止めにくい。

一方で、280ヤード地点の正しい場所へ置けば、残り距離は長くても、クリーンなライと正しい進入角度を得ることができる。

そうなれば選手は、毎回最大飛距離を求めるのではなく、

どこまで飛ばすのか。

どちら側へ置くのか。

次のショットを、どの角度から打つのか。

そこからボールを止めることができるのか。

を考えなければなりません。

飛距離を罰する必要はありません。

飛ばすことによって残り距離は短くなる。

しかし、ボールを止めるための角度やライを失う可能性がある。

反対に、少し距離を抑えれば、残り距離は長くなる。

しかし、グリーンを使える角度と良いライを得られる。

この交換条件があれば、飛距離は絶対的な正解ではなく、戦略上の一つの選択になります。

ゴルフは、遠くへ飛ばすことだけを競うスポーツではありません。

最終的に、狙った場所へボールを止める競技です。

ところが現代のゴルフは、ティーショットで前へ出し、短いクラブを持つことで、飛距離によってボールを止めるゲームへ傾いています。

本来は、ティーショットの位置、グリーンへの進入角度、球筋、着弾地点、傾斜を組み合わせ、戦略によってボールを止めるゲームだったはずです。

ケイマンボールは、商品として大きな成功を収めたとはいえません。

しかし、ニクラスが40年以上前に示した発想は、現在の飛距離問題を考えるうえで、今も重要な意味を持っています。

コースを長くし続けるのか。

ボールを少しだけ飛ばなくするのか。

それとも、飛距離の使い方そのものを選手に問うゴルフへ戻すのか。

ニクラスがゴルフ界に問いかけているのは、単なるボールの性能ではありません。

私たちは、どのような技術をゴルフとして評価したいのか。

その問いなのではないでしょうか。

次回は、全米オープンの歴代優勝者を振り返りながら、なぜ2016年以降、飛距離のある選手が急に目立つようになったのかを考えてみます。

帝王の言葉を、ゴルフ界は聞き入れることができるのだろうか? 第1話

今年のメモリアル・トーナメントが終了しました。

優勝は、プレーオフの末にJ.T.ポストン。PING契約選手のウィンダム・クラークも好調を維持し、3位タイに入りました。

最終日はプレーオフまでもつれる展開となりましたが、今年のメモリアル・トーナメントは、どこか例年ほどの盛り上がりを感じられなかったようにも思います。

メモリアル・トーナメントは、軍人や退役軍人、そして国のために犠牲となった人々へ敬意を示す大会でもあります。

世界各地で戦争が続き、多くの命が失われている現在、その現実が大会の空気にも影を落としていたのかもしれません。

しかし、理由はそれだけではないように思います。

大会を主催するジャック・ニクラスが開幕前に語った言葉も、現在のPGAツアーが抱えている問題を象徴していたのではないでしょうか。

彼の発言内容は、以下のようなものでした。

ニクラスの発言は、大きく二つの問題に分けることができます。

一つ目は、現在のPGAツアーの日程についてです。

ニクラスは、シグネチャーイベントをはじめとする重要大会が短期間に集中しすぎている現状について、「現在彼らが進めていることに、必ずしも賛成ではない」と懸念を示しました。

大きな大会が連続すれば、トップ選手はすべてに万全な状態で出場することができません。

選手には試合の合間に体と精神を回復させる時間が必要であり、自身も現役時代には、重要な試合と試合の間に休養を入れることで、再び最高の状態を作っていたと説明しています。

また、注目度の高い大会を短期間に集中させることで、それ以外の大会が埋没してしまうことにも懸念を示しました。

具体例として挙げたのが、コグニザント・クラシックです。

ペブルビーチ、ジェネシス招待、ベイヒル、ザ・プレーヤーズ選手権といった大きな大会の間に置かれれば、その大会が独自の存在感を示すことは難しくなります。

※コグニザント・クラシックは、フロリダ州のPGAナショナルで開催されるPGAツアーの大会です。
以前は「ホンダ・クラシック」の名称で知られ、現在も「ベア・トラップ」と呼ばれる難関ホールを持つ、歴史ある大会です。
ニクラスは、この大会が大きな大会の間に置かれることで注目を失っていると指摘しました。

高額賞金大会を増やし、トップ選手を一部の大会へ集めることで、PGAツアー全体が強くなるのではなく、むしろ大会ごとの個性や価値が失われるのではないか。

ニクラスは、そのような危機感を示しているように見えます。

そして、この問題について新CEOのブライアン・ロラップ氏や、コミッショナーのジェイ・モナハン氏と、直接話をしたいとも述べています。つまり、単なる感想ではなく、現在のPGAツアーの方向性に対する明確な異議と考えてよいでしょう。

もう一つは、ゴルフボールの飛距離制限、いわゆるロールバックについてです。

USGAとR&Aが進める新しいボール規制によって、アマチュアの飛距離低下は1~2ヤード、トッププロでも12~14ヤード程度にとどまると、ニクラスは見ています。

そして、この程度の変更では飛距離問題の本質的な解決にはならないとして、「タイタニック号からデッキチェアを投げ捨てるようなもの」と表現しました。

沈みかけた大型船から椅子を一つ投げ捨てても、船の行方は変わりません。

つまりニクラスは、ボールの飛距離を少し抑える方向そのものに反対しているのではなく、今回の規制では影響が小さすぎると考えているのです。

選手の飛距離が伸びるたびにコースを延長すれば、さらに広い土地が必要になります。

散水や芝の管理に必要な水、維持費、プレー時間も増え、歴史あるコースはプロ競技を開催できなくなっていきます。

ミュアフィールド・ビレッジも延長を重ねてきましたが、ニクラスは、これ以上伸ばすには周辺の道路まで買わなければならないと語っています。

飛距離の増大に合わせて、いつまでもコースを長くし続けることはできない。

しかし、ボールをわずかに飛ばなくするだけでも解決しない。

ニクラスの発言は、現在の飛距離問題が、用具だけではなく、コース、ツアー運営、試合の見せ方まで含む、より大きな問題であることを示しています。

※ゴルフダイジェストさんの記事はこちらです

次回以降、このニクラスの発言を起点に、現在のPGAツアーが抱える問題を少しずつ掘り下げていこうと思います。

G LEはどう変わったか? パター編

ドライバー、フェアウェイウッド、ハイブリッド、アイアンに続いて、今回はパターです。

G LE 3からG LE 4への変化を見ると、パターはラインアップが4モデルから3モデルへ整理されました。

まず、新旧のラインアップを比較してみます。

ストロークタイプ G LE 3 G LE 4
セミアーク ANSER ANSER 2D
アーク LOUISE LOUISE
ストレート FETCH/KETSCH G OSLO

G LE 3では4モデルが用意されていましたが、G LE 4では、

ANSER 2D
LOUISE
OSLO

の3モデルになりました。

モデル数は減りましたが、

セミアーク
アーク
ストレート

という3種類のストロークタイプを、きちんとカバーしています。

つまり、単に選択肢を減らしたというより、役割の重複を整理し、それぞれのストロークタイプに合うモデルを分かりやすくしたと考える方がよいでしょう。

ANSERからANSER 2Dへ

G LE 3では、ブレード型のANSERが採用されていました。

G LE 4では、これがANSER 2Dに変わりました。

ANSER 2Dは、通常のANSERよりもヘッドの奥行きが大きい、ワイドブレード形状です。

ブレード型の操作性を残しながら、ヘッドの奥行きを大きくすることで、打点がズレた時のブレを抑えています。

G LE 3のANSERも、周辺重量配分によって操作性と寛容性を両立したモデルでした。

しかし、G LE 4ではANSER 2Dへ変更することで、構えた時の安心感とミスヒットへの強さを、さらに高めています。

見た目はブレード型。
しかし、性能はミッドマレットに近い。

これがANSER 2Dの特徴です。

パターでは、ブレード型を好むゴルファーが多くいます。

構えやすい。
フェースの向きを感じやすい。
距離感を出しやすい。
操作しやすい。

その一方で、一般的なブレード型は、大型マレットよりもミスヒットに弱いという問題があります。

ANSER 2Dは、その弱点を奥行きのあるヘッド形状で補っています。

G LE 3のANSERが「感性で打てるピン型」だったとすれば、G LE 4のANSER 2Dは、

ブレード型の感性を残しながら、さらに安心感を増したパター

です。

ヘッド重量も5g重くなりました。

これにより、ストローク中にヘッドの位置を感じやすくなり、小さなストロークでもテンポを安定させやすくなっています。

LOUISEは継続

LOUISEは、G LE 3からG LE 4へ継続された唯一のモデルです。

丸みを帯びたミッドマレット形状で、ショートスラントネックを採用しています。

ストロークタイプはアークです。

フェースを開閉しながらストロークするゴルファーに合わせやすいモデルです。

LOUISEが継続されたことからも、この形状が高く評価されていたことが分かります。

構えた時に大きすぎない。
ブレード型より安心感がある。
大型マレットほど動かしにくくない。
フェースの開閉も感じやすい。

この中間的な位置にあるのがLOUISEです。

G LE 4のLOUISEでは、軽量のアルミボディと高比重のステンレスプレートを組み合わせた複合素材構造が採用されています。

軽い素材と重い素材を組み合わせることで、重量をヘッドの低い位置や外周へ配分できます。

これにより、重心を低くしながら慣性モーメントを高めています。

見た目は操作しやすいミッドマレットですが、内部構造ではミスヒットへの強さも高められています。

ヘッド重量はこちらも5g重くなりました。

軽量クラブを使うゴルファーであっても、パターまで軽くしすぎると、ストローク中にヘッドの位置が分かりにくくなることがあります。

パターには、飛距離を出すための軽さは必要ありません。

むしろ、適度なヘッド重量によって、

ヘッドの位置が分かる。
ストロークのテンポが安定する。
小さな動きでもボールへ力を伝えられる。

ということが重要です。

G LE 4では、ドライバーやアイアンは軽く振りやすくしながら、パターには適度なヘッド重量を持たせています。

ここは、クラブごとの役割を考えた設計だと思います。

FETCHとKETSCH GをOSLOへ集約

G LE 4では、FETCHとKETSCH Gの2モデルがなくなり、ストレートタイプのモデルとしてOSLOが採用されました。

OSLOは、安心感のある大型マレットです。

フェースバランス設計で、フェースの開閉を抑えたストレートタイプのストロークに対応します。

ヘッド中央には太い白いアライメントラインが入り、目標に対してフェースを合わせやすくなっています。

G LE 4のOSLOは、

構えやすい。
目標へ合わせやすい。
ミスヒットに強い。
直進性が高い。

という、ストレートタイプに必要な性能へ集中したモデルだと考えられます。

ヘッド重量は360gです。

これはG LE 3のKETSCH Gと同じ重量です。

大型マレットとして十分な重量があり、ストローク中のヘッド挙動を安定させやすくなっています。

フェースインサートの変更

2層PEBAXから1層PEBAXへ

フェースインサートも変更されました。

G LE 3では、硬さの異なるPEBAXを組み合わせた2層構造のインサートが採用されていました。

G LE 4では、新しい1層構造のPEBAXインサートへ変更されています。

このインサートは、柔らかい打感を持ちながら、必要な反発性も確保しています。

G LE 3では、柔らかさと反発性を、硬さの異なる素材を組み合わせることで作り分けていました。

G LE 4では、1層の素材でその両方を成立させようとしています。

構造をシンプルにしながら、

柔らかく感じる。
しかし、ボールはしっかり転がる。
距離感がぼやけにくい。

という性能を狙っています。

パターは、打感が柔らかければよいとは限りません。

柔らかすぎると、インパクトの強さが手に伝わりにくくなり、距離感がぼやけることがあります。

反対に、硬すぎるとボールが弾き出される感覚が強くなり、短い距離でタッチを合わせにくくなることがあります。

G LE 4の1層PEBAXインサートは、柔らかさと転がりのバランスを狙った変更だと考えられます。

複合素材による低重心化

ANSER 2Dは、17-4ステンレススチールを主体としたヘッドです。

一方、LOUISEとOSLOは、軽量のアルミボディと高比重のステンレスプレートを組み合わせています。

軽い素材と重い素材を組み合わせることで、重量をヘッドの低い位置や外周へ配置できます。

その結果、

重心が低くなる。
慣性モーメントが高くなる。
打点がズレてもフェースがブレにくい。
ボールの打ち出しと転がりが安定する。

という効果が期待できます。

ドライバーやアイアンでは、低重心化によってボールを上げやすくしていました。

一方、パターで低重心化する目的は、ボールを高く上げることではありません。

インパクト時のヘッド挙動を安定させ、打ち出し方向と転がりをそろえることです。

G LE 4では、パターでも「ミスを減らし、結果をそろえる」という考え方が採用されています。

グリップの変更

G LE 4では、PP58 TOUR M LILACグリップが標準装着されています。

グリップに関しては、フルモデルチェンジです。

適度な太さを持つピストル型グリップで、レディスモデルに合わせて、よりソフトな素材が使われています。

グリップが細すぎると、手首や指先の動きが増えやすくなります。

反対に、太すぎると手の感覚が薄れ、フェースの向きを感じにくくなることがあります。

PP58 TOUR Mは、

余計な手首の動きを抑える。
フェースの向きは感じ取れる。
強く握りすぎにくい。

というバランスを狙ったグリップだと思います。

単なるカラー変更ではなく、手とパターをつなぐ重要な機能部品として見なければなりません。

まとめ

G LE 3からG LE 4へのパターの変化を整理すると、

ANSERから、より安心感のあるANSER 2Dへ。
LOUISEは、複合素材構造を採用して継続。
FETCHとKETSCH Gを、直進性の高いOSLOへ整理。
2層構造のPEBAXから、柔らかさと反発性を両立した1層PEBAXへ。
ANSER 2DとLOUISEは、ヘッド重量を5g増加。
グリップはPP59からPP58 TOUR Mへ変更。

という進化です。

モデル数を減らしながら、

操作性。
寛容性。
アライメント。
転がり。
ストロークタイプ。

この5つを、より分かりやすく整理したのがG LE 4パターです。

G LE 3は、4つのモデルから好みの形状を選ぶパターシリーズでした。

G LE 4は、3つのストロークタイプを基準に、自分に合う性能を選びやすくしたパターシリーズです。

G LE 4パターの進化は、モデルを増やすことではなく、必要な選択肢を整理し、それぞれの役割を明確にしたことにあると思います。

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すべてのクラブがカスタムオーダーできます。フィッティング・お問い合わせは ここ、お気軽にどうぞ。 PING製品の納期はこちらを↓を参考にしてください。

納期情報

生分解性100%、海洋においても生分解するリバイブティーは 、楽天市場もしくはYahoo!ショッピングページよりお求めください。

簡単にグリップのクリーニングが出来るグリップキャディは 、楽天市場もしくはYahoo!ショッピングページよりお求めください。

PINGな人 ネリー・コルダはG425ハイブリッドを使用中

全米女子オープン、渋野選手かんばりましたが、残念でした。

最終日は超混戦。スコアが伸びない展開でしたが、終始安定したゴルフを展開したコルダ選手が17番でバーディを奪取。最後のパットはドキッとしましたが、貫禄の優勝です。

PINGと用具契約を結んでいないものの、PINGのクラブを使用している「PINGな人」とこのブログでは読んでいますが、実はネリー・コルダ選手は、現在PING G425ハイブリッド 26度を使用しているPINGな人です。 “PINGな人 ネリー・コルダはG425ハイブリッドを使用中” の続きを読む

G LEはどう変わったか? 第4話 アイアン編

ドライバー、フェアウェイウッド、ハイブリッドに続いて、今回はアイアンです。

G LE 3からG LE 4への変化を見ると、アイアンはフェアウェイウッドやハイブリッドほど、スペック表上の違いは大きくありません。

まず、新旧のロフトを比較してみます。

番手 G LE 3 G LE 4
6I 25° 25°
7I 29.5° 29.5°
8I 35° 35°
9I 41° 41°
PW 46° 46°
UW 52° 52°
SW 56° 56°

番手構成もロフトも、基本的にはG LE 3から変わっていません。

これは意外に感じるかもしれません。

G LE 4は、アイアン単体ではなく、ハイブリッドと組み合わせたコンボ・ソリューションとして設計されています。 “G LEはどう変わったか? 第4話 アイアン編” の続きを読む

中能登地区で試打会が行われます。

中能登地区の試打会は、当店が鳥屋ゴルフさんで、行ってきましたが、今回、それを引き継ぐ形でPINGのフィッターさんによる試打会が開催されます。

日時は6月21日 10:00~16:00 エビアンゴルフです。

サポートに店長が参ります。

よろしくお願いいたします。

 

G LEはどう変わったか? 第2話 フェアウェイウッド編

ドライバー編に続いて、今回はフェアウェイウッドです。

G LE 3からG LE 4への変化を見ると、フェアウェイウッドはドライバー以上に分かりやすく変わっています。

その理由は、単純に新しいテクノロジーが入っただけではなく、番手ごとのロフト構成そのものが大きく変わっているからです。 “G LEはどう変わったか? 第2話 フェアウェイウッド編” の続きを読む