G LEはどう変わったか? パター編

ドライバー、フェアウェイウッド、ハイブリッド、アイアンに続いて、今回はパターです。

G LE 3からG LE 4への変化を見ると、パターはラインアップが4モデルから3モデルへ整理されました。

まず、新旧のラインアップを比較してみます。

ストロークタイプ G LE 3 G LE 4
セミアーク ANSER ANSER 2D
アーク LOUISE LOUISE
ストレート FETCH/KETSCH G OSLO

G LE 3では4モデルが用意されていましたが、G LE 4では、

ANSER 2D
LOUISE
OSLO

の3モデルになりました。

モデル数は減りましたが、

セミアーク
アーク
ストレート

という3種類のストロークタイプを、きちんとカバーしています。

つまり、単に選択肢を減らしたというより、役割の重複を整理し、それぞれのストロークタイプに合うモデルを分かりやすくしたと考える方がよいでしょう。

ANSERからANSER 2Dへ

G LE 3では、ブレード型のANSERが採用されていました。

G LE 4では、これがANSER 2Dに変わりました。

ANSER 2Dは、通常のANSERよりもヘッドの奥行きが大きい、ワイドブレード形状です。

ブレード型の操作性を残しながら、ヘッドの奥行きを大きくすることで、打点がズレた時のブレを抑えています。

G LE 3のANSERも、周辺重量配分によって操作性と寛容性を両立したモデルでした。

しかし、G LE 4ではANSER 2Dへ変更することで、構えた時の安心感とミスヒットへの強さを、さらに高めています。

見た目はブレード型。
しかし、性能はミッドマレットに近い。

これがANSER 2Dの特徴です。

パターでは、ブレード型を好むゴルファーが多くいます。

構えやすい。
フェースの向きを感じやすい。
距離感を出しやすい。
操作しやすい。

その一方で、一般的なブレード型は、大型マレットよりもミスヒットに弱いという問題があります。

ANSER 2Dは、その弱点を奥行きのあるヘッド形状で補っています。

G LE 3のANSERが「感性で打てるピン型」だったとすれば、G LE 4のANSER 2Dは、

ブレード型の感性を残しながら、さらに安心感を増したパター

です。

ヘッド重量も5g重くなりました。

これにより、ストローク中にヘッドの位置を感じやすくなり、小さなストロークでもテンポを安定させやすくなっています。

LOUISEは継続

LOUISEは、G LE 3からG LE 4へ継続された唯一のモデルです。

丸みを帯びたミッドマレット形状で、ショートスラントネックを採用しています。

ストロークタイプはアークです。

フェースを開閉しながらストロークするゴルファーに合わせやすいモデルです。

LOUISEが継続されたことからも、この形状が高く評価されていたことが分かります。

構えた時に大きすぎない。
ブレード型より安心感がある。
大型マレットほど動かしにくくない。
フェースの開閉も感じやすい。

この中間的な位置にあるのがLOUISEです。

G LE 4のLOUISEでは、軽量のアルミボディと高比重のステンレスプレートを組み合わせた複合素材構造が採用されています。

軽い素材と重い素材を組み合わせることで、重量をヘッドの低い位置や外周へ配分できます。

これにより、重心を低くしながら慣性モーメントを高めています。

見た目は操作しやすいミッドマレットですが、内部構造ではミスヒットへの強さも高められています。

ヘッド重量はこちらも5g重くなりました。

軽量クラブを使うゴルファーであっても、パターまで軽くしすぎると、ストローク中にヘッドの位置が分かりにくくなることがあります。

パターには、飛距離を出すための軽さは必要ありません。

むしろ、適度なヘッド重量によって、

ヘッドの位置が分かる。
ストロークのテンポが安定する。
小さな動きでもボールへ力を伝えられる。

ということが重要です。

G LE 4では、ドライバーやアイアンは軽く振りやすくしながら、パターには適度なヘッド重量を持たせています。

ここは、クラブごとの役割を考えた設計だと思います。

FETCHとKETSCH GをOSLOへ集約

G LE 4では、FETCHとKETSCH Gの2モデルがなくなり、ストレートタイプのモデルとしてOSLOが採用されました。

OSLOは、安心感のある大型マレットです。

フェースバランス設計で、フェースの開閉を抑えたストレートタイプのストロークに対応します。

ヘッド中央には太い白いアライメントラインが入り、目標に対してフェースを合わせやすくなっています。

G LE 4のOSLOは、

構えやすい。
目標へ合わせやすい。
ミスヒットに強い。
直進性が高い。

という、ストレートタイプに必要な性能へ集中したモデルだと考えられます。

ヘッド重量は360gです。

これはG LE 3のKETSCH Gと同じ重量です。

大型マレットとして十分な重量があり、ストローク中のヘッド挙動を安定させやすくなっています。

フェースインサートの変更

2層PEBAXから1層PEBAXへ

フェースインサートも変更されました。

G LE 3では、硬さの異なるPEBAXを組み合わせた2層構造のインサートが採用されていました。

G LE 4では、新しい1層構造のPEBAXインサートへ変更されています。

このインサートは、柔らかい打感を持ちながら、必要な反発性も確保しています。

G LE 3では、柔らかさと反発性を、硬さの異なる素材を組み合わせることで作り分けていました。

G LE 4では、1層の素材でその両方を成立させようとしています。

構造をシンプルにしながら、

柔らかく感じる。
しかし、ボールはしっかり転がる。
距離感がぼやけにくい。

という性能を狙っています。

パターは、打感が柔らかければよいとは限りません。

柔らかすぎると、インパクトの強さが手に伝わりにくくなり、距離感がぼやけることがあります。

反対に、硬すぎるとボールが弾き出される感覚が強くなり、短い距離でタッチを合わせにくくなることがあります。

G LE 4の1層PEBAXインサートは、柔らかさと転がりのバランスを狙った変更だと考えられます。

複合素材による低重心化

ANSER 2Dは、17-4ステンレススチールを主体としたヘッドです。

一方、LOUISEとOSLOは、軽量のアルミボディと高比重のステンレスプレートを組み合わせています。

軽い素材と重い素材を組み合わせることで、重量をヘッドの低い位置や外周へ配置できます。

その結果、

重心が低くなる。
慣性モーメントが高くなる。
打点がズレてもフェースがブレにくい。
ボールの打ち出しと転がりが安定する。

という効果が期待できます。

ドライバーやアイアンでは、低重心化によってボールを上げやすくしていました。

一方、パターで低重心化する目的は、ボールを高く上げることではありません。

インパクト時のヘッド挙動を安定させ、打ち出し方向と転がりをそろえることです。

G LE 4では、パターでも「ミスを減らし、結果をそろえる」という考え方が採用されています。

グリップの変更

G LE 4では、PP58 TOUR M LILACグリップが標準装着されています。

グリップに関しては、フルモデルチェンジです。

適度な太さを持つピストル型グリップで、レディスモデルに合わせて、よりソフトな素材が使われています。

グリップが細すぎると、手首や指先の動きが増えやすくなります。

反対に、太すぎると手の感覚が薄れ、フェースの向きを感じにくくなることがあります。

PP58 TOUR Mは、

余計な手首の動きを抑える。
フェースの向きは感じ取れる。
強く握りすぎにくい。

というバランスを狙ったグリップだと思います。

単なるカラー変更ではなく、手とパターをつなぐ重要な機能部品として見なければなりません。

まとめ

G LE 3からG LE 4へのパターの変化を整理すると、

ANSERから、より安心感のあるANSER 2Dへ。
LOUISEは、複合素材構造を採用して継続。
FETCHとKETSCH Gを、直進性の高いOSLOへ整理。
2層構造のPEBAXから、柔らかさと反発性を両立した1層PEBAXへ。
ANSER 2DとLOUISEは、ヘッド重量を5g増加。
グリップはPP59からPP58 TOUR Mへ変更。

という進化です。

モデル数を減らしながら、

操作性。
寛容性。
アライメント。
転がり。
ストロークタイプ。

この5つを、より分かりやすく整理したのがG LE 4パターです。

G LE 3は、4つのモデルから好みの形状を選ぶパターシリーズでした。

G LE 4は、3つのストロークタイプを基準に、自分に合う性能を選びやすくしたパターシリーズです。

G LE 4パターの進化は、モデルを増やすことではなく、必要な選択肢を整理し、それぞれの役割を明確にしたことにあると思います。

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PINGな人 ネリー・コルダはG425ハイブリッドを使用中

全米女子オープン、渋野選手かんばりましたが、残念でした。

最終日は超混戦。スコアが伸びない展開でしたが、終始安定したゴルフを展開したコルダ選手が17番でバーディを奪取。最後のパットはドキッとしましたが、貫禄の優勝です。

PINGと用具契約を結んでいないものの、PINGのクラブを使用している「PINGな人」とこのブログでは読んでいますが、実はネリー・コルダ選手は、現在PING G425ハイブリッド 26度を使用しているPINGな人です。 “PINGな人 ネリー・コルダはG425ハイブリッドを使用中” の続きを読む

G LEはどう変わったか? 第4話 アイアン編

ドライバー、フェアウェイウッド、ハイブリッドに続いて、今回はアイアンです。

G LE 3からG LE 4への変化を見ると、アイアンはフェアウェイウッドやハイブリッドほど、スペック表上の違いは大きくありません。

まず、新旧のロフトを比較してみます。

番手 G LE 3 G LE 4
6I 25° 25°
7I 29.5° 29.5°
8I 35° 35°
9I 41° 41°
PW 46° 46°
UW 52° 52°
SW 56° 56°

番手構成もロフトも、基本的にはG LE 3から変わっていません。

これは意外に感じるかもしれません。

G LE 4は、アイアン単体ではなく、ハイブリッドと組み合わせたコンボ・ソリューションとして設計されています。 “G LEはどう変わったか? 第4話 アイアン編” の続きを読む

中能登地区で試打会が行われます。

中能登地区の試打会は、当店が鳥屋ゴルフさんで、行ってきましたが、今回、それを引き継ぐ形でPINGのフィッターさんによる試打会が開催されます。

日時は6月21日 10:00~16:00 エビアンゴルフです。

サポートに店長が参ります。

よろしくお願いいたします。

 

G LEはどう変わったか? 第2話 フェアウェイウッド編

ドライバー編に続いて、今回はフェアウェイウッドです。

G LE 3からG LE 4への変化を見ると、フェアウェイウッドはドライバー以上に分かりやすく変わっています。

その理由は、単純に新しいテクノロジーが入っただけではなく、番手ごとのロフト構成そのものが大きく変わっているからです。 “G LEはどう変わったか? 第2話 フェアウェイウッド編” の続きを読む

まさか本人が忘れていた? シブコ、黄金パターの「ANSER」回帰で急浮上

シブコのファンならずとも、みんなが知っている黄金パターがSIGMA2 ANSER。まさか、本人が忘れているとは?

「渋野日向子「自分でも不思議な一日」 “勘違い”もパターチェンジで不安一掃」

GDOさん、渋野日向子「自分でも不思議な一日」 “勘違い”もパターチェンジで不安一掃より

“まさか本人が忘れていた? シブコ、黄金パターの「ANSER」回帰で急浮上” の続きを読む

GLEはどう変わったのか? 第1話 ドライバー

今春、GLE3に変わってGLE4が発表されました。今年の春はいろいろな記事が多くなってしまって、ようやくGLE4の記事を書くことが出来ました。

余りかのサイト:https://ping.com/en-us/golf-clubs/womens

日本のサイト:https://clubping.jp/product/product2026_gle4.html

そしてより詳しく知るために

を参考により詳しく掘り下げていこうと思います。

先ずはドライバーからです。

“GLEはどう変わったのか? 第1話 ドライバー” の続きを読む

パターはフェースを感じる道具である Episode 77: Putter Torque featuring Dr. Erik Henrikson 第8話

パター選びは、スコアメイクである

PING SCOTTSDALE TEC ALLY BLUE ONSET は、日米で驚異的なパッティング成績を生んでいます。

その理由を読み解く鍵として、PINGのマーティ・ジャートソンが紹介しているのが、Episode 77: Putter Torque featuring Dr. Erik Henrikson です。

このシリーズでは、このエピソードをもとに、パターの重心、トルク、視覚、触覚、フェース向きの再現性を整理してきました。

第1話では、パターは「目」だけで打っているわけではない、という話をしました。

構えた瞬間は、視覚が大きな役割を果たします。
しかし、ストロークが始まったあとは、手の中の感覚が重要になります。

第2話では、パットのスタート方向は、ほぼフェースで決まる、という話をしました。

パッティングで本当に管理すべきなのは、ストロークの見た目ではなく、インパクト時のフェースの向きです。

第3話では、ゼロトルクだけが正解ではない、という話をしました。

トルクは、フェースを乱すだけのものではありません。
手の中にフェースの向きや重心の位置を知らせる、感覚のシグナルになることがあります。

第4話では、抵抗があるから、精密に動かせる、という話をしました。

軽すぎる道具、抵抗のなさすぎる道具は、かえって精密に扱いにくいことがあります。
適度な重さや抵抗があるから、ヘッドの位置やフェースの向きを感じられます。

第5話では、PINGパターの原点は、重心を引くことにあった、という話をしました。

Karsten Solheimは、重心を押すのではなく、重心を引くことで、パターを安定させ、プレーヤーにフェースの向きを感じさせようとしました。

第6話では、パター選びはストロークタイプだけでなく、ミスの方向から考える必要がある、という話をしました。

右へ押し出すのか。
左へ引っかけるのか。
インパクトでフェースが開いているのか。
閉じすぎているのか。

ボールがどこへ出るかを見れば、フェース向きの傾向が見えてきます。

第7話では、SCOTTSDALE TEC ALLY BLUE ONSETは、マレットのやさしさとブレードの感覚をつなぐパターである、という話をしました。

大型マレットの安心感。
オンセットによる見やすさ。
フェースを感じるための情報。
そして、ミスの方向に対する新しいフィッティングの選択肢。

ここまで見てくると、ひとつの結論にたどり着きます。

パター選びは、好みの問題ではありません。

もちろん、好みは大切です。
構えたときの顔が好きかどうか。
ヘッド形状に安心感があるかどうか。
打感が合うかどうか。
音が気持ちよいかどうか。

これらは、パター選びにおいて非常に大切です。

しかし、それだけでは足りません。

パター選びは、スコアメイクです。 “パターはフェースを感じる道具である Episode 77: Putter Torque featuring Dr. Erik Henrikson 第8話” の続きを読む

パターはフェースを感じる道具である Episode 77: Putter Torque featuring Dr. Erik Henrikson 第7話

ALLY BLUE ONSETは、マレットのやさしさとブレードの感覚をつなぐ

PING SCOTTSDALE TEC ALLY BLUE ONSET は、日米で驚異的なパッティング成績を生んでいます。

その理由を読み解く鍵として、PINGのマーティ・ジャートソンが紹介しているのが、Episode 77: Putter Torque featuring Dr. Erik Henrikson です。

このシリーズでは、このエピソードをもとに、パターの重心、トルク、視覚、触覚、フェース向きの再現性を整理していきます。

前回は、引っかける人、押し出す人。パター選びはミスの方向から考えるという話をしました。

パター選びは、ストロークタイプだけでは決まりません。

ストレートに動かすのか。
軽いアークなのか。
強いアークなのか。

もちろん、それは重要です。

しかし、それだけでは足りません。

右へ押し出すのか。
左へ引っかけるのか。
インパクトでフェースが開いているのか。
閉じすぎているのか。
構えた時点で向きがズレているのか。
ストローク中にフェースが戻り切らないのか。

ここまで見て、パターを合わせる必要があります。

なぜなら、最終的にスコアに直結するのは、ストロークの見た目ではなく、ボールがどこへ出るかだからです。

今回は、いよいよこのシリーズの入口に戻ります。

SCOTTSDALE TEC ALLY BLUE ONSET です。


ALLY BLUE ONSETを見たとき、まず目に入るのは独特の形です。

白いヘッド。
大きなマレット形状。
フェース全体が見えやすい構え。
ホーゼルが視界を邪魔しにくいオンセット構造。
そして、EYE Qアライメント。

見た目だけでも、かなり個性的なパターです。

しかし、このパターを単に「白いマレット」や「変わったオンセットパター」として見てしまうと、本質を見落とします。

Episode 77で語られている内容から考えると、ALLY BLUE ONSETの本質は、そこではありません。

このパターの面白さは、

マレットのやさしさを持ちながら、ブレードのようなフェース感覚を残していること

にあります。

つまり、単なる大型マレットではありません。

見える。
感じる。
合わせる。
再現する。

この流れを、現代的な形でまとめたパターだと考えるべきです。


まず、大型マレットとしてのやさしさがあります。

マレット型のメリットは、一般的には分かりやすいです。

ヘッドが大きい。
構えたときに安心感がある。
重心が深い。
慣性モーメントを高めやすい。
芯を外したときにヘッドがブレにくい。
短いパットでフェースの向きが安定しやすい。

パターでミスヒットに強いことは、当然メリットです。

パッティングでは、わずかな打点のズレでも転がりや距離感が変わります。
芯を外したときに、ボールスピードが落ちすぎる。
フェースがブレる。
距離が合わない。
狙ったラインに乗らない。

こうした問題を減らすうえで、大型マレットの許容性は大きな武器になります。

しかし、ここで問題もあります。

大型マレットは、やさしい一方で、手の中のフェース感覚が薄くなることがあります。

ヘッドが大きい。
重心が深い。
慣性モーメントが高い。
フェースが動きにくい。

これは安心感につながります。

しかし人によっては、ヘッドがどこにあるのか、フェースがどこを向いているのか、手の中で感じにくくなることがあります。

このシリーズで繰り返してきたように、パターはただ「動かない」ことが正解ではありません。

プレーヤーがフェースを感じられることが重要です。


一方、ブレード型には別の魅力があります。

ブレード型は、ヘッドが小さく、重心も比較的浅く、フェースの向きを手の中で感じやすい。

自分でフェースを開く。
自分でフェースを戻す。
ヘッドの重さや向きが手に伝わる。
距離感を出しやすい。
操作している感覚がある。

こうした理由で、今でもブレードを好むプレーヤーは多くいます。

特にフェースローテーションを使うプレーヤーにとって、ブレードの感覚は非常に大切です。

しかし、ブレードにはミスヒットへの許容性という点で限界があります。

芯を外したときにブレやすい。
打点ズレが距離や方向に出やすい。
短いパットでわずかなフェース角のズレが結果に出やすい。

つまり、ブレードには感覚の良さがある。
マレットには許容性の高さがある。

多くのゴルファーは、この間で迷います。

やさしさを取るのか。
感覚を取るのか。

この問いに対して、ALLY BLUE ONSETはかなり面白い答えを出しているように見えます。


Episode 77では、ALLY BLUE ONSETについて、非常に重要な説明がされています。

このパターは、オンセット構造によってシャフト軸を重心に近づけています。

完全に重心と一致させているわけではありません。
ゼロトルクにしているわけでもありません。
しかし、通常のマレットよりも、手の中の感覚がブレードに近づくように設計されています。

マーティ・ジャートソンとエリック・ヘンリクソンの会話では、このモデルは、マレットでありながら、手の中ではAnserやB60に近い感覚を持つという趣旨の話が出てきます。

これは非常に重要です。

つまり、ALLY BLUE ONSETは、

マレットの形をしたブレード感覚のパター

と見ることもできます。

もちろん、完全にブレードと同じではありません。
ヘッドサイズも重心深度も慣性モーメントも違います。

しかし、手の中で感じるフェースの情報を、できるだけ消さないようにしている。

ここが、このパターの核心です。


オンセット構造の意味も、ここで考える必要があります。

一般的なオフセットパターでは、シャフトやホーゼルがフェースより前に出るように見えます。

これは多くのパターで見慣れた形です。
Anser型のプラマーズネックも、オフセットによってフェースの見え方や重心の引かれ方を作っています。

一方、ALLY BLUE ONSETでは、フェース全体が非常に見えやすくなっています。

ホーゼルが視覚的に邪魔になりにくい。
トップレールが見える。
フェース面が見える。
ボールに対して、どこを向いているのかが分かりやすい。

これは視覚的なメリットです。

しかし、オンセットの意味は見た目だけではありません。

シャフト軸と重心の関係が変わることで、ストローク中に手に入ってくる情報も変わります。

つまりオンセットは、

見え方の設計
であり、同時に
感じ方の設計
でもあります。

ここを理解すると、ALLY BLUE ONSETは単なる奇抜な形ではなくなります。


さらに、Episode 77では、オンセットが左へのミスを抑える選択肢になり得ることも語られています。

ここは、前回の「ミスの方向を見る」という話につながります。

フェースバランス系のマレットを使っている。
構えやすい。
安心感もある。
しかし、短いパットで左に引っかける。
フェースが被って届く。
ボールが左へ出る。

こういう人がいます。

では、ヒールシャフトのパターにすればよいのか。

それも一つの方法です。

しかし、ヒールシャフトにすると、ストローク中のフェース感覚が大きく変わることがあります。
トルクの感じ方も変わる。
フェースローテーションの感覚も変わる。
マレットの安心感も減る場合があります。

そこで、オンセットという選択肢が出てきます。

マレットの安心感は残す。
フェース全体の見やすさも残す。
しかし、デリバリーとしては左へのミスを抑える方向に働く可能性がある。

つまり、ALLY BLUE ONSETは、単に「マレットが好きな人向け」ではありません。

フェースバランスのマレットでは左に行く。
でもブレードや強いトゥハングには行きたくない。
その中間にある新しい選択肢。

こう考えると、このパターの位置づけがかなり明確になります。


ここで、日米での結果に戻ります。

日本では、SCOTTSDALE TEC ALLY BLUE ONSETを使用した鈴木愛選手のパッティングが注目されました。

アメリカでは、Wyndham Clarkがこのパターで驚異的な Strokes Gained: Putting を記録しました。

もちろん、プロの結果をそのまま一般ゴルファーに当てはめることはできません。

しかし、トッププロほど、パターに対する要求は厳しい。

構えたときに、少しでも違和感があれば使わない。
フェースがわずかに違う方向を向けば結果に出る。
1メートル、2メートルのパットで、その差がスコアに出る。
試合では、その1打が勝敗を分ける。

そのレベルで結果が出たということは、このパターが単に目立つだけのモデルではないことを示しています。

少なくとも、使った選手にとって、

構えやすい。
フェースを合わせやすい。
ストローク中に感覚がある。
インパクトでフェースを再現しやすい。
ミスの方向を抑えやすい。

こうした要素がうまく噛み合った可能性があります。


このパターをお客様に説明するときも、単に「白くて見やすいですよ」だけでは足りません。

もちろん、それは事実です。

白いヘッドは、グリーン上で輪郭が出やすい。
黒いアライメントとのコントラストも強い。
EYE Qアライメントによって、視線の置き場を作りやすい。

しかし、それだけでは、このパターの本質には届きません。

説明すべきなのは、次の部分です。

マレットのやさしさを持ちながら、フェースを感じやすい。
オンセットによって、フェース全体が見えやすい。
ブレードに近い感覚を残しながら、マレットの許容性を持っている。
左へのミスを抑える選択肢になる可能性がある。
視覚と触覚の両方から、フェース向きの再現性を助ける。

ここまで説明すると、ALLY BLUE ONSETの意味が伝わります。


パター選びでよくあるのは、こういう会話です。

「マレットはやさしいですよね」
「ブレードは感覚がいいですよね」

これは間違いではありません。

しかし、もう一歩進めたいところです。

本当に見るべきなのは、

その人がどのようにフェースを感じているか
その人がどちらへミスしているか
その人に必要な抵抗はどれくらいか
その人が構えたときに、フェースをスクエアに向けられるか
インパクトでフェースがどちらへ届くか

です。

ALLY BLUE ONSETは、この問いに対して、非常に現代的な答えを持っています。

マレットの許容性。
ブレード的な感覚。
オンセットによる見やすさ。
左へのミスを抑える可能性。
EYE Qアライメントによる視線の安定。

これらをひとつのヘッドにまとめようとしている。

だから、日米で結果が出ていることにも意味があります。


今回の結論です。

ALLY BLUE ONSETは、マレットのやさしさとブレードの感覚をつなぐパターです。

大型マレットの安心感があります。
高い許容性があります。
フェース全体が見えやすい構えがあります。
視線を安定させるアライメントがあります。

しかし、それだけではありません。

手の中でフェースを感じるための情報を残している。
重心とシャフト軸の関係によって、マレットでありながらブレードに近い感覚を持たせている。
オンセットによって、ミスの方向に対する新しいフィッティングの選択肢を作っている。

つまり、これは単なる新形状ではありません。

フェースを感じ、フェースを合わせ、フェースを再現するための現代的なパター設計です。

SCOTTSDALE TEC ALLY BLUE ONSETが示しているのは、パター選びの新しい見方です。

やさしさか、感覚か。

その二択ではなく、

やさしさの中に、フェースを感じる情報を残す。

ここに、このパターの価値があります。

次回は、このシリーズの最終話です。

パター選びは、好みの問題ではありません。
スコアを守るためのフィッティングです。

最終話では、
パター選びは、スコアメイクである
というテーマで、シリーズ全体をまとめます。

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