スピンアウト 第2話 三角形はプレーンを作るのではない。プレーンの上を動いている。

前回、私は本当に動いている三角形は、

左肩・右肘・グリップ

を結ぶ三角形ではないかという考えを紹介しました。

この三角形で考えると、これまで説明が難しかった現象が、とてもシンプルになります。

それは、ベン・ホーガンが提唱したダウンスイングプレーンです。

ホーガンは、ダウンスイングではクラブは右を向いたプレーン上を動くと説明しました。

しかし、多くのレッスンでは、

「右へ振りましょう。」

「プレーンに乗せましょう。」

というように、プレーンを意識して作ることが目的になっています。

私は、少し違う考え方をしています。

もし右肘が自然に鳩尾付近へ収束し、

左肩・右肘・グリップの三角形が一つのユニットになれば、この三角形はほとんど形を変える必要がありません。

つまり、スイング中に変化しているのは三角形ではありません。

三角形全体が空間の中を移動しているのです。

そして、その移動方向を人間が見たとき、

右を向いたプレーンの上を動いているように見えるのではないでしょうか。

つまり、プレーンは意識して作るものではありません。

右肘が自然に収束した結果として、三角形の移動経路がプレーンになるのです。

私は、ホーガンが観察したのは、この結果だったのではないかと考えています。

プレーンは原因ではなく結果。

そう考えると、右肘、パワーパッケージ、そしてホーガンのプレーンは、すべて同じ現象を別の角度から表現していることになります。

次回は、この三角形がなぜ形をほとんど変えずに運動できるのかを、人間の骨格という視点からもう少し掘り下げてみたいと思います。

スピンアウト 第1話 本当に動いている三角形はどれなのか

ゴルフでは昔から、

「肩と両腕で作る三角形を崩さない」

という言葉が使われてきました。

確かに、スイングをシンプルに考えるためには、とても分かりやすい考え方です。

そうなんです。誰もが途中までが三角形の説明になっているのです。

しかし、この三角形だけでは説明が難しい現象があります。

それが、トッププロのインパクトです。

インパクトでは、右肘は鳩尾付近へ自然に収束します。

すると、肩と肩、そしてグリップを結ぶ三角形は、右肘の動きによって形が変化してしまいます。

つまり、この三角形を固定したままスイングしているわけではありません。

では、本当に動いている三角形は何なのでしょうか。

私は、

左肩・右肘・グリップ

を結ぶ三角形ではないかと考えています。

この三角形であれば、右肘が鳩尾付近へ収束した時点で、三角形の形はほぼ決まります。

あとは、その三角形全体が移動し、回転するだけです。

つまり、腕や手をそれぞれ別々に動かしているのではなく、一つのユニットとして運動していると考えることができます。

この考え方に立つと、これまで別々に語られてきた

  • パワーパッケージ
  • 右肘の収束
  • インパクトの構造

が、一つの三角形として整理できるようになります。

もちろん、これは私自身の考察です。

しかし、人間の骨格という視点から見たとき、この三角形の方がスイングをよりシンプルに説明できるように感じています。

次回は、この三角形がスイング中にどのように動き、なぜ形をほとんど変える必要がないのかを考えてみたいと思います。

なぜPINGの静的フィッティングは成り立つのか

これまで私は、

「右肘は鳩尾付近へ収束する」

という現象を、人間の骨格という視点から考えてきました。

もし、人間の骨格が自然に選ぶインパクトの構造が存在するのであれば、フィッティングの考え方も変わります。

一般的には、

「スイングを見てクラブを選ぶ」

という順番が当たり前だと思われています。

しかし、PINGが長年取り組んできた静的フィッティングは、その逆の発想です。

まず、人間の体を測ります。

身長。

手首から床までの長さ。

そして、その人の骨格に合ったライ角やクラブ長を選択します。

なぜ、それだけで方向性が改善することがあるのでしょうか。

それは、人間には骨格が最も自然に働く構造があり、その構造へ無理なく収束できるクラブほど、インパクトが安定するからではないでしょうか。

つまり、静的フィッティングは「スイングを予測する」のではありません。

人間が本来持っている骨格の働きを邪魔しないクラブを探しているのです。

もちろん、そのようなことがPINGの資料に書かれているわけではありません。

しかし、このシリーズで考えてきたように、人間の骨格が自然な構造へ収束してインパクトが作られるのであれば、静的フィッティングはその骨格を基準にクラブを選んでいると考えることもできます。

私は、この推論は十分に成り立つのではないかと思っています。

その結果として、

  • グリップの位置
  • 左手首
  • 右手首
  • ラグ
  • 右肘

といった構造要件が自然に整い、クラブフェースもスクエアに戻りやすくなります。

もちろん、すべてのゴルファーが同じスイングをするわけではありません。

体格も柔軟性も筋力も違います。

だからこそ、一人ひとりに合ったクラブが必要になります。

フィッティングとは、理想のフォームを押し付けることではありません。

その人が本来持っている自然な骨格の働きを引き出すこと。

私は、それこそがフィッティングの本質だと考えています。

このシリーズでは、右肘という一つの現象から、人間の骨格、インパクトの構造、そしてフィッティングの意味まで考えてきました。

もし皆さんがクラブを選ぶ機会があれば、「このクラブは自分の骨格が自然に働けるクラブなのか」という視点でも、ぜひ見直してみてください。

右肘の答えは、赤ちゃんが知っている

前回、右肘は意識して作るものではなく、人間の骨格が自然に選ぶ位置ではないかというお話をしました。

では、その骨格は、なぜそのようにできているのでしょうか。

私は、その答えは赤ちゃんの動きにあるのではないかと考えています。

生まれたばかりの赤ちゃんは、ゴルフを知りません。

もちろん、スイング理論も知りません。

それでも、ハイハイをするときには、肩・腕・手を使って自分の体重を支えます。

このときの腕の使い方を観察すると、肘は無理に外へ張ることも、極端に内へ絞ることもありません。

肩から手へ力が自然に伝わる位置へ収まっています。

つまり、骨格だけで効率よく体重を支える構造を、本能的に使っているのです。

ゴルフのインパクトでも、クラブヘッドから大きな反力が返ってきます。

その力を筋力だけで受け止めようとすれば、タイミングや力加減が必要になります。

しかし、骨格で受けられる位置に右肘が収束すれば、力は肩から体幹へと自然に伝わります。

もしかすると、トッププロに共通する右肘の位置は、長年の練習で偶然身に付いたフォームではなく、人間が本来持っている骨格の使い方へ戻った結果なのかもしれません。

もちろん、これは私の考察です。

しかし、多くのトッププロのインパクトを見ていると、「人間にとって最も自然な構造」が、結果として同じような形を生み出しているように感じます。

そして、この視点に立つと、フィッティングの意味も変わります。

クラブに人間を合わせるのではありません。

人間が本来持っている骨格の働きを邪魔しないクラブを見つけること。

それが、フィッティングの本質なのではないでしょうか。

次回は、この考え方をもとに、「なぜPINGの静的フィッティングが成り立つのか」を考えてみたいと思います。

なぜ右肘は鳩尾へ収束するのか

前回は、右肘は意識して作るものではなく、インパクトの構造要件を満たした結果として現れる「指標」であるというお話をしました。

では、なぜ人間の体は、その位置を選ぶのでしょうか。

私は、その答えはゴルフの技術ではなく、人間の骨格そのものにあると考えています。

少し試してみてください。

左手首をフラットにし、右手首を背屈させたまま、両手を胸の中央へ持ってきます。

このとき、多くの人は無理に右肘を寄せなくても、自然と鳩尾付近へ収束します。

右肘を意識しなくても、その位置になるのです。

これは、ゴルフスイングだからではありません。

人間の肩、上腕、前腕、手首という骨格の組み合わせが、その位置を最も自然な位置として選んでいるからです。

つまり、右肘は「寄せる」のではなく、「収束する」のです。

ここで重要なのは、右肘だけを見てはいけないということです。

右肘が鳩尾付近にあるということは、

  • 左手首はフラット
  • 右手首は背屈
  • クラブヘッドラグが維持されている
  • グリップは両肩の中央付近にある

という構造要件が同時に満たされていることを意味します。

だからこそ、世界中のトッププロに似た右肘の位置が見られるのではないでしょうか。

これは、誰かに教えられた形を真似しているのではなく、人間の骨格が自然に導き出した結果なのかもしれません。

もし、この考え方が正しいとすれば、フィッティングの目的も変わります。

クラブに人間を合わせるのではありません。

人間の骨格が自然にこの構造へ収束したとき、ボールが真っ直ぐ飛ぶクラブを見つけること。

それが、本当のフィッティングなのではないでしょうか。

では、人間の骨格は、なぜこのような構造を持っているのでしょうか。

私は、そのヒントは人間が二足歩行になる以前の動きにあると考えています。

次回は、赤ちゃんのハイハイや四足歩行という視点から、この構造を考えてみます。

鳩尾にある右肘は何を意味するのか

前回は、インパクトでは「肩と両腕の三角形」は固定された形ではなく、左手首・右手首・クラブヘッドラグ・手元位置という構造要件によって、自然に変化することをお話ししました。

そして、その構造要件を満たした結果として、右肘は自然と鳩尾付近へ収束します。

では、この右肘の位置には、どのような意味があるのでしょうか。

多くのレッスンでは、「右肘を体につける」「右肘をたたむ」といった表現が使われます。

しかし、私は少し違う視点で考えています。

右肘は、意識して作るポジションではありません。

もし、

  • 左手首がフラットで、
  • 右手首が背屈し、
  • クラブヘッドラグが維持され、
  • グリップが両肩の中央付近にある

というインパクトの構造要件が満たされれば、右肘は自然と鳩尾付近へ収束します。

つまり、右肘は原因ではなく、結果なのです。

そして、この「結果」には大きな意味があります。

右肘が鳩尾付近にあるということは、その瞬間に、

  • グリップの位置
  • 左手首の角度
  • 右手首の角度
  • クラブヘッドラグ
  • シャフトの向き

これらが互いに矛盾なく成立している可能性が高いことを示しています。

言い換えれば、右肘はインパクト全体を映し出す「指標」と考えることができます。

だからこそ、右肘だけを意識して動かしても、本質的な解決にはなりません。

構造要件が整えば、右肘は自然とそこへ収束します。

逆に、構造要件が整っていなければ、右肘だけを正しい位置へ持っていこうとしても、他のどこかに無理が生じます。

私は、多くのトッププロに共通する右肘の位置は、技術を真似た結果ではなく、人間の骨格が最も効率よく力を伝えられる構造を表しているのではないかと考えています。

では、なぜ人間の骨格は、その位置を選ぶのでしょうか。

その答えは、ゴルフの技術論ではなく、人間が本来持っている骨格の仕組みにあるのかもしれません。

次回は、「なぜ右肘は鳩尾へ収束するのか」を、人間の骨格構造という視点から考えてみたいと思います。

四足歩行はゴルフのヒントになるのか

前回、私は右肘が鳩尾付近へ収束する理由は、人間の骨格そのものにあるのではないかという考えをお話ししました。

そのヒントとして注目したいのが、赤ちゃんのハイハイや四足歩行です。

四足歩行では、腕は体重を支える役割を担っています。

そこでは筋力だけに頼るのではなく、骨格を使って効率よく力を受け止めています。

もし毎回、腕の力だけで体重を支えていたら、すぐに疲れてしまうでしょう。

だからこそ、骨格が最も無理なく荷重を受けられる位置へ自然に収束していると考えられます。

一方、ゴルフのインパクトでも、クラブヘッドにはボールとの衝突によって大きな反力が発生します。

その反力を受け止めるという点では、体重を支える四足歩行と共通する部分があります。

もちろん、四足歩行とゴルフは同じ運動ではありません。

しかし、「外から加わる大きな力を骨格で受け止める」という視点で見ると、多くの共通点が見えてきます。

だから私は、トッププロの右肘が鳩尾付近へ収束するのも、単なるスイング技術ではなく、人間が本来持っている骨格の使い方が表れているのではないかと考えています。

言い換えれば、長い年月をかけて、多くのゴルファーは人間の骨格が最も自然に働く位置でボールを打ったときに、真っ直ぐ飛ぶクラブを使う方向へ進化してきたのではないでしょうか。

もしこの考え方が正しいのであれば、フィッティングの役割もさらに明確になります。

クラブによって人間の骨格を変えるのではありません。

人間の骨格が最も自然に働く状態で、狙った方向へボールを飛ばせるクラブを見つけること。

それが、本来のフィッティングなのではないでしょうか。

そして、この考え方は、PINGが長年取り組んできた静的フィッティングにもつながっていきます。

なぜ、スイングを見る前に体を測るだけでクラブを選べるのでしょうか。

次回は、その理由を静的フィッティングという視点から考えてみたいと思います。

パワーパッケージは変化する三角形である?

ゴルフでは、両腕と肩で構成される「三角形」が重要だと言われます。

確かにアドレスでは、その表現は正しいでしょう。

しかし、インパクトの瞬間をよく観察すると、その三角形は本当に維持されているのでしょうか。

インパクトでは、

  • 左手首はフラット
  • 右手首は背屈
  • クラブヘッドは手元より遅れた状態(ラグ)
  • グリップは両肩のほぼ中央に位置する

という条件が同時に成立しています。

この状態を成立させようとすると、右肘は自然と体の正面、鳩尾付近へと収束していきます。

つまり、アドレスで見られた三角形は、そのまま固定されているわけではありません。

インパクトで要求される構造要件を満たすために、三角形そのものが自然に変形しているのです。 “パワーパッケージは変化する三角形である?” の続きを読む

世界中のトッププロに共通する「一直線」

ゴルフスイングには、流派があります。

スタック&ティルト、ワンプレーン、ツープレーン、ヒッター、スインガー…。

レッスン理論もコーチも違えば、スイングの形も違って見えます。

しかし、ある一点だけは驚くほど共通しています。

ダウン・ザ・ラインからインパクト付近を見てみましょう。

世界ランキング上位の選手、メジャーチャンピオン、PGAツアーのトッププロ…。

何人見ても、不思議な共通点があります。

それは、

ボール・シャフト・手元・右肘が、ほぼ一直線上に並んでいることです。

最初は偶然だと思いました。

しかし、何十人、何百人と見ても、この傾向は変わりません。

もちろん、全員がまったく同じではありません。

手元の高さも違えば、前傾角も違います。

それでも、この一直線という関係だけは、多くのトッププロに共通しています。

では、なぜでしょうか。

たまたま似た形になったのでしょうか。

それとも、人間の体には、この形にならざるを得ない理由があるのでしょうか。

私は長年フィッティングを行ってきましたが、この一直線こそが、スイングを理解する大きな鍵ではないかと考えています。

次回は、この一直線が意味するものについて考えてみます。

フィッティングとは、ゴルファーを変えることではない。ゴルファーを引き出すことである。

この回では、Podcastで何度も語られている

「クラブをゴルファーに合わせる」

というPINGの思想を掘り下げます。


導入

これまで紹介してきた内容を見ると、

  • モデルを選ぶ
  • ロフトを選ぶ
  • スリーブを調整する
  • ウェイトを動かす

と、クラブばかりを調整しているように見えます。

しかし、本当に変わっているのはクラブでしょうか。

実は違います。

PINGが変えようとしているのは、

ゴルファーが自然に振れる状態

です。


Podcastのポイント

このあたりではマーティが繰り返し、

  • 無理にスイングを変えない
  • 自然に振れる状態を探す
  • ゴルファーが持っている動きを活かす

という考え方を話しています。

つまり、

フィッティングはスイング改造ではない。


店長の解説

ここは私が以前から言っている

クラブは先生である

という考え方につながります。

ゴルファーはクラブを振っています。

しかし、

クラブもゴルファーを動かしています。

だから、

合わないクラブでは、

無意識に補正動作が始まります。

例えば、

  • 開いて見える
  • ボールが遠い
  • ライ角が合わない

これだけで、

構えが変わり、

スイングが変わります。

つまり、

スイングを直しているのではなく、

クラブに合わせてしまっているのです。


一番伝えたいこと

ここで読者へ投げかけます。

フィッティングとは何でしょうか。

多くの人は、

「クラブを選ぶこと」

と思っています。

私は違うと思います。

フィッティングとは、

本来その人が持っているスイングを、最も自然に発揮できるクラブを探すこと

です。

だから、

良いフィッティングを受けると、

「スイングが良くなった」

と感じます。

しかし、

良くなったのはスイングではありません。

クラブが邪魔をしなくなったのです。