ゴルフトレンドウォッチャーでゴルフライターのコヤマカズヒロ氏が朱莉プロのクラブ変更について動画にしていましたので、覗いてみることにしました。
朱莉プロのクラブ変更の理由や何故そうしたのかを小山氏の視点で解説されています。
店長は極秘ルートで(嘘です。営業さんに聞けば教えていただけます。)ツアーレップからのデータを手に入れて検証してみたいと思います。以下が朱里プロのクラブスペックです。
◆Shuri Sakuma – Club Spec
1W: G440 LST (9 / +1.5° position), N.S. Regio Formura MB+ Proto S55(No Tip), 45.0inch, D0
3W: G430 MAX (+1° position), N.S. Regio Formura MB+ Proto S55(No Tip), 43.0inch, D0
7w: G430 (Flat position), N.S. Regio Formura MB+ Proto S65 (Tip -0.5”), 41.0inch, D0
5H: G430 (Flat position), N.S.MODUS HYBRID GOST HL(No Tip), 38.75inch, C9+
Iron: i240 (#4), N.S.MODUS HYBRID GOST HL, Lie:Green,Loft:24°, Length:-1/4inch, D0
Iron: Blueprint T (#6-#PW), N.S.PROTO STL – Stiff, Lie:Red, Length:-1/4inch, D0ALL
Wedge: s259 Chrome (50S), N.S.PROTO, Length:35.0inch, Lie:Red, Loft:48° , D0
Wedge: s259 Chrome (54S), N.S.PROTO, Length:34.75inch, Lie:Red, Loft:53° , D0
Wedge: s259 Chrome (58E), N.S.Modus³105 Wedge, Length:34.5inch, Lie:Red, Loft:57° , D0
Putter: Scottsdale B63, Lengh:32inch, Lie:21deg/Loft:3.0deg
このように細かいデータがあればなるほどと思えるんですが、ヘッドだけのデータでは推測部分が多くなります。
先ずはドライバー変更について確認してみましょう。
コヤマ氏の動画では、佐久間朱莉プロがG430 MAX 10KからG440 LSTへ変更した理由について、「これまでと同じようなものを求めたのではなく、より操作性のあるものを求めたのではないか」と推測されています。
この見方は、大きく外れてはいないと思います。
ただ、ツアーレップから実際のスペックを確認すると、単に「操作性の高いLSTへ変更した」と考えるだけでは説明しきれない部分があります。
現在、佐久間プロが使用しているドライバーは、
G440 LST 9°
ホーゼルポジション +1.5°
45.0インチ
D0
という仕様です。
コヤマ氏も動画の中で、
「9°を+1.5°にするなら10.5°でいいじゃん」
という疑問を挙げています。
確かにロフト角だけを見れば、そう考えるのが自然です。
ところが佐久間プロは、G440 LSTの10.5°ヘッドも所有しており、こちらは+1°で組まれています。
つまり、9°を+1.5°にしている理由は、単純に「10.5°のロフトが欲しいから」ではありません。
ここではロフト角だけではなく、ヘッド本来の捕まり方とホーゼルポジションを組み合わせて、必要な出球方向を作っていると考えた方が自然です。
佐久間プロはフェードを持ち球とする選手です。
店長がG430、G440シリーズを実際に打ち比べた印象では、捕まりやすさは、
G430 SFT ≒ G440 SFT
> G440 K
> G440 MAX ≒ G430 MAX
> G430 MAX 10K
> G440 LST
> G430 LST
という順になります。
ここで重要になるのが、前年まで使用していたG430 MAX 10Kの性格です。
G430 MAX 10Kは非常に大きな慣性モーメントを持っています。
一般的には、大慣性モーメントのメリットは「芯を外してもヘッドがブレにくい」と説明されます。
しかし、スイング中の感覚という観点から見ると、もう一つ重要な特徴があります。
それは、ヘッドが簡単には動かないことです。
慣性モーメントが大きければ、ヘッドの姿勢を変化させるためには、それだけ大きなモーメントが必要になります。
この性質は一般的なゴルファーにとっては「振りにくい」「ヘッドを返しにくい」と感じる原因にもなります。
しかし、フェードヒッターにとっては、この振りにくさが必ずしも欠点になるとは限りません。
ヘッドが急激に返りにくければ、フェースの向きも急激には変化しにくい。
つまり、
ある程度の振りにくさ=フェースの安定
として利用することができます。
佐久間プロはG430 MAX 10Kを非常に長く使用し、そのクラブで結果も出しています。
そう考えると、G430 MAX 10Kの大慣性モーメントによる「動きにくさ」そのものを、フェードを安定させる要素として利用していた可能性があります。
ここでG440 Kが登場します。
G440 Kも非常に大きな慣性モーメントを持ったモデルですが、G430 MAX 10Kとは少し性格が違います。
G440 Kは、縦方向の慣性モーメントを大きく確保しながら、従来の大慣性モーメントヘッドにあった「振りにくさ」を抑えたモデルだと店長は考えています。
つまり、
慣性モーメントは大きいのに、振りやすい。
ここがG440 Kの大きな特徴です。
多くのゴルファーにとっては、これは明確な進化です。
ところが、G430 MAX 10Kの「振りにくさ」をフェース安定に利用していたゴルファーにとっては、事情が少し変わります。
ヘッドが振りやすくなり、さらにG430 MAX 10Kより捕まりやすくなれば、フェードヒッターにとっては左方向への自由度が大きくなり過ぎる可能性があります。
佐久間プロがG440 KではなくG440 LSTを選んだ理由を考えるうえで、ここは非常に興味深い部分です。
G440 LSTは、G430 MAX 10Kよりも捕まりを抑えたヘッドです。
そのため、ノーマルポジションのままでは佐久間プロの場合、出球が右へ行きやすくなります。
そこで、9°のヘッドを+1.5°ポジションにする。
つまり、
まずLSTという捕まり過ぎないヘッドを選び、そこからホーゼル調整によって必要な分だけ捕まりを加える。
というセッティングです。
これは非常に理にかなっています。
捕まりやすいヘッドを選んで左へ行かないように抑えるのではなく、
左へ行きにくいヘッドを基準にして、必要なところまで捕まりを戻す。
フェードヒッターにとってはこちらの方が、左側のミスを管理しやすくなります。
ここまで考えると、G430 MAX 10KからG440 LSTへの変更は、単純な
「高MOIモデルから操作性の高いモデルへ」
という変更ではないように見えてきます。
G430 MAX 10Kでは、大きな慣性モーメントによってヘッドの動きを抑え、それをフェードの安定につなげていた。
一方G440 LSTでは、ヘッドそのものは捕まりを抑えたモデルを選び、ホーゼルを+1.5°にすることで必要な捕まりを追加している。
つまり、ヘッドの構造はまったく違いますが、
G440 LSTを使って、G430 MAX 10Kで得ていた出球方向と安心感を再構築している
と考えることができます。
言い換えれば、
G430 MAX 10Kでは
「ヘッドを動きにくくすることでフェードを安定させる」
G440 LSTでは
「左へ行きにくいヘッドを選び、必要な分だけ捕まりを与える」
という違いです。
結果として求めているものは、かなり近いのかもしれません。
コヤマ氏が動画で話されている「より操作性を求めたのではないか」という見方に、実際のツアースペックとヘッドの慣性特性を加えて考えると、
佐久間プロは単に操作性を求めてLSTへ変更したのではなく、G430 MAX 10Kで得ていたフェードの安定性を、G440 LSTという別の方法で作り直した
と考えると、今回のドライバー変更がより理解しやすくなるのではないでしょうか。
長くなりましたので、それ以降のクラブについては次回で


